景品表示法違反は一般消費者の利益を保護するために、うそや誇大広告・過大な景品提供を規制する法律です。その概要は「第7章 外国製サプリメントの輸入」の欄外に記載していますのでご参照ください。
今回はその景品表示法に違反した表示をホームページに掲載したために、消費者庁に措置命令※を受けて、経営が立ちいかなくなった美容整体サロンの事例をご紹介します。
芸能界でクチコミにより広まった施術
案件事業社は小顔矯正・骨盤矯正をメインに施術する整体サロンでした。整体師の先生の腕がゴッドハンドだということを、有名芸能人がクチコミで広めたために、芸能界をはじめ、美容に関心の高い一般人まで広まり、2年先まで予約がいっぱいの人気サロンになっていました。
2年先まで毎日施術予約でいっぱいになった整体師の先生はお休みをとることもままならない生活になり、ご自身が施術しなくても経営がまわるよう、「小顔矯正・骨盤矯正の美容整体サロン」だけではなく「美容整体エステサロン」と「美容整体エステティシャン養成スクール」と「オリジナル美容品の販売」の新規に3つの事業を立ち上げることを計画しました。
消費者庁から措置命令を受ける
美容整体サロンのホームページは景品表示法違反の表示が満載でした。それを指摘しても、顧問弁護士が大丈夫だと言っていると主張して改めませんでした。消費者庁から景品表示法に違反する行為が認められ、措置命令を受けたのは、その1年後でした。
○ 小顔矯正
○ 即効性と持続性に優れた施術です。
○ 小顔矯正施術は骨に働きかけて、縫合(ほうごう)線※を詰めるだけでなく、主にえらの骨や頬骨に優しく力 を加え内側に入れていきます。いくらダイエットをしても骨格が変わらなければ小顔にも限界があります。その限界をなくして理想の輪郭を手に入れることができるのです。
※縫合線・・・骨のつなぎ目
ウェブサイトにおいて、例えば、上記のとおり記載し、あたかも、対象役務を受けることで頭蓋骨の縫合線が詰まるとともに、頬骨等の位置が矯正されることによって、直ちに小顔になり、かつ、それが持続するかのように示す表示をしていました。当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、整体サロンから資料が提出されました。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかったため、優良誤認に該当したというのが措置の理由でした。
施術の個人顧客はいましたが、3つの新事業は…
2年先まで予約いっぱいだった個人顧客はいましたが、新規で立ち上げる予定だった「整体エステサロン」と「整体エステティシャン養成スクール」の設立は遅れ、開発途中だったオリジナルの美容品は、景品表示法違反措置のニュースを知ったOEM会社が手を引いてしまって、ほとんどの商品が実現しないままでした。
いくら顧問弁護士が大丈夫だと断言しても、その弁護士が景品表示法を熟知していなければ、このような事態に陥る可能性はあります。
景品表示法に違反して措置命令が出た事例は全て消費者庁ホームページに掲出されていますので、経営者ご自身で事前に確認して知識を身に着けることをお勧めします。
3年後に、別の9事業社に同様の措置命令
前述の美容整体サロンの事例はそれだけで終わらずに、3年後、消費者庁は、小顔になる効果を標ぼうする役務(以下「小顔サービス」)を提供する事業者9社に対し、景品表示法に基づき、措置命令を行いました。9社が供給する小顔サービスに係る表示について、景品表示法に違反する行為が認められました。表示を裏付ける合理的根拠が示されず、規定により優良誤認に該当するというものでした。
どの事例もそうなのですが、
同業他社に措置命令が出たら、自社を見直すことが大切です。
後の9社は、3年前の措置命令を事前に知っていれば、同様なことに至らなかったと思われます。
定期的に消費者庁のホ―ムページをチェックすることをお勧めします。
最後に
大手企業だけチェックされて、WEBサイトや小規模事業者は見逃されると思われている経営者が多く見受けられますが、WEBサイトも小規模事業者も常時パトロールされています。
指摘されて、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すことができなかったら、消費者庁のホームページに掲載されますが、削除されることはありません。
お客様や協力会社の信頼を失わないよう、自社は小規模事業者だから大丈夫と思い込まずに、厳しい目で確認してください。
自社で判断ができない場合は、専門家にご相談することをお勧めします。
景品表示法違反に関する第6条前段では
第6条(措置命令)
内閣総理大臣は、第3条の規定による制限若しくは禁止又は第4条第1項の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。(以下略)
内閣総理大臣は、景品表示法違反行為をする事業者に対し、行為の差止や再発防止などを命じることができることを措置命令と言います。
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