ドラッグストア研究会 松村清 最新USレポート 第22回 「ドラッグストア業態争奪戦」(PartⅠ)

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ドラッグストア研究会 最新USレポート

第22回 「ドラッグストア業態争奪戦」(PartⅠ) 

コンビニ、家電、ディスカウントストアなどが相次いで参入 

ドラッグストア事業1号店 イトーヨーカドー船橋店

2009年6月に設立された㈱セブンヘルスケア運営によるドラッグストア事業1号店がイトーヨーカドー船橋店にオープンし、アインファーマシーとセブンイレブンの初の共同出店が8月末名古屋にオープンした。イオングループのタキヤ・ミニストップサテライト巽南店がやはり8月末に、さらにマツモトキヨシとローソンが新会社を作り1000店舗構想を発表した。セブン&アイ、イオン、ローソン、マツモトキヨシとヘルス&ビューティー市場の争奪戦が一気に加速する気配だ。このように、GMS、コンビニ、スーパー、ヤマダ電機の家電業態、ホームセンター、ディスカウントストアと、ドラッグストア市場への異業態の参入が激しくなってきている。その背景及び今後の予測と、戦いを勝ち抜くドラッグストアの条件などについて述べてみよう。

多くの業態の参入及び進む合併及び提携の背景 

a)人口減少時代におけるニーズ商品市場の縮小

人口減少時代に入った日本において小売市場全体の成長は望めず、成長性の強い他業態のビジネスを奪うことが自社の発展のために必須なっている。(図表1)の通り、2055年には9千万人を割る、つまり2005年対比で38百万人の人口減が予測されている。一般的な食品、アパレル、家電、雑貨などの市場は縮小し、それらを主力に販売している小売業の売上げは減少してゆく。しかし年代別に見ると、50歳以下が37百万人減少するのに対し、50代以上は殆ど減少せず人口構成比で60%を占めるようになる。且つ、年齢が上がると一番の関心事は健康で、調剤薬、OTC、健康食品、ヘルスエイド商品などのヘルスケア市場は成長していく。中高年客の多いドラッグストア、そして年齢が上がるにつれて需要が増すヘルス&ビューティーケア商品を主力にするドラッグストア市場に他の業態が関心を示すのは当然の成り行きだ。

(図表1)【日本の人口推移:人口の減少と少子高齢社会】

  2000年 2005年 2030年 2055年
総数

12693万人

(100%)

12777万人

(100%)

11522万人

(100%)

8993万人

(100%)
0-14歳

1850万人

(14.6%)

1752 万人

(13.7%)

1114万人

(9.7%)

752万人

(8.4%)
15-64歳

8638万人

(68.1%)

8409 万人

(65.8%)

6740万人

(58.5%)

4595万人

(51.1%)
65歳以上

2204万人

(17.4%)

2567万人

(21.0%)

3666万人

(31.8%)

3646万人

(40.5%)
50歳以上

4892万人

(38.5 %)

5527万人

(43.3%)

6225万人

(54.0%)

5404万人

(60.0%)

(資料)2000年及び2005年は国勢調査、2030年及び2055年は国立社会保障・人口問題研究所推計


b) 高いドラッグストアビジネスの将来性

下表は日本の小売業の業態別販売額調査だ。2007年度ドラッグストアは2.2%の構成比だが、前回調査の2004年対比で15.9%と一番の伸びを示している。他の業態が殆どマイナス成長か横ばいの中でドラッグストアの成長振りは際立っている。

(図表2)【日本の小売業の業態別年間商品販売額】

業種/業態 年間商品販売額(億円)
2007年 2004年

構成比(%)

対04年(%)
百貨店

76883

80023

5.7

(3.9)

総合スーパー

74397

84064

5.5

(11.5)

専門スーパー

236842

241019

17.6

(1.7)

コンビニエンスストア

69609

69222

5.2

0.6

ドラッグストア

30001

25878

2.2

15.9

その他スーパー

62010

54806

4.6

(13.5)

