商標を先に第三者に取られてしまったら?
第8章のコラムでは、外国で第三者に自社のブランド商標を取られてしまって困っていらっしゃるお客様の事例をご紹介しました。
今回は、「外国で第三者により自社の商標が取られていることが発覚した場合の対応」についてご案内します。
知的財産権は国毎に権利化が必要
知的財産権は国毎に独立しているため、発明について日本で特許を取得、もしくはブランド名について商標を登録しても、他国では権利として成立しません。
日本で登録済みで先行して使用していても、事業をする国で権利化していなければ、その権利が第三者に取られてしまうリスクがあります。
商標の場合は、第三者に取られてしまうと、貴社はその国でその商標を使用することができません。
(使用するために、ライセンス料を払う、譲渡してもらう等の本来であればいらぬ対応が必要となります。)
商標法には、商標を盗む(冒認)という概念はありません。従って、他人が使用している商標を勝手に出願をしても、それが合法的な権利として成立するのが原則です。そのため、自社の商標であっても、外国においても早期に出願することをお勧めしています。
そして、進出先での特許権や商標権の取得は、企業独自の技術力やブランドの裏付けとなり、海外での事業展開を進めることに有益であると同時に、模倣被害への対策にも有効です。
以下のチャートをご覧ください。
重要ポイントは2つ! もし先行されていたら、まずは以下の2つを確認しましょう。
恐らく、この時点で弁理士に相談されているかと思いますが、そうでない場合は、
外国知財(商標)の権利化に強い弁理士事務所に相談しましょう。
先行されてしまった商標がいつ出願されたか、既に登録済みか等によって対応は違います。
お早めに専門家に相談を!
段階ごとに検討が必要ですが、自社商標/ブランド商標が外国で先行して出願/登録されているのを発見したら、まずは一度専門家に相談しましょう。
現在の状況を時間をかけて把握し、その後、その国のパートナーと協力して状況を確認し、提案してくれる専門家を探してみてください。
また、各自治体の専門相談窓口やJETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)も心強い味方です。必要な場合は、お客様に同伴して、相談窓口やJETROへ状況説明、申請などのサポートも行ってくれるはずです。
コストについて
日本のほかに、進出する国毎に権利化するとなると、当然高額なコストが見込まれます。
その際に、お奨めしているのが、中小企業を対象とした、「外国知的財産権出願助成事業」(各自治体
/JETRO)の活用です。
また、事後=「既に登録されていた」場合の対応についての費用を助成してくれる「中小企業等海外侵害対策支援事業(冒認商標無効・取消係争支援事業)」もあります。(いずれも特定要件を具備した場合に対象となります。)
一度に複数国で権利化するには
・商標の国際登録制度(マドプロ出願)
・意匠(デザイン)の国際登録制度(ハーグ制度)
・発明であればPCT国際出願制度 等
これら制度の活用、また、自社の事業計画に基づき各国優先順位をつけ、事業成長とともに各国の権利化を順次進めるといった計画と対応も重要です。
このような専門的なことを弁理士に相談するには、技術や発明に強い特許弁理士なのか、商標に強い、特に外国での権利化に強い経験のある弁理士なのか等、そういったところも、確認されると良いと思います。
重要なポイント
今回ご紹介したのは、事後、その国での知財の権利化がどうしても必要な場合の対応です。
先行があったから、直ぐに諦める、もしくはその国で事業をやっているにも拘らず放置をすることは、後に大きなリスクになることもあります。
そのため、事前の早め早めの調査/出願-権利化を最も強くお勧めしますが、事後であった場合でも、放置せずに専門家に相談し、リスクを把握すること、これが重要です。
※ 中 国 の 場 合 の
無 効 審 判 に つ い て
【ケース1】
●商標法の規定に違反するとき、又は欺瞞的手段、もしくはその他不正手段により登録を受けたとき
【ケース2】
●他人の馳名(著名)商標を模倣等したもので公衆に誤認を与えるもの
●授権されていない代理人等による出願/登録
●地理的表示が当該地域によるものではなく公衆に誤認を与えるもの
●先に存在する他人の権利を侵害する商標のとき
●他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で先取りして出願した商標のとき
※ただし、ケース2の場合は、登録日から5年以内という縛りがあります。
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