知的財産権×商品開発 切り離せない理由 -第2章「流通を見据えた商品戦略、競合他社に負けない商品力」-

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知的財産権、商品開発 第1章「売れる商品を企画するために明確にしておきたいこと」

様々な流通販売の流れ

様々な流通販売の流れ

流通(りゅうつう)とは、生産者などから商品を消費者へ販売するための物・貨幣・情報の流れのことです。商品を直接、消費者に販売するのではなく、問屋に配送して、問屋から小売店に販売するような販売方法を流通販売といいます。

ドラッグストアやスーパーマーケット、化粧品専門店、バラエティショップで販売したい場合、その小売店と契約している問屋(販売代理店)との取引、テレビショッピングやラジオショッピング、カタログ通販、雑誌通販、WEBモール等、既存の番組や局で販売する方法も流通販売です。

卸売り価格設定と販売に費やす日数

卸問屋

卸問屋と取引する際に、店頭での希望小売価格のほかに卸問屋への卸価格を設定する必要があります。また、問屋を経由せずに直接小売店に卸す場合も同様に、その卸価格を設定する必要があります。

たとえば、店頭での希望小売価格1,000円の商品の場合、小売店での利益を2割とすると、卸問屋から小売店への卸価格は800円ですが、大手チェーンでは1,000円ではなく、2~3割引きの800円~700円で販売することがあります。

卸問屋から小売店への販売価格は店頭で2~3割値引きしても儲けが出る希望小売価格の5~6割前後となります。問屋が2割の利益を出したいならば、問屋への卸価格は定価の3~4割前後となります。

卸価格3~4割前後で利益を出すためには商品原価をどう抑えるかということが課題になります。販売原価だけではなく、小売店や問屋への配送料やアッセンブリー費もメーカー負担になることを忘れてはいけません。

また、販売するまでの時間も考慮に入れる必要があります。問屋商談から販売契約、問屋支店への商品説明会を経て、問屋営業が小売店チェーンの本部バイヤーに商談をするという何段階も行程を踏み、棚割で導入を勝ち取るまで早くて3か月かかります。テレビショッピングやカタログ通販の場合、商談から販売まで1年かかる場合もあります。

デザイン戦略と意匠制度

化粧品商品開発

流通販売では、価格も商品コンセプトも処方もパッケージデザインも似たような多種の商品が同じ売場に並びます。その差がお客様にはわかりにくいのが現状です。流通販売チャネルで売れるためには、原価を抑えながらも、競合他社商品との差別化が明確で、商品特徴がお客様にわかりやすい商品開発が必要になります。

売場において、まずは貴社の商品を、 お客様が手にとっていただくような戦略のカギが知的財産権にあります。

売り場で目を引くような特徴的なパッケージや容器デザインは、知的財産権では、パッケージや容器デザインを保護する意匠権を取得すれば、そのデザインを登録から最長20年間独占できます。化粧水から美容液までシリーズ化してデザインを統一するような展開の場合、パッケージや容器デザインの意匠権を取得すると、似たようなデザインを他社が採用することをけん制でき、ブランド展開をしやすくなります。意匠登録は、商品の全体デザインだけではなく、商品の一部の特徴があるデザインについて部分的に意匠権を取得することもできます(部分意匠登録)。

商標権の効力

ブランド名やそのロゴも重要です。これは商標権という権利で保護することができ、更新すれば半永久的に独占できます。今はなんでもネット検索の時代ですから、たとえば、テレビで見かけたうる覚えの貴社の商品名も、商標権を持っていれば、(注)類似する商品名やサービス名を他社が使うことをけん制でき、自社の商品名やサービス名をネット検索で上位表示させることができます。

(注)商品や役務(サービス)の内容によって、特許庁が45種類に区分けした分類があります。この区分を指定して商標権を登録します。この区分が違えば、同じ商品名や役務名でも商標権の侵害にはなりません。

化粧品広告で特許を謳うことはできるかか?

特許取得

化粧品の広告として、特許を取得していることの表現は、薬機法の医薬品等適正広告基準により禁止※1 されています。しかし、広告目的ではなく、権利侵害防止の目的であれば、例外的に商品に表示できる場合があります。(昭和39年10月30日 薬監第309号 厚生省薬務局監視課長通知)

特許取得の文字

広告の中で、特許についての表示はできないが、容器やパッケージ、添付する説明書などへの記載について、「製法特許」※2 の文字及び特許番号並びに特許発明にかかる事項を併記して正確に表示することを条件に認められる場合があります。
詳しくは、専門家などに相談をしながら、上手に自社の特許を表示することが望ましいと言えます。

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知的財産権 連載コラム 目次
 

知的財産権 用語辞典

※ 1 . 特 許 広 告 に つ い て

化粧品の広告として、特許を取得していることの表現は、薬機法の医薬品等適正広告基準により禁止


健康食品や雑貨は、薬機法の制限を受けないため、特許の表示は可能となりますが、健康食品は、医薬的な効果効能(雑貨の場合は医療機器的効果効能)を謳うことはできませんのでご注意ください。

※ 2 . 製 法 特 許

「製法特許」とは、製品自体ではなく、その製品の製造方法の特許です。例えば、化粧品やサプリメントの製造方法の特許です。





























化粧品・健康食品会社運営専門
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IPP国際特許事務所

 
 

著 者 プ ロ フ ィ ー ル

株式会社ビューティラボ代表 中野啓子

株式会社ビューティラボ代表
中野 啓子

● 多摩美術大学 美術学部 デザイン科
グラフィックデザイン専攻 広告デザイン専修
● アートセンター カレッジ オブ デザイン
(U.S.A.)

<実務経歴>
中堅化粧品会社2社に20年、ベンチャー企業2社に2年勤務。パッケージデザイン・商品企画・販促・マーケティング・広報・広告・ホームページ管理運営・お客様相談室・営業企画を歴任。美容業界に34年間在籍。2007年(株)ビューティラボを設立。10年間で経営支援実績企業は約120社。
●中小企業・小規模事業者ビジネス創造等支援事業 登録専門家。
●(公財)東京都中小企業振興公社主催創業支援プログラム「TOKYO起業塾」
 インキュベート・サポーター。
●ふくしま地域産業6次化イノベーター
●独立行政法人 中小企業基盤整備機構 中小企業大学校 東京校
  ビジネスト 女性創業アドバイザー

株式会社ビューティラボ http://www.beauty-labo.jp/

IPP国際特許事務所 模倣防止協会長・弁理士 松下 昌弘

模倣防止協会会長
IPP国際特許事務所所長

松下 昌弘

● 早稲田大学大学院 理工学研究科修了
● IPP国際特許事務所 所長
● 企業法務知財協会 会長
● 日本弁理士会、アジア弁理士会 、
  国際商標協会INTA 会員
● 日本薬科大学 客員教授
● 政策研究大学院大学 講師

<実務経歴>
●企業知財業務のコンサルティング、教育
●特許・意匠・商標・不正競争防止法に関する係争、訴訟
●税関による差止事件
●知財価値評価、調査、契約、発明創出支援

IPP国際特許事務所 http://www.ippjp.com/
模倣防止協会 http://www.mohouboushi.org/

 
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