Q.美容液「ホワイトレディ」の売り上げが好調ですね。爆発的なヒット商品と言ってもいいでしょう。ハーバーといえばスクワランというイメージがありましたが、この商品はどのように生まれたのですか?
もともと私どもの主力商品はスクワランですが、これは肌にとても良いのに、油だということで好き嫌いが分かれてしまうんです。たとえ手に取ってもらえても、使いこなせない人もいる。これではせっかくの効果を実感してもらえない。だから、より広範囲に受け入れられ、効果のあるものを開発したかったんです。
で、やはり肌にはビタミンCだと。いろんな実験で肌にいいと明確に証明されています。じゃあ、そのビタミンCをどうやって肌まで届けるのか。たっぷり与えるほど効果は高い。けれどビタミン誘導体が多すぎると、今度は肌に刺激を与えてしまう。
このジレンマを解決するために考えたのが、“少ない量でも大きな効果を発揮させればいい”ということです。 それで基本の理論に立ち返りました。ビタミンはミネラルがなければ活性化しないので、2つを組み合わせればいいんだと。その成分を何にしようかと試行錯誤している時に、ふとひらめいたのが笹エキスです。 これなら天然の成分で抗菌力も望める。当時、健康食品向けに八甲田山の笹エキスを他社と共同で研究開発していましたので、これと組み合わせたらいいんじゃないかと著名な研究者に依頼したところ、ヒアルロン酸なども加えて最高の配合が生まれました。それが「ホワイトレディ」です。
Q.実際にその効果は大きな反響を呼んだということですが、使用した方々の声はどういうものでしたか?
「肌あれが治った」「潤いが戻ってきた」という感想がたくさん寄せられました。これは想定した効果でした。さらに「ニキビが治った」という声も多かった。これは予想していなかったですね。後で文献を調べたら、ビタミンCはニキビ治療にも効果があるときちんと証明されていた。
「すごい」と言いだしたのは、まず、うちの開発スタッフ。それからデパートの販売員さんや他の店員さん、お客さんへと評判が広まって売り上げが伸びていきました。もともと宣伝はあまりしなかったんですよ。宣伝費があまりなくてね(笑)。でも口コミでも広まって、“これはいける”と多少の宣伝費を投入しました。口コミって実はあんまり広がらないものなんですよ、特に女性は。ライバルに知られたくないからね(笑)
Q.そうですか(笑)。ところで効果の高さはもちろん、いまや御社は無添加化粧品=ハーバーというほど、真に健康を考える企業としてイメージが浸透していますね。この無添加への取り組みを始められたきっかけは?
当時は化粧品公害が脚光を浴び始めた時期でした。肌のトラブルに悩んでいる女性は多い。いくら栄養を摂っても、肌だけは治らない。それが化粧品に含まれるパラベンや乳化剤によるダメージです。それで、肌を健康に保つ化粧品を無添加で作ろうと決心しました。その後、関連文献や資料を読み漁ったりしてとにかく勉強しましたね。そしてスクワランを見つけたんです。
これを「パラベンなどの防腐剤を入れずに出したい」と思ったんですが、そこからは遠回りしましたね。防腐剤ではない、抗菌力がある素材を探してありとあらゆる組み合わせを試しました。“これなら大丈夫”と思って出したものを、お詫びをして回収せざるを得なかったという失敗もありました。よく、「パラベンを入れないと腐るから、そのほうが危ない」という人がいます。でも、腐ってしまうものを売るつもりは初めから全くない。開発を進めながら何度も試行錯誤を繰り返し、保存性を確実に進化させていきました。
実際には大丈夫だったんだけど、はじめの頃は商品を冷蔵庫で保管してもらっていました。 “ 冷蔵庫で保管してください”という文字を外す決心がつくまでには、さらに5年はかかりましたね。
- 第1回 株式会社ハーバー研究所 代表取締役社長 小柳昌之氏
- 第2回 新潟バイオリサーチセンター 所長 池川信夫氏
- 第3回 日本緑茶センター株式会社 代表取締役 北島勇氏
- 第4回 アニュー株式会社 代表取締役専務 大森貞喜氏
- 第5回 サントリー株式会社 食品カンパニー健康食品事業部部長 新免芳史氏
- 第6回 大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部 製品第二部 APMM 戸山謙一氏
- 第7回 カーディナル・ニュートリション社 副社長 グラント・バーグストロム氏
- 第8回 キリンヤクルトネクストステージ マーケティング部部長 浅野高弘氏
- 第9回 タカラベルモント株式会社 理美容事業部長 兼 エステ・ネイル事業部長 山形輝雄取締役
- 第10回 ホーファー・リサーチ社 最高執行役員代表取締役副社長 ビクター・フェラーリ氏
- 第11回 ファイテン株式会社 代表取締役 平田好宏氏
代表取締役社長
小柳 昌之氏
(こやなぎまさゆき)
帰国後、美容と健康問題に深い関心を抱き、1983年、ハーバー研究所を設立。ハーバー・グループを全国にネット化。独自の、高品位なスクワランを中心とする、徹底して天然由来の成分にこだわった「スクワラン美容」及びビタミン等の栄養補助食品の普及に努め、現在に至る。