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この動画は血管の老化を防ぐタンパク受容体『Tie2(タイツー)』が何で
どのような働きをするのか、分かりやすくまとめた動画(約5分)です。
よくわかるTie2説明動画
体中に張り巡らされ、組織細部にわたり養分や酸素を運搬する極めて重要な器官、血管。バイオサイエンスの世界では昨今、この血管のメカニズムに関する研究に注目が集まっている。日本ではまだほとんど知られていない『Tie2(タイツー)』をキーワードに、血管の健康・不健康が人体に与える影響や、血管の抗老化に寄与する食品開発の可能性などについてレポートする。
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『Tie2(タイツー)』を語る前にまず知っておかねばならないのが、血管とその老化メカニズム。「血管」は文字通り、血液が流れる管のこと。成人の血管をまっすぐにつなげると赤道の約2.5倍となる10万kmにもおよぶ。体中の組織に酸素と栄養を運ぶ血液の通り道である血管は、内側の内皮細胞を外側の壁細胞がしっかりと結わえている構造が維持できていれば、正常で安定した状態であるといえる。
良好な血管・リンパ管の状態
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血管により栄養・酸素が必要な
場所まで運ばれる
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リンパ管により老廃物や水分の
回収が速やかに行われる
ところが加齢とともに壁細胞と内皮細胞の接着はもろくなり、隙間ができてしまう。その結果、栄養分や酸素が漏れやすくなり、それらの運搬が滞るようになる。これがいわゆる血管の老化である。この血管の老化を放置すると、血管が枯れ、ゴースト血管になってしまう。
不良な血管・リンパ管の状態
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血管から栄養分などが漏れる
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リンパ管により老廃物や水分の
回収が速やかに行われる
一方、体を守る免疫細胞の通り道であり組織内の老廃物を回収する働きを持つリンパ管の内皮細胞の隙間が開き過ぎ、ゆるんだ状態となり、老廃物を回収する機能が弱くなると水分や老廃物はそのまま組織の中に溜まってしまうことになる。これがいわゆる“むくみ”の正体だ。
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全身に張り巡らされた血管とリンパ管の衰えは、酸素や栄養成分などの円滑な運搬を妨げるため、必然的にあらゆる器官へダメージを与え、老化へとつながる。従って、血管の老化を防げれば肉体の抗老化そのものとリンクするが、厄介なことに一度老化した血管は、なかなか元へは戻らない。
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『Tie2(タイツー)』とは、血管内皮細胞に発現する受容体型チロシンキナーゼ(タンパク質のチロシン残基をリン酸化する酵素)で、最近血管の老化(ゴースト化)に深くかかわっていることが明らかになっている。この『Tie2(タイツー)』の働きが活発になると血管が守られ、老化(ゴースト化)を防ぐことになる。つまり、できるだけ老化(ゴースト化)を防ぎたい血管の救世主的役割を果たすのが、『Tie2(タイツー)』というわけである。
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もっとも、『Tie2(タイツー)』はそのものだけでは、血管のアンチエイジングを果たすわけではない。そこで、その働きを活発にする物質が、必要となる。それが、血管外側の壁細胞から分泌されるアンジオポエチン-1だ。このアンジオポエチン-1が、内皮細胞に発現する『Tie2(タイツー)』受容体と結合することで、細胞組織を活性化。内皮細胞と壁細胞の直接的、あるいはマトリックスを介した接着が誘導され、血管自体を健康で安定したものにする。
リンパ管においても同様のメカニズムで老化が防止され、シワやむくみの予防、スリミング、関節ケア、中性脂肪の回収、メタボ予防、育毛、アイケア、ED予防など、多くの疾病の改善などにつながる可能性がある。
血管の老化が肉体の老化につながるという概念。そして、その血管のアンチエイジングのカギを握る『Tie2(タイツー)』。このことを知っておくと、誰もが避けて通れない老化との付き合いかたが一気にスマートなものとなる。その研究データや『Tie2(タイツー)』を活性化する生薬成分の存在、オーソリティの声なども交え、『Tie2(タイツー)』のさらなる事実や可能性をリポートしていく。
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血管内皮細胞に発現する受容体型チロシンキナーゼ(タンパク質のチロシン残基をリン酸化する酵素)で、毛細血管やリンパ管の維持に深くかかわっていることが明らかになってきた。最近の研究では、毛細血管やリンパ管のゴースト化を防ぐことが、認知症や骨粗鬆症の予防、脂質代謝にも影響を与えていることがわかってきており、その生物学的作用の多面性が注目されている。
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(Angiopoietin-1:Ang1)
血管内皮細胞と壁細胞の接着を促進することにより、血管の安定化に寄与する因子。Tie2受容体を介して作用するタンパク質。
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