サプリメント用のソフトカプセルですが、通常のカプセルとは少し異なります。ソフトカプセルはゼラチンで皮膜(殻)を作りますが、これにフィチン酸を添加することで、カプセルの不溶化を防止しているのです。湧永製薬(株)が開発し、当社が独占販売をしています。
ソフトカプセルはある条件下では時が経つと、溶解性が失われてしまうことがあります。カプセルが崩壊するまでに時間がかかると、サプリメント成分が吸収さ れるにくくなります。どんな栄養や機能性成分であれ、吸収されなければ意味がありません。崩壊試験機で4時間実験しても、カプセルが崩壊せず、内容成分の 溶出が全く認められなかった例もあります。
こうした不溶化による崩壊遅延は、熱や光の影響のほか、着色剤や天然物由来のエキス配合で起こります。崩壊遅延を引き起こしやすい成分としては、DHA・ EPA(魚油)、ブルーベリー、黒酢、香酢、シトラス、キノコ類、ガルシニア、にんにく、ミネラル類、アスコルビン酸が挙げられます。これらに含まれるア ルデヒド類と多価金属イオンがゼラチンと反応することが原因と思われます。
フィチン酸は米ぬか由来の天然成分で、食品添加物として抗酸化剤や安定剤として用いられています。医薬品ではモディファイドゼラチンといわれるものを使用 することで崩壊遅延防止対策が図られていますが、食品に使用できません。そこで、複数の食品添加物で研究を進めた結果、フィチン酸でカプセルの崩壊遅延防 止が確認されたのです。研究開発には3年ほど費やされています。
ゼラチン皮膜にフィチン酸を添加すると、アルデヒド類とゼラチン成分の化学的な反応が阻害されます。また、多価金属イオンはフィチン酸のキレート作用や抗酸化作用により不活性化されます。そのため、カプセルの崩壊性が改善されるのです。
当時は崩壊遅延防止に有効な技術がなく、そのメカニズムもはっきりとは解明されていませんでした。そのため“崩壊する”と保証することができなかったんで す。健康食品素材の中には天然物の抽出エキスがあるのですので、成分が複合しており、全てが明らかではないこともあります。そのため、何が崩壊遅延を引き 起こしているのかを突き詰めるのが困難でした。
また、さきほど食品に使用できるものと医薬品に使用できるものは異なると言いましたが、限られた食品添加物の中から崩壊遅延防止に効果があるものを探し出さなければなりませんでした。
健康食品など、食品開発にはスピードが求められます。原因追求に時間がかかり、開発自体が中断することもしばしばありました。そういう状況下で、崩壊性をすばやく証明する実験手法を確立することも大変だった点です。
これまではDHAやブルーベリーなど、製品化をあきらめていたメーカー様から高い評価を頂いています。実際、崩壊遅延防止効果を「DHA+ブルーベリー」 「アスコルビン酸+ハーブ」といった処方で実験したところ、従来品では40℃の安定性試験で崩壊遅延していましたが、エフキャップでは崩壊遅延が認められ ませんでした。
当社では、崩壊遅延の可能性のある成分にはエフキャップを、その他の成分には通常のゼラチンカプセルをお勧めしています。コストはほぼ同じです。他に、ゼ ラチンではなくカラギーナンとデンプンをカプセル素材にした独自製品「GREEN CAP(グリーンキャップ)」もあります。全て植物由来素材から作られていますから、植物性をアピールできます。用途に合わせて使い分けて頂ければと思い ます。
崩壊試験の様子。不溶化したカプセルは4時間経過しても崩壊していない。