1959年静岡県生まれ。東京医科大学卒業。同大第3内科、LCCストレス医学研究所心療内科、帯津三敬病院などを経て、ホリスティック医療の実践の場として、1997年8月に赤坂溜池クリニックを開設。日本心身医学会認定医。日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)認定医。ホリスティック医学協会副会長。長年にわたり、心と環境などを含めた、ホリスティック医療を推進。最近では、森林養生プログラムをスタートし、体の養生、心の養生、食の養生を通じて、自然治癒力を高めていく活動も展開中。
私が、ホリスティック医学(全体的医学)へ関心を持ったのは学生時代です。アンドルー・ワイル氏の「人はなぜ治るのか」という名著を読んだのがきっかけです。先端医療の行き詰まりが露見する一方で漢方薬が見直され、心身医学や心療内科が注目され始め、ホリスティック医学という言葉に興味を持つようになりました。
心療内科や心身医学は、心の状態が体に影響を及ぼすという考え方で、極端に言えば、心理療法ともいえる治療法です。私の身内がガンになったことで、その闘病生活をみて、強い薬の投与や治療をなるべく避ける治療に取り組みたいと考えるようになりました。その後、現代西洋医学と心身医学、東洋医学の経験を積んで、帯津三敬病院を経て、1997年8月に「赤坂溜池クリニック」を開設しました。
以来、心療内科、内科、精神科を中核とした「保険診療」に加えて、針灸、ハーブセラピー、アロマテラピー、整体などの各種代替療法を取り入れ、ホリスティック医療、ストレスマネージメントを実践してきました。
当クリニックは、ホリスティック医療の実践の場として、疾病予防や健康増進に力を入れ、心身の両面から、ストレスの対処法を体得してもらい、健康回復・維持できる医療を目指しています。具体的には、自然治癒力を高めることを主眼として、食事、運動、ストレス改善という3つの側面から心身医療を行っています。
代替医療は、現代西洋医学を補完するものですが、ホリスティック医療は、全体的な医療です。その患者さんの生活習慣、ストレス対象、人生観、価値観、食生活など全般をつかんだ上で、ケアしていくことで、自然治癒力を高めていくことが必要であると考えています。
また、クリニックは、医療の提供だけの役割でいけないと考え、スタッフを講師として全スタッフが各種療法を勉強する勉強会をを採用したり、併設したホリスティックヘルス情報室では、ホリスティック医学を習得するためのセミナーなども行い、院外からの参加も受け付けて、ホリスティック医療への広い理解と普及を深める活動もしています。
当クリニックは、身体や臓器だけを見るのではなく、心や環境などを含めたホリスティック(全的)医学を理念としています。
具体的には、心や食生活、生活環境までを含めて全体的な診断・治療を行います。心理療法、食事栄養指導、運動指導など生活指導を充実させた上に、針灸、アロマテラピー、整体などの各種療法を組み合わせて診断・治療を実践しています。
また、病気の治療だけでなく、疾病予防、健康増進にも力を入れて、ライフスタイル診断から、東洋医学的診断、ストレス診断、波動診断などにより、未病の診断も行っています。
診察では、患者のライフスタイルや嗜好を把握することに重点を置いて、血液検査、尿検査、超音波検査、心電図検査、食生活自己チェック、心理テスト、血液栄養分析、波動診断、自律神経測定、酸化ストレス度測定などを組み合わせて、患者の状態を見た上で、治療に対応しています。
基本となる治療は、心理療法と針灸・整体などの東洋医学的治療です。また院内にはインフォメーションコーナーを設置して、関心のある療法を患者自身が選択して参加できるようにしています。また、医療を補完する、ハーブやアロマオイル、サプリメントなどは、売店で購入できるようにしています。
最近のクリニック患者の約8割は、神経失調症やパニック障害の患者などが多い。バブル崩壊後、不安定な時代の中で将来に対する希望を持てず、こうした疾患を引き起こしています。
最近では、IT時代の到来の中で、プログラマーやSEなどの職種の方の来院が急増しています。ベンチャー企業が多い中で、劣悪な労働環境の中で過重労働が起因して、クリニックに訪れる傾向にあります。心療内科は、こうした社会環境をつかめる鏡的な場所でもあります。
そうした中、新しい取り組みとして、当クリニックでは「森林養生プログラム」をスタートしました。このプログラムは、木の香り、そよかぜ、木漏れ日、小鳥の鳴き声などの自然に満ちた環境で、森林療法をはじめ、ストレスケアについてのレクチャー、各種セラピー、身体にやさしい食事をトータルに体験できるプログラムです。
まさに、ストレスケア、生活習慣病予防を網羅した「ホリスティック養生プログラム」といえます。参加者は、日常の医療とこのプログラムを連携して繰り返すことで、総合的な健康管理を自分自身で実現していくことができるようになります。
場所は、清里、草津、軽井沢、北海道、伊豆高原など厳選した森林保養地での森林療法となります。単なる森林浴とは違って、医療機関との連携のもと「養生」としての「森林療法」となります。プログラムには、医師、看護師、薬剤師、各種セラピスト、森林インストラクター、現地レンジャーなど各分野のエキスパートが参加者へ対応してくれます。
こうしたプログラムを通じて、体の養生、心の養生、食の養生を図り、人生の楽しみを見直し、森を通じて、自然治癒力を高めていくことに努めています。また、将来的には、こうした自然の豊かな場所に養生所を開設して、1カ月から3カ月程度、自然の中で、こうしたプログラムを実践していけたらいいと考えています。