流通(りゅうつう)とは、生産者などから商品を消費者へ販売するための物・貨幣・情報の流れのことです。商品を直接、消費者に販売するのではなく、問屋に配送して、問屋から小売店に販売するような販売方法を流通販売といいます。
ドラッグストアやスーパーマーケット、化粧品専門店、バラエティショップで販売したい場合、その小売店と契約している問屋(販売代理店)との取引、テレビショッピングやラジオショッピング、カタログ通販、雑誌通販、WEBモール等、既存の番組や局で販売する方法も流通販売です。
卸問屋と取引する際に、店頭での希望小売価格のほかに卸問屋への卸価格を設定する必要があります。また、問屋を経由せずに直接小売店に卸す場合も同様に、その卸価格を設定する必要があります。
たとえば、店頭での希望小売価格1,000円の商品の場合、小売店での利益を2割とすると、卸問屋から小売店への卸価格は800円ですが、大手チェーンでは1,000円ではなく、2~3割引きの800円~700円で販売することがあります。
卸問屋から小売店への販売価格は店頭で2~3割値引きしても儲けが出る希望小売価格の5~6割前後となります。問屋が2割の利益を出したいならば、問屋への卸価格は定価の3~4割前後となります。
卸価格3~4割前後で利益を出すためには商品原価をどう抑えるかということが課題になります。販売原価だけではなく、小売店や問屋への配送料やアッセンブリー費もメーカー負担になることを忘れてはいけません。
また、販売するまでの時間も考慮に入れる必要があります。問屋商談から販売契約、問屋支店への商品説明会を経て、問屋営業が小売店チェーンの本部バイヤーに商談をするという何段階も行程を踏み、棚割で導入を勝ち取るまで早くて3か月かかります。テレビショッピングやカタログ通販の場合、商談から販売まで1年かかる場合もあります。
流通販売では、価格も商品コンセプトも処方もパッケージデザインも似たような多種の商品が同じ売場に並びます。その差がお客様にはわかりにくいのが現状です。流通販売チャネルで売れるためには、原価を抑えながらも、競合他社商品との差別化が明確で、商品特徴がお客様にわかりやすい商品開発が必要になります。
売場において、まずは貴社の商品を、 お客様が手にとっていただくような戦略のカギが知的財産権にあります。
売り場で目を引くような特徴的なパッケージや容器デザインは、知的財産権では、パッケージや容器デザインを保護する意匠権を取得すれば、そのデザインを登録から最長20年間独占できます。化粧水から美容液までシリーズ化してデザインを統一するような展開の場合、パッケージや容器デザインの意匠権を取得すると、似たようなデザインを他社が採用することをけん制でき、ブランド展開をしやすくなります。意匠登録は、商品の全体デザインだけではなく、商品の一部の特徴があるデザインについて部分的に意匠権を取得することもできます(部分意匠登録)。
ブランド名やそのロゴも重要です。これは商標権という権利で保護することができ、更新すれば半永久的に独占できます。今はなんでもネット検索の時代ですから、たとえば、テレビで見かけたうる覚えの貴社の商品名も、商標権を持っていれば、(注)類似する商品名やサービス名を他社が使うことをけん制でき、自社の商品名やサービス名をネット検索で上位表示させることができます。
(注)商品や役務(サービス)の内容によって、特許庁が45種類に区分けした分類があります。この区分を指定して商標権を登録します。この区分が違えば、同じ商品名や役務名でも商標権の侵害にはなりません。
化粧品の広告として、特許を取得していることの表現は、薬機法の医薬品等適正広告基準により禁止※1 されています。しかし、広告目的ではなく、権利侵害防止の目的であれば、例外的に商品に表示できる場合があります。(昭和39年10月30日 薬監第309号 厚生省薬務局監視課長通知)
広告の中で、特許についての表示はできないが、容器やパッケージ、添付する説明書などへの記載について、「製法特許」※2 の文字及び特許番号並びに特許発明にかかる事項を併記して正確に表示することを条件に認められる場合があります。
詳しくは、専門家などに相談をしながら、上手に自社の特許を表示することが望ましいと言えます。
※ 1 . 特 許 広 告 に つ い て
化粧品の広告として、特許を取得していることの表現は、薬機法の医薬品等適正広告基準により禁止
健康食品や雑貨は、薬機法の制限を受けないため、特許の表示は可能となりますが、健康食品は、医薬的な効果効能(雑貨の場合は医療機器的効果効能)を謳うことはできませんのでご注意ください。
※ 2 . 製 法 特 許
「製法特許」とは、製品自体ではなく、その製品の製造方法の特許です。例えば、化粧品やサプリメントの製造方法の特許です。
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