ラクトビオン酸は乳糖から作られる機能性糖質で、「カスピ湾ヨーグルト」に含まれていることが知られています。ダイセルは、酢酸菌を用いたラクトビオン酸の効率的な発酵製造プロセスを使用しています。ラクトビオン酸はミネラルの吸収促進作用やエクオール※の産生促進作用を持ち、骨粗しょう症や生活習慣病の予防や緩和などアンチエイジング素材として期待されています。
※エクオール:イソフラボンの腸内細菌代謝物で、近年注目を集めています。
■ラクトビオン酸とは?
ラクトビオン酸は、乳糖を酸化させることにより得られる酸性オリゴ糖で、分子内に複数の水酸基と1個のカルボキシル基を有していることから、糖質としての性質と酸としての性質を併せ持っています。
◎カルシウム塩の高い水溶性
ラクトビオン酸カルシウムは乳酸カルシウムより10倍以上水に溶けやすく、その水溶性の高さから、カルシウムの体内吸収率が良好であると考えられます。
■高いカルシウム体内吸収率を確認
ラク卜ビオン酸はカルシウムと高い水溶性の塩を形成することで、カルシウムの 体内吸収を促進します。腸管ループ法で門脈血中カルシウム濃度を比較すると、ラクトビオン酸を小腸に投与すると血中のカルシウムの上昇が見られました。これは、ラクトビオン酸が腸管内でリン酸カルシウムの形成を阻害し、腸管からのカルシウムの吸収を促進したものと考えられます。
■カルシウム吸収促進作用/骨粗しょう症予防・改善作用
骨粗しょう症モデルラット(OVX)は正常ラットと比べて、カルシウム吸収率が低下し、骨密度の低下が見られます。骨粗しょう症モデルラットにラクトビオン酸を与えると(OVX+LacA)、カルシウム吸収率が改善し、骨密度の向上が見られました。カルシウムと同時に摂取することで、カルシウムの吸収を促し、骨粗しょう症の予防・改善が期待されます。
ヒ卜試験として、被験者にカルシウムとラクトビオン酸を配合した試験食またはカルシウムのみのプラセボ食を摂取してもらい、摂取後8時間の尿中のカルシウム排出量を比較しました。その結果、試験食群の尿中のカルシウム排出量が有意に上昇しました。このことからヒトにおいてもラクトビオン酸にカルシウム吸収促進作用があることが示されました。
■エクオール産生促進作用 /イソフラボン作用の強化
ラットにイソフラボンを与えたところ、イソフラボン単独の場合(ISO)に比べ、イソフラボンとラク卜ビオン酸を同時に与えた場合(ISO+LacA)に、血中のエクオール(R)。濃度の上昇が確認されました。また、血中の総コレステロール濃度もイソフラボン単独よりも低くなることが確認されました。これはラクトビオン酸のエクオール産生促進作用により、イソフラボンのコレステロール低下作用が強化された結果と考えられます。
▲ラクトビオン酸粉末
▲各カルシウム塩 水溶性(温室)比較グラフ
▲尿中Ca排出量