専門店

537644

479703

40.0

7.6

中心店

256539

275785

19.1

(7.0)

その他小売店

1791

2286

0.1

(21.7)

小売業合計

1351093

1332851

100.0

1.4

資料:2007年度商業統計

日本チェーンドラッグストア協会は、現在5兆円業態であるドラッグストアが近い将来10兆円市場になると大きな成長を予測している。ドラッグストアの成長性を裏付ける情報として(図表3)を見てほしい。米国のトップ100社の小売業の業態別シェアだ。注目して欲しいのは、2007年度におけるドラッグストアのシェアは8.0%で、コンビニエンスストアの2.9%の3倍弱のシェアを占めているが、コンビニエンスストアの売上げの半分近くはガソリンであるため、実質上物販では3倍以上のシェアを持つことになる。日本のドラッグストアも将来的にコンビニエンスストアの売上げを追い抜く可能性は充分にある。甘い蜜を求めて他の業態が生き残るために参入してくるのは当然のことなのだ。

(図表3)【米国小売業トップ100社業態別シェア】

業種
1990年 1996年

2004年

2007年
スーパーマーケット

33.3%

26.0%

19.2%

18.4%

GMS

11.3

7.2

2.7

3.2

ディスカウントストア

15.8

17.1

10.1

9.3

百貨店

10.1

7.8

5.1

4.3

ドラッグストア

7.2

5.5

7.8

8.0

アパレルストア

4.3

3.1

3.3

3.4

ホールセールクラブ

3.6

5.7

6.0

6.9

コンビニエンスストア

3.1

2.2

2.1

2.9

ホームセンター

3.0

5.5

8.9

8.6

スーパーセンター

-

4.7

11.3

13.0

ハードラインストア

-

10.2

10.3

11.6

メールオーダー/ネット

-

-

2.4

2.4

その他

8.3

5.0

10.8

8.0

合計

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%


c) 1兆円の売上げ規模の実現

大手企業は合併・提携等を通して1兆円の売上げ規模を狙っている。1兆円の売上げ規模は、プライベートブランドの製造やメーカーや卸との取引条件に関する発言権を高めるからだ。

d) 薬事法の改正により容易になったドラッグストアビジネス参入

昨年6月からの薬事法の改正で、薬剤師がいなくても登録販売者を配置すればⅡ類、 Ⅲ類のOTCは販売できるようになったことが、他業態の参入を容易なものにしている。

 

2) ドラッグストアストアビジネスを侵食する他の業態 

ドラッグストアの専売品であった医薬品が他の業態で販売されると言うのは非常に恐いことだ。(図表4)は米国におけるカテゴリー別業態シェアを示している。調剤薬の27%、OTCを除いた健康美容商品の72%、そしてOTCの62%を他の業態が保持している。興味深いのは、調剤薬のシェアはドラッグストアがNo.1だが、健康美容商品やOTCはマスマーチャンダイザー(ディスカウントストア)がトップのシェアを持っている。米国の場合、OTC販売は一部の商品を除いて基本的には自由でどの小売業も販売出来る。日本も規制の緩和が進むほど他の業態がOTCのシェアを奪っていくだろう。

【最近の米国の消費者のヘルス及びビューティーに対する行動】

  調剤薬 食品 健康美容商品(HBC) OTC

ジェネラル
マーチャンダイス

(含HBC&大衆薬)
チェーンドラッグ

51%

4%

27%

34%

10%

独立ドラッグ

23%

0%

2%

4%

1%

マスマーチャンダイザー

12%

27%

55%

46%

77%

スーパーマーケット

15%

70%

17%

16%

12%

合計

100%

100%

100%

100%

100%



また(図表5)で見る通り、調剤薬を見てもトップ20企業のうち12社はドラッグストア以外の業態だ。


 

(図表5)【米国トップ50調剤取扱い小売業】

企業名

2007年調剤売上
($百万)

2007年企業売上
($百万)

