Q:新会社設立の経緯を教えて下さい。
キリンヤクルトネクストステージ(株)は、キリンビール(株)が55%、(株)ヤクルト本社が45%出資した合弁会社で、母体は元のキリンウェルフーズ(株)です。キリンビール(株)の発酵技術と(株)ヤクルト本社の乳酸菌を始めとするバイオ技術を組み合わせてお客様の健康支援に役立ちたいと考え、設立に至りました。
Q:キリンウェルフーズ(株)単体でも、十分健康食品会社として成功していたと思うのですが。
(株)ヤクルト本社のプロバイオティクスの技術は国内でも最先端です。今回の新会社設立にあたっては、キリンビール(株)・(株)ヤクルト本社両者の先端技術を生かして新たな食のカテゴリーを創ることが魅力だと考えました。
Q:商品政策は?
キリンウェルフーズ(株)で扱っていた商品は、新会社に移行するにあたって廃番などの見直しを行いましたが、引き続き扱っていきます。第一弾として、昨年10月に健康食品「BBcube」を発売しました。これは、(株)ヤクルト本社が選んだビフィズス菌“B.ブレーベ・ヤクルト株”とキリンビール(株)が開発した全く新しい“ビール酵母食物繊維”を配合し、お腹の健康をテーマに開発したものです。1ヵ月で体感が出る商品です。販売は通販からスタートし、今年から地域限定でヤクルトレディにモニター勧誘やサンプリングを行ってもらっています。現在、ご意見をいただいているところです。現状はフォローが直接行える販路に限定し、すぐ店頭で販売することは今のところ考えていません。
今後はキリンビール(株)と(株)ヤクルト本社の研究機関とも連携を取り、研究開発を新しいスキームで行っていきます。新素材の開発はもちろんのこと、従来からある素材でも異なる機能を発見するなどして、来年から本格的に発売していく予定です。
Q:昨年の業績はいかがでしたか。
売上高は2006年1~12月で70億円でした。伸び率は昨年度とほぼイコールでした。
Q:代替食品「リエータ」が伸びているという印象があったのですが。
「リエータ」は末端小売価格で70億円を売り上げ、伸びは前々年度と比較すると倍でした。一方で新会社への準備期間があり、商品の見直しを行ったことで伸び率は芳しくありませんでした。
Q:「リエータ」が人気を得た理由は何だとお考えですか。
今までのダイエットは、ダイエットしていることを人に言わずに暗くストイックに1人で我慢して無理して行うことがほとんどでした。そんな中で「リエータ」は、楽しく健康的にダイエットをしてほしいという思いから、専用のブログを開設しました。ダイエットの悩みをお客様と共有すると共に、お友達と情報交換しながら楽しく目標達成をしていただこうと考えました。また、ジュースで割るなどレシピの提案も行いました。こうしたダイエットを支援する仕組みが受け入れられたのだと思います。
味もバリエーションが豊富で美味しいものです。機能面でも1日に必要な“ビタミン”・“ミネラル”の1/3量を配合ししっかりと必要な栄養が取れます。
Q:競合他社がブログを作ることも考えられますが。
グレードアップして、キメ細かな新たな支援内容を加えていくことが必要でしょう。例えば、サイトでカロリー計算ができるとか、悩みに1対1で対応していくとか、さまざまな内容が考えられると思います。より美味しく充実感のあるラインナップを発売することも大事だと思います。他社に先駆けて色々な提案を行っていきます。
Q:今、人気の商品は「リエータ」の他には何がありますか。
「青汁」とキリンビール(株)の独自素材である乳酸菌の健康食品「ノアレ」ですね。
Q:今注目している分野はありますか?
メタボリックシンドローム予防や、お腹の健康、アンチストレスに関心があります。そういった分野の商品開発を進めています。毎日の体調や体重などの健康指数、食生活などの自己管理をサポートする仕組み作りと共に提案していきたい。
特にメタボリックシンドローム予防の分野についてですが、今年の4月から新たな展開を考えています。「プログラミール」という食事を代替するカロリーコントロール型の食品を、健康機器メーカーの(株)タニタ社が開発した健康数値管理の新サービスとを組み合わせて、お客様の健康的な原料を達成していただく、というものです。
Q:新規素材の開発はいかがですか。
開発は積極的に進めていきますが、そんなに簡単なものではありません。卵の段階の素材はすでにあります。
Q:販売政策はいかがですか。
お客様がより健康になる目的、年齢、性別、生活習慣は違います。お客様に合った商品提案を行い、健康支援を行うにはダイレクトマーケティングは大事です。とはいえ、チャネル政策として、通販だけというのは考えていません。通販は大事ですが、気軽にカジュアルに健康になりたい人は、ドラッグストアに商品が置いてないと困ります。お客様の目線でチャネルミックスを考えていきたいです。
Q:通販と店販の売り上げ比率は。
現在は圧倒的に店販が多いですが、将来的には半々くらいに持っていきたいと考えています。
Q:ダイレクトマーケティング強化の策は。
新しいシステムの導入も含めたインフラを充実させ、お客様に合わせたコミュニケーションを強化していきます。CRMの充実をはかり、お客様の声を商品開発を始めとするサービスにタイムリーに生かしていきたいです。食生活や運動の組み合わせをどうしたらいいのか、などお客様に役立つ情報サービスを提供できる体制にしていきたいです。
Q:今期の売り上げ目標は。
メーカー出荷ベースで対前年比30%増の90億円です。そのための施策としては、先にも挙げたCRMの充実、「リエータ」の更なる伸張、(株)ヤクルト本社の販売体制を使うことを考えています。また今年の夏前から「青汁」に力を入れる方針です。「青汁」の新商品をリリースしていくほか、「青汁」を使ったレシピの提供もしていきます。
- 第1回 株式会社ハーバー研究所 代表取締役社長 小柳昌之氏
- 第2回 新潟バイオリサーチセンター 所長 池川信夫氏
- 第3回 日本緑茶センター株式会社 代表取締役 北島勇氏
- 第4回 アニュー株式会社 代表取締役専務 大森貞喜氏
- 第5回 サントリー株式会社 食品カンパニー健康食品事業部部長 新免芳史氏
- 第6回 大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部 製品第二部 APMM 戸山謙一氏
- 第7回 カーディナル・ニュートリション社 副社長 グラント・バーグストロム氏
- 第8回 キリンヤクルトネクストステージ マーケティング部部長 浅野高弘氏
- 第9回 タカラベルモント株式会社 理美容事業部長 兼 エステ・ネイル事業部長 山形輝雄取締役
- 第10回 ホーファー・リサーチ社 最高執行役員代表取締役副社長 ビクター・フェラーリ氏
- 第11回 ファイテン株式会社 代表取締役 平田好宏氏
マーケティング部部長
浅野高弘氏