● お酢の元祖
世界酢の発祥地、中国最大、最古の酢の生産地――山西省。中国四大名酢として山西老陳酢、鎮江香酢、四川保寧酢、福建永春老酢(烏酢とも呼ばれる)がありますが、中でも山西老陳酢は、“酸、甘、香、綿(味がまろやか)”を四大特徴として最も有名です。
明・清時代(約1800 年前)王来福という酢の研究者が、今までの酢の製造工程を改良して新しい酢を作り出しました。この酢は山西省から中国全土に広まり、人々に愛用され、山西老陳酢という名前が付けられました。山西老陳酢が有名になり、全国各地から酢の製造技術を学ぶために多くの人が山西省にやってき、その後、中国各地で酢を作り始めました。山西老陳酢は中国各地で生産される酢の元祖なのです。
● お酢の誕生物語
殷の時代(紀元前1300 年〜前1046 年)、山西の酒製造業は既に有名で、各諸侯国が山西の酒を皇帝に献上するために兵士を派遣し、皇宮に運んでいました。しかし、高温、長時間の運送のため、途中で酒が酸化してしまったのです。運送の兵士たちも疲労から、病気になっていました。兵士たちは、この酸化した酒を皇帝に送れば殺されるのを知っていましたので、自殺をしようとこの酸化した酒を飲みましたが、全部飲んでも死ぬことはできませんでした。逆に皆の病気が回復して、元気になったのです。この兵士たちは山西に逃げ、生活するためにこの酸化した酒を造って販売を始めます。民間の酢製造はこうして普及したのです。
● 「老陳酢」名前の由来
老陳酢の「老」は酢の製造の歴史が古いという意味を表し、「陳」は製造した酢を熟成させる(陳放)時間が長いという意味を表します。
● 山西老陳酢と鎮江香酢の違い
1、 原料が違う 鎮江香酢の主な原料はもち米、副原料として稲皮ですが、山西老陳酢は良質の高粱(こうりゃん)【イネ科 ソルガム 学名:Sorghum vulgare 別名:高粱】を主原料とし、その他発酵工程中に副原料として粟・黍(きび)の皮・麩皮(小麦の皮)を加えることで豊富な栄養素やアミノ酸などが含まれた良質な山西老陳酢になります。
2、 発酵及び麹が違う 鎮江香酢は小麦や麩皮(小麦の皮)を麹としていますが、山西老陳酢は大麦やえんどう豆を麹として採用しています。どちらも自然発酵させますが、地域や環境が異なるため発酵工程中に産出される物質も異なります。特に山西老陳酢にはえんどう豆が持つ豊富なたんぱく質が溶け込み、それらは発酵工程に分解され人体に必要なアミノ酸になります。
3、 熟成期間が違う 鎮江香酢は、熟成から製品になるまで約6ヶ月かかりますが、山西老陳酢は発酵や燻製を繰り返した後、約9ヶ月かけてじっくり熟成させます。その間に柔らかな酸味、芳醇な香りが発生します。
原料由来:山西老陳酢
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