いま食の安全性が問われて、普段なにげなく食べている食品でも、それがどこで作られ、どういうルートで売られているのか、買う前に確認するようになりました。それは最近起きた、様々な食品の事件から得た私の行動の変化かもしれません。それでもまだまだ、私たちは、お医者さんからもらう薬は安全性が高いだろうと、信じていますし、有名レストランであれば、新鮮な素材を使っているだろう、と思ってしまいます。しかし、口の中に入れるということは、食品であれ、薬であれからだの中に直接入ってくるものと思わないといけません。
未知の食べ物であれば、見た目で新鮮なのか考え、においで確認し、五感を総動員して分析するはずです。それが「知り合いに勧められた」「みんながいいと言っている」という曖昧な情報だけで、安全性を確認しないで、サプリメントを摂ってしまうことがあります。お医者さんが、患者さんに安全な薬であると言えるのは、医薬品では安全性試験や大規模な調査によって、信頼できる安全性が確立されているからです。食品であれば、経験上安全であるとか、ある程度五感を使って、危険を回避することも可能です。サプリメントのように製品化されてしまうと、五感を使って安全性を確認することは不可能になってきます。ところが、サプリメントのように錠剤やカプセルなどの形状に製品化されてしまうと、そうやって五感を使って安全性を確認することはきわめて難しくなってきます。
ではどうすればいいのか。可能であるのは、知恵を使って安全性を確認することです。知恵を使うといっても、サプリメント自体にしっかりした安全性の基準がなければ意味がありません。いくらパッケージを読んで大丈夫だろうと言っても、確認することができません。
口の中に入れるという物という考えであれば、サプリメントも医薬品も同じです。毒性試験、表示された成分がきちんと含まれているか、せめてそれを表示すべきです。現状ではまだその基準がサプリメントではしっかりと確立されていません。
サプリメント評議会では、独自にそれを調べることで、ひとつの安全基準作りをしようと努力しています。口に入れるものの安全性をもう一度、しっかり考えていく必要があるのです。
医療費削減が国の大きな方針となっています。自分の健康は自分で守る時代になってきました。医薬品は予防より治療が目的になります。サプリメントは病気の予防ではなく、自分の健康管理のための補助的なものと考えるべきでしょう。きちんと食事をすることがまず基本にあって、それが十分できない場合、サプリメントで補助していく。それがサプリメントの本来の姿ではないでしょうか。
プロフィール
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http://yoneyone.com/
1977年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業。1995年聖マリアンナ医科大学第2内科助教授・健康管理部副部長。1998年本格的な執筆活動のため退職 現在、日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員 、神経内科専門医、老年病専門医、NPO 日本サプリメント評議会 代表理事 、NPO 日本ブレインヘルス協会 理事 、推理作家協会会員
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