エステティックサロンやSPAに求めるお客さまの多くは、日常的なものではない 「特別なサービス」を受けに来られる感覚をお持ちだと思います。 日常とまったく変わりのない環境の中では、どんなに優れたサービスを提供しても、 引き立ってきません。そのため、店づくりを考える場合、店内に入られる前のところ から「演出」を心がけたサロンつくりをすべきです。
魅力的なサロンは、ファサード からすでに何かの期待感を持たせてくれます。 たとえば、エントランスの部分で、フラワーガーデンアーチ(トンネルアーチ)のよ うなアイデアも楽しいですね。そこまで凝らなくても、もっとシンプルなトンネル構 造も効果的でしょう。トンネル構造の場合は、明るさと暗さをうまく組合せた演出が 可能にもなります。
通常のサロン内装では、清潔さを強調したい、上品さを伝えたい、という意識から か、サロンの内装(壁など)では、そのすべてにベージュもしくはホワイト系のカ ラーを使われる場合がほとんどです。また、ライトの光量を落としたり間接照明を効 果的に活用する方法は一般的です。ただ、ヒーリング効果を高めるためにも、白基調 はともかく「すべてが明るい」状態が常に適切でしょうか?もう一工夫がほしいとこ ろですね。
ただし、高級感を演出したい思いが強すぎて、店内どのエリアも光量が弱いというの もどうでしょうか。こちらもメリハリに欠ける上、さらにデメリットとしては、全体 的にすべてが暗いというのでは清潔感を感じにくくなってしまいかねないということ があります。
いずれにせよ、店舗レイアウトの工夫の方法として、光・光量の変化・違いによるさ まざまな演出が可能です。これらの明暗のコントラストは、動線の設定とあわせて、 非日常空間の演出をどのように行うか、非常に大きなポイントになるでしょう。広い サロンの場合、フロント廻りと通路の各位置、それぞれ光量による演出を工夫してみ てください。通路すべてを同じ光量にする必要もありません。奥に行くほど徐々に光 量を落とような演出も良いかもしれません。
さらに、明暗だけでなく、色の変化を (くどくない程度に)絡めた演出も良いでしょう。ただしこれらの工夫は、それぞれ がバラバラになってしまえば、混乱したイメージを与えるだけに終わります。何かの ストーリー、コンセプトに沿ったものでないと逆効果になること にご注意ください。
最後になりますが、窓の有効活用もお忘れなく。自然の光や屋外の景色をうまく取り 込めればベストであることは言うまでもありません。店舗立地の検討や、フロアレイ アウトを考える際には十分に注意しましょう。