2008年12月、実に112年ぶりに公益法人制度が改革される。といってもほとんどの人がピンと来ないであろう。しかしそれが「一気に業界No.1になる顧客獲得スキーム」のカギを握るとすればどうだろうか?まるで1世紀ぶりのこの改革を予期していたかのように「新・家元制度」というビジネスモデルを提唱し、この夏、それをまとめた本も出版したコロネット会長・前田出氏にそのポイントを迫った。
ごく簡単にいうと、登記だけで非営利法人の一般財団法人が作れます。その中で公益性が認められた団体は公益財団法人として税制優遇等を受けることができます。
このモデルを私は「新・家元制度」とネーミングしました。家元制度というのは日本文化を育んできたすばらしい伝統制度です。しかしながら、家元になるには、何段階ものステップを踏み、何十年もの歳月を要します。悪くいえば閉鎖的なわけです。新しい“家元制度”では、そこを抜本的に変えています。つまり、多重ピラミッドの構図をなくし、フラットにします。「先生」への段階はワンステップ。創始者は門外不出のノウハウを完全にオープンにし、教科書という形で全員と共有、受講者があまねく習得する。従って、多くの「先生」が一気に誕生します。そして、ここからがポイントです。単に先生を量産するだけでは、もちろん意味がありません。先生である以上権威付けが必要になります。そこで公益法人制度改革が意味を持ってきます。新しく作られる財団法人に信用、信頼、権威があれば、財団法人が認定する資格はブランド化されます。取得した資格によって先生自身がブランド化され、世間からの評価を得て、活動することができます。あとは各先生方が誇りを持って生徒を育成し、同じステップで裾野を広げていけばいいわけです。
かつてフランチャイズシステムが登場したときに業界に大きな変革がもたらされました。この「新・家元制度」はそれ以来の変革をもたらす可能性を秘めています。お客様を教育して、先生に育て上げながら、ビジネスパートナーとして、販売代理店になってもらい、業界を発展させていく。数年前はネット業界を中心に「起業ゲリラ」が、ノシ上がる方法論のひとつの象徴でした。このモデルはその真逆。一気にトップの先生を育成し、新しい販売システムとして、インストラクター制度を作り出します。
女性起業支援として「教える」「販売する」「アートする」の3本の柱を作り、「好きを仕事に!」をテーマに認定インストラクター(先生)を6年間で約2万5000人作りました。財団がカリキュラムを監修・認定し、先生に「冠」を与え、さらに展示会や表彰式など「晴れ」の場もキチンと用意し、ブランド化やモチベーションを維持向上させる土台も整えています。仕事の「6つの報酬」として、「お金」だけでなく、 「ポジション」、「やりがい」、「スキルアップ」、「仲間づくり」、「人間力の向上」を得られるようにしました。会員継続率は96%。6つの報酬が会員の満足度につながっています。当社では、ホビークラフト事業を企画運営するほか、動物コンシェルジュ、マネーマネジメント等の他業態にこのビジネスモデルを導入しています。
私どもは健康・美容分野のインストラクター事業として「ボディマネジメントコーチ(BMC)認定講座」を開講しました。これは文部科学省許可(財)日本余暇文化振興会の監修・認定を受け、新たに設立した日本ウェルネス推進協議会が主催しています。会長は寺下謙三医学博士。会長、理事、カリキュラム編成メンバーに権威ある先生に就いていただいていますが、「新・家元制度」において「冠」を作り出すことが大切な要素。BMC認定講座は、生活習慣を90日で変えるために行動科学をダイエットに応用させました。今年4月から国の施策としてメタボ健診がスタートしたので、この分野は注目です。あとは「肌」に関するもの、「睡眠」に関するものもいいかもしれません。例えばエスティシャンが習得した場合、指導できることが付加価値となり、集客につながります。公益法人の認定資格を持ったエスティシャンがいることが他店との差別化にもつながります。
言えることは、「簡単にできる」、といはいってもこれまでにノウハウやネットワークをある程度持っていないと成功はおろか継続は難しいということです。例えば、ある分野の専門家がそのノウハウで収入を得る仕組みとしてセミナーや出版があります。そういった人が、自分だけのノウハウを書物としてではなく、全てを公開し「教科書」として標準化する覚悟があるでしょうか。小出しに切り売りし、「神様」扱いされてきたポジションをそう簡単に捨てられるでしょうか。このモデルにかかわるということはそれだけの覚悟が必要ということです。それから、「標準化」の基準として私は「10年たってもスタンダードである」ということを目安に考えています。インストラクター事業は認定を出したらやめられません。講座をスタートして、集客できなくなったからやめると言うことはできません。「先生」をビジネスパートナーとして、しっかりと業界を育てていく、というビジョンが大切です。このモデルは「やり続ける」ビジネスモデルであるということです。高い志と明確なビジョンを持った企業家がこの事業に参入することを望んでいます。
民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し、現行の公益法人制度に見られる様々な問題に対応する為、従来の主務官庁により公益法人の設立許可制度を改め、登記のみで法人が設立できる制度(一般法人)。そのうちの公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人については、民間有識者による委員会(公益認定等委員会)の意見に基づき公益法人に認定する(公益法人)。1896年の民法制定以来の改革となる。
プロフィール
株式会社コロネット
代表取締役会長
前田 出 (いずる)
URL:新・家元制度
http://www.sin-iemoto.com/index.html
1954年、和歌山県生まれ。長崎大学水産学部卒業。 女性起業支援として、「好きを仕事に!」をテーマに文部科学省許可 (財)日本余暇文化振興会(JALD)の監修・認定でホビークラフト(ビーズ、キルト、 押し花等)の「先生」をつくる講座を開講。「楽習フォーラム」にて、6年間で 2万5000名の「先生」を養成。2007年よりホビークラフト以外の分野でインス トラクター事業を展開。 2008年7月に初の著書『一気に業界No.1になる!「新・家元制度」顧客獲得の仕組み』 (ダイヤモンド社)を出版する。
2008年7月に著書
『一気に業界No.1になる!「新・家元制度」顧客獲得の仕組み』 (ダイヤモンド社)を出版。
URL
http://www.metabo-kaizen.jp/
「自分自身に適合した最高のライフスタイルを築く」 、「より充実した幸福な人生を得る」。 同協議会はこれらの目的を実現するための知識、実践方法を提供する。 文部科学省許可(財)日本余暇文化振興会の監修・認定により、メタボ対策ボディマネジメントコーチ認定講座を主催。この講座は、正しいダイエットの知識と理論を学び、行動科学に基づいた続ける技術により、やせた体型を維持することを学ぶ。ボディマネジメントコーチはダイエット指導、ダイエット講座を行う。会長は医学博士の寺下謙三氏 。事務局はコロネット。