商品が優秀なだけではヒットさせるのは難しい
― ヒット商品を生み出す秘訣は何でしょうか?
ヒット商品を開発するためのノウハウをよく聞かれます。そして、「商品がすばらしければ売れる」と思って、商品開発だけに力を注ぎ込む経営者の方が多いように見受けられます。確かに商品自体の性能が良くなければ、消費者に見向きもされません。でも、商品がすばらしくても、全く売れないものが世の中にはたくさんあります。実にもったいないことですが、商品が優秀なだけではヒットさせるのは難しいのです。
商品を売るために考えないといけないマーケティングの基礎は「4P」です。
「4P」とは、
の頭文字です。
つまり、先の事例で商品開発だけに注力するのは「4P」の内のProduct(製品)だけの施策しかないことを意味します。ヒット商品をつくるためには、Product(製品)だけでは片手落ちなのです。では、「4P」について簡単に説明をしましょう。
お客様から「この商品が欲しい!」「この商品が必要だ!」と思ってもらえる商品を提供することがヒット商品につながります。そのためにはお客様のベネフィット(欲求)に応えることが必要になります。
Product(製品)施策で決めるべきことは下記項目です。
1. 品質
2. デザイン
3. 機能
4. 付随するサービス(配送、設置、買い物相談、お問合せなど)
5. アフターメンテナンスや修理
6. ネーミング
7. パッケージ
8. ラインナップ(品揃え)及びオプション
価格は安すぎても品質が悪いように誤解されるし、高すぎても購入してもらえません。お客様のベネフィット(欲求)に応える価格を考えなくてはいけませんが、製造コストは無視できません。直販なら考えなくてもいいのですが、流通販売する際には、卸店や小売店へのマージンも考慮に入れる必要があります。
商品が顧客の手元に届くまでのルートやチャネルにより、売上も利益も大きく変わります。直販なら、途中でマージンを支払う必要はありませんが、卸売りをする代理店販売はマージンが発生します。その商流が何段階もあって複雑になればなるほど、卸売価格も何段階も考慮する必要があります。
WEBであっても、店頭であっても、商品をただ黙って並べておくだけでは、お客様の目に留まりません。商品に関心を持ってもらい、購入してもらうためには、プロモーションが欠かせません。
プロモーションには、大きく分けると広告/広報・PR/美容部員などの人的販売/セールス・プロモーション(SP)の4つがあります。他の3Pを考慮しつつ、適切な施策を考え組合せることが必要です。営業・販売もこちらに入ります。
マーケティングの4Pのバランスは?
ヒット商品を作る際に大事なのはProduct(製品)であって、その他のPはそれに付随するものという印象ですが、まず、第一に考えるべきなのはPlace(流通)だと言えます。
たとえば、上代価格が高くて、商品コンセプトが独創的で難しい商品であれば、低価格ラインが売れるドラッグストアでは取引してもらえません。ドラッグストアには専門知識がある販売スタッフがいないので、コンセプトが難しい商品の説明をして推奨販売することができないからです。
また、デパートで、トイレタリーのようにシンプルなコンセプトで低価格な商品を販売しても、お客様はそういうものを目的にデパートには行かないため、売れません。
Product(製品)やPrice(価格)、Promotion(プロモーション)は、Place(流通)を考慮に入れて企画すると成功に導きやすいと言えます。