日本プロバイオティクス学会理事長である東海大学医学部感染症研究室の古賀泰裕教授から、当社にLS1という乳酸菌を製品化したいというご提案があったのが最初のきっかけです。古賀教授はプロバイオティクス(腸内の善玉菌)のヨーグルトをメーカーと共同開発されているような方なのですが、消化器官でプロバイオティクスが効くなら口腔内で効くものがあるはずだと約300種類もの乳酸菌から探した結果、発見したのがLS1 だったのです。当社にご提案があった時すでに、試験管での実験では歯周病に効果があるという結果が出ていました。歯周病に効く乳酸菌はいくつかあったそうですが、通常、乳酸菌は虫歯の原因となる酸を放出します。ところがLS1は、口腔内を殺菌した後に自分で作った酸で自滅してしまうので、虫歯にならないのです。
古賀教授が当社に白羽の矢を立てた理由は、LS1を口腔内で滞留させるアメ、ガムなどを検討する中で、熱に強く口腔内に滞留させることができるタブレット化の技術があり、生産施設を国内に持っている当社を評価したからです。当社は当時、タブレット「ピンキー」を大ヒットさせていました。そこで、今から7~8年前に共同研究がスタートしたのです。お菓子で手軽に歯周病を予防するというのは面白い試みだと思いました。
99年の調査で歯周病菌の罹患率は全人口の72.9%、人口にして9000万人いるといわれています。歯肉に炎症があるなど歯肉に何らかの症状を持つ人の 人口は増加傾向にあります。マーケットとして、とても大きいといえるでしょう。しかも歯科界では歯周病の特効薬は見つかっていない状況です。
これまで歯周病の予防というと、物理的に歯ブラシで原因菌を取り除こうというものしかありませんでした。しかし、乳酸菌LS1は歯周病を抑制する働きがあるのです。
8週間、軽度の歯周病がある人を中心とする57名に1日5回、1回につき「クリッシュ」5粒を摂取してもらう臨床試験 を行いました。摂取は食前・食後に関わらずいつ行ってもいいという条件です。服用前に歯周病菌が検出されなかったのは8名でしたが、8週間後には30名に 増加しました。
測定には3つの指標を用いました。まず歯垢の原因物質である、唾液中の不溶性グルカン量の変化を調べました。服用前は 9.9±6.0mgだったのが、8週間後には4.2±2.2mgに減っていました。次にハリメーターによる口臭を測定しました。口臭の原因のほとんどは歯 周病菌だからです。歯周病菌がタンパク質を分解しメチルメルカプタン、硫化水素などを発生させると口臭が発生するのです。口臭のある20名のうち、服用前 に164RUであった数値は90RUに減少し、口臭がなくなった人は13名に上りました。さらに、唾液のph値を調べました。唾液はアルカリ性だと歯周病 菌が活発になりやすく、酸性だと虫歯菌が活動しやすくなります。中性に保たれているのがベターなのです。8週間後にほとんどの人が中性になりました。この 最後の臨床データは画期的です。乳酸菌は虫歯につながるという歯科医の懸念を取り去ることができたので、歯科医ルートでも販売できるようになったのです。
日本歯周病学会では学会発表を4回行っており、1回目は唾液中の歯周病菌のLS1による検証、2回目はその作用機序、3回目は口腔内の歯周病ポケットの代表的な歯周病菌“ポルフィロモナスジンジバリス”にLS1がどう作用したか、4回目はその総括です。
4回目の学会発表は今年4月に行ったばかりなのですが、立ち見も出る盛況ぶりでした。
プロバイオティクスを歯周病に使うという発想は世界にもありません。新規性と有効性、将来性が評価されたと受け止めています。
いかに乳酸菌を殺さずにタブレットにするかに研究を費やしました。例えば、タブレットにする時の打圧、水分などに乳酸菌は弱いのです。原料の配合、打圧、 包装材に至るまでのノウハウは当社の企業秘密です。追随してくるメーカーがないのは、他社ではできなかったのではないかと思います。聞くところによると、 さまざまなメーカーが乳酸菌で歯周病予防をする研究をしているようです。
特に甘味料としては使用しておりません。しかし、錠剤を形づくるための賦形材として虫歯になりにくい糖アルコールであるソルビトールを使用しています。こ の糖アルコールは砂糖100に対して60の甘味がありますので、それを甘く感じることはあります。味はクールミントとヨーグルトの2種類です。自社通販で は、季節限定フレーバーの展開も行っています。
お菓子感覚で、食前食後いつ摂ってもOKです。噛み砕くよりなめて口腔内の滞留時間を長くした方がいいです。
健常な人です。歯周病の予防に使用してほしいと思います。実際に購入するのは30~40代の女性が多いのですが、家族で食べているのではないでしょうか。ユーザーからは「朝、起きた時に口の中がネバネバしなくなった」、「末期の歯周病と歯科医に言われたが、歯肉が改善され、歯を抜かずに済んだ」などの声が挙がっています。
自社通販、ネットを中心とする他社通販、歯科医、スポーツジム、百貨店の健食売り場、生協などです。やはりただ製品を並べるのではなく、アドバイザーやインストラクターなど説明する人がいる販路が好調なようです。まずは口腔内の健康に敏感なコアな層に「クリッシュ」の認知度を高め、世の中に浸透した段階で一店販ルートにチャレンジしたいと思います。現在は学会発表で主に歯科医の認知を高めているところです。
去年の夏にトクホを申請しました。トクホの認可が取れれば、明確にお客様に効果効能が伝えられます。また、歯科医などコアなルートに広がるきっかけになると思います。2~3年後が楽しみだという気がしています。