サプリメントを安心・安全に摂るにはどうすればいいのか。正直言いまして、日本では、まだその段階にはないというのが私の印象です。というのも、日本の場合は、病気になる前の予防、健康維持という意識がまだまだ低い。従って、そのためにサプリメントを活用するという考えが薄い。手厚い保険制度などにより、病気になれば、大きな負担なく治療してもらえる、という土壌ですから、どうしても「病気になってから治療すればいい」という風になるのでしょうね。
サプリメントの先進国であるアメリカは、そうした日本の状況と比べると本当に進んでいます。保険制度の違いがあり、治療費が莫大ですから各人がそれぞれ病気にならないよう努力をするんですね。もちろん、一番大きいのは、サプリメントを取り巻く環境です。米国のサプリメントには、効能効果が表示され、自分が必要とするものを明確に選択することができます。関連の書物も豊富に出回っています。医師もサプリメントの知識をしっかりと有しており、相談に乗ってもらうことも可能です。専門家もたくさんいます。とにかく情報が豊富にあります。
日本ではサプリメントとして認められていないような成分のものでも米国ではキチンと血液検査などをすることで、必要量を測定した上であれば、購入することができたりもします。必要なサプリメントをメモなどに書いて、店頭で渡すとちゃんと処方してくれます。もちろん、自腹での購入になりますから、みんな真剣です。しっかりと勉強し、分からなければ、専門家に相談します、そういった環境が整っています。出回っているサプリメントの質に関しては、ピンきりですが、そういった土壌ですから、ヘンな製品は自然と淘汰されていきます。
翻って日本はどうでしょう。薬事法等により、効果効能の表示は禁じられています。情報も増えてきつつありますが、決して多いとはいえません。良質なサプリメントもあるのでしょうが、まだまだそれがしっかりと伝わりづらい環境です。そうした中で粗悪品も出回り、サプリメント本来の役割が伝わる前に、負のイメージが増幅している感すらあります。サプリメントが普及する土壌としては、難しい状況にあるといえます。もっとも、だからといってあきらめる、ということではもちろんありません。
日本でも関連書物などは販売されていますし、インターネットなどで情報を収集することも可能です。医療の現場でのサプリメントの使用も増えてきています。個人での使用であれば海外のサプリメントもネットなどで手軽に購入できます。その気になれば、日本でも米国並みにしっかりとサプリメントを活用することは充分に可能です。
ただし、大事なことは、その際に専門家などにキチンと相談することです。私どものクリニックでは、日本ではサプリメントの成分として認められていないDHEA処方します。個人輸入でも購入はできますが、使い方を誤ると副作用があります。そうしたこともあり、私どもは、キチンとホルモン量を測定した上で、必要な量だけを処方します。そうしたやり取りの中で、外来にこられた方にはサプリメントについての情報や知識をしっかりと提供しています。アンチエイジング外来ですから、費用は自腹です。ですからみなさん真剣に耳を傾けます。こういったところからでも疾病予防や健康維持などのためのサプリメントのあり方がしっかりと浸透していけば、本当の意味でその品質や安全性についての意識も高まっていくのではないかと思います。
プロフィール
URL : ワールドシティ益子クリニック
http://www.wcmc.jp/
産業医科大学卒業。 横浜市民病院外科、北里大学医学部救命救急センター、益子病院内科などを経て、NYのザ・サレーノ・センターで行われている最先端治療プログラムを習得し、日本に導入。現在、ワールドシティ益子クリニックにアンチエイジング外来を開設。キレーション療法を始めとする各種点滴療法、ナチュラルホルモン療法が専門。
米国抗加齢医学会
日本抗加齢医学会
点滴療法研究会
日本内科学会
NY式デトックス(WAVE出版)
アンチエイジングヘルスフード(サイエンスフォーラム)
ビジネスサポート(WAVE出版)