調剤売上比率
(%)

店舗数 店舗数
1) Walgreen(Drg)

34900

53800

65.0

5997

5997

2) CVS Caremark(Drg)

30600

76300

67.8

6245

6164

3) RiteAid(Drg)

16200

24300

66.7

5059

5059

4) Wal-Mart(Mass)

13700

239500

5.7

3550

3468

5) Leader(Drs)

11900

13600

88.0

3350

3350

6) Kroger(Spr)

6900

70200

9.8

2486

1940

7) Good-Neighbor Pharmacy(Drg)

6900

7700

90.0

2700

2700

8) Safeway(Spr)

3700

42300

8.7

1745

1354

9) Supervalu(Spr)

3300

44000

7.5

2450

920

10) Kmart(Mass)

2800

50700

5.3

3800

1112

11) Target(Mass)

2700

63400

4.2

1613

1404

12) Longs Drug(Drg)

2700

5260

51.4

510

510

13) Health Mart(Drg)

2400

3100

77.0

1850

1850

14) Medicine Shoppe(Drg)

2375

2500

95.0

1397

1397

15) Ahold USA(Spr)

2000

21000

9.4

709

560

16) Costco(Mass)

1340

61000

5.0

391

385

17) Publix(Spr)

1220

23000

5.3

926

708

18) Albertsons(Spr)

1180

4700

25.0

310

305

19) Sam’s Club(Mass)

1100

44400

2.4

591

494

20) H-E-B(Spr)

1000

12800

7.8

305

206

(注)Drg=ドラッグストア&ファーマシー Mass=マスマーチャンダイザー  Spr=スーパーマーケット

 
 
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プロフィール

ドラッグストア研究会松村清会長
ドラッグストア研究会
松村 清 会長 (まつむら きよし)
 

Excell-Kドラッグストア研究会(http://www.drugstore-kenkyukai.co.jp/)、Excell-K薬剤師セミナー、及びExcell-Kコンサルティンググループを率いる流通コンサルティング会社Excell-K(株)ドムス・インターナショナルの代表者。小売業、卸店、メーカーに対するコンサルテーションをはじめ、講演、執筆、流通視察セミナーのコーディネーターとして活躍。特にドラッグストア開発、ロイヤルカスタマー作り、シニアマーケティングのための実務と理論に精通し、指導と研究では第一人者。年間半年を米国で生活し、消費者の目・プロの目を通して最新且つ正確な情報を提供しながら、国内外における視察・セミナー・講演を精力的にこなす。

日本コカ・コーラ(株)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)を経て独立('90)。慶応義塾大学卒(法学)、ミズリ―バレーカレッジ卒(経済)、サンタクララ大学院卒(MBA)。東京都出身。

CVS

■全米No.1のドラッグストア ウォルグリーン

主な書籍
セールス心理学―「No!」と言わせない商談必勝法
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松村 清 著
商業界 版
単行本
ページ 221P
サイズ 四六判
 
ウォルグリーン―世界No.1のドラッグストア
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松村 清 著
商業界 版
単行本
ページ 295P
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シニアカスタマー―中高年に好かれる企業が市場を制する!
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松村 清 著
商業界 版
単行本
ページ 212P
サイズ 四六判
 
サービスの心理学―心に染みるエピソード集
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松村 清 著
商業界 版
単行本
ページ 239P
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目からウロコ 販売心理学93の法則
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バックナンバー
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第29回 最近の米国ドラッグストア事情 (PartⅡ) 第30回 最近の米国ドラッグストア事情 (PartⅢ)
第27回 ドラッグストアの業態進化論 (PartⅡ) 第28回 最近の米国ドラッグストア事情 (PartⅠ)
第25回 体の衰えとエイジフレンドリーな対応 第26回 ドラッグストアの業態進化論 (PartⅠ)
第23回 「ドラッグストア業態争奪戦」(PartⅡ) 第24回 心のつながり(ハイタッチ)
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