「ヘルスフード」を機能性と安全性という、2つの科学的根拠に基づく機能性食品と規定するならば、それら2つの根拠には、車の両輪のように均等に加重がかかるべきと考えている。どちらかに不具合が生じれば正しい方向には進まない。
近年までの機能性研究の進展は著しいものの、市場価値とは関係ないと判断された安全性研究が遅れを取った事は歪めない。しかし現在においては、食の安全性の確保が国民の健康に大きな影響を与える事実が指摘され始め、安全性研究への加重が増えてきていると思われる。ここで、そろそろ均等加重の方法論を見出す時期ではないであろうか。
産・官・学・医のそれぞれの立場から、真に国民の健康福祉と社会貢献を考慮した相互協力体制を築くことにより、一般食品に止まらず「ヘルスフード」への安心と信頼を勝ち得ることになるものと確信している。国民のためのヘルスフード開発や市場を総括的に考えて、日本における健康食品企業の発展を考えた場合、何を考慮すべきかを以下に所感を述べる。
以上のように、それぞれの立場に置ける行動規範や思慮が国民全体として必要ではないかと考えている。そしてそのために、産・官・学・医の相互協力体制を築いてリーダーシップを発揮出来る組織作りなどを考える時期が来たのではないだろうか。
プロフィール
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1972年京都大学工学部工業化学科卒業。(株)ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生体研究室勤務。その後、(財)相模中央化学研究所に入所、東京大学より農学博士号を授与される。2000年湘南予防医学研究所設立、現在東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科ヘルスフード科学講座客員教授。予防医学、ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする。
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