酒粕が体にいいことは昔から知られている。この酒粕の機能性に着目し、ヤヱガキ醗酵技研が新たな機能性素材を開発した。「プロファイバー®」と「プロファイン®」だ。酒粕をさらに発酵させ、“清酒”と“酒粕”を生成し、それらを粉末化した。ともに優れたエビデンスを揃え、健康美容素材としての活用が期待される。まさに酒の栄養成分を凝縮した国産酒粕由来の安心安全な機能性素材であり、注目を集めそうだ。
ヤヱガキ酒造をルーツに酒造りのノウハウを駆使した開発力で様々な機能性素材を生み出している同社。酒粕を原料に開発された同素材は、まさに酒造りのノウハウが惜しみなく注ぎ込まれ、酒の有用成分を濃縮した2つの素材として製品化されている。
原料となる酒粕は、国産の酒米から発酵により、清酒を作る際に発生するもの。粕というものの、清酒生成のプロセスで発生する栄養成分を豊富に含み、粕汁など食品としても活用されるなど、そのままでも日常的に食すだけで健康効果が期待できる。
酒米までさかのぼれば、まさに酒米の持つ機能性を極限にまで濃縮したといえる2つの素材。その機能性は、期待に違わぬすぐれたものとなっている。まずは二段発酵によって、新たに生まれた “酒粕”由来のプロファイバー®からみてみよう。
そのネーミングからも分かるように特徴的なのは、豊富に含有する食物繊維。なかでもユニークなのが、レジスタントプロテインの割合だ。酒米の数十倍を含有し、食物繊維と併せても圧倒的な数値を誇る。レジスタントプロテインは、たんぱく質でありながら体に吸収されない成分で、まさに食物繊維のように機能する。
人工胃液および人工腸液にラー油をいれ、次にプロファイバー®あるいはキトサンをいれてよく攪拌。しばらく放置し、ラー油の様子を観察する。
人工胃液中でプロファイバー®は油の粒子を細かくすることで油の粒子を包み込みやすい状態になる。
人工胃液中でキトサンは溶解し、キトサンと油の間には何の相互作用もない。
人工腸液中でも油の粒子は細かいままで、プロファイバー®が油の粒子を包み込んでいる。
人工腸液中でキトサンは不溶となり、一部の油を包み込むが、油の粒子が大きいため、十分包み込むことができない。
プロファイバー®あるいはセルロースにラー油を混ぜ込み、水を入れてよく攪拌します。しばらく放置し、ラー油の様子を観察する。
ラット試験では、コレステロール低下作用、肥満抑制作用などが確認されている。脂肪排泄では対照群の倍以上を排泄している。メカニズムは未解明だが、油吸着効果の試験では、キトサンとの比較で、人工胃液、人工腸液ともに油の粒子をしっかり包み込むことが確認されている。ラー油に混ぜ込んでセルロースと比較した油吸着効果でも分離することなく油を包み込んでいる。
人への作用でも良好な結果が得られている。30代から50代の男性9人(平均42.8歳)を被験者にプロファイバー®を1日750㎎2か月間摂取。その後は摂取を注視した。その結果、体重および体脂肪率に減少がみられ、血液検査では中性脂肪値が基準範囲外者が基準値に基づく結果が得られた。さらに摂取を中止すると元の状態に近づくことも確認されている。
また、女性被検者を対象にした便通効果の改善では、出やすくなった人が約32%増加するなど、良好な結果が得られている。人でも優れた結果が得られているプロファイバー®は、その名の通り、食物繊維による力を軸にダイエットや美容系の効果が目立っているが、プロファイン®ではまた違う特徴がみられる。
プロファイン®は、二段発酵により“清酒”となった酒粕を濃縮し、粉末化したもの。それ故にアミノ酸が豊富に含まれていることが特徴となっている。その量はなんと、酒粕発酵酒としての比較で清酒の20倍、もろみ酢の3倍になる。これをさらに濃縮したプロファイン®では、黒酢末、もろみ酢末と比べ、遊離アミノ酸、全アミノ酸ともに圧倒的に含有量を上回る(左図参照)。
動物試験では脂肪肝抑制効果、胃炎軽減、持久力向上が確認されている。7人のスポーツ系男子学生を対象にした持久力向上についても試験が行われ、良好な結果が出ている。ヒトではその他、抗ストレス、美容効果に関する試験も行われ、ともに良好な結果となっている。
アミノ酸含有量はもちろん、その組成や吸収性、そして安全性にも優れるプロファイン®。まさに百薬の長といわれる酒のいい部分を凝縮したという表現がそのまま当てはまる和製スーパ―フードは応用範囲も広く、昨今の甘酒ブームとも相まって、注目を集めそうだ。
酒粕を原料に、酒造りのノウハウを注ぎ込んで生まれた2つの機能性素材。片や肥満抑制脂肪排出の美容系、片や豊富に含有するアミノ酸をベースにしたアクティブ&ビューティー系。ともにサプリメントはもちろん、クッキーやパンなどの食品との親和性も高く、多様な形で広がっていきそうなポテンシャルがある。
「飲む点滴」として2018年は甘酒がブームとなった。日本酒離れが進む一方で、別の形で酒への関心が高まりつつある。それだけに、食品としての応用範囲も広い2つの素材はメーカーにとって柔軟に扱える点で都合もよく、甘酒ブームを追い風に一気に広がっていく可能性も十分ありそうだ。
2017年ごろから需要が増大している甘酒。塩麹などの発酵食品人気がベースとなり、もともと安心安全でおいしい甘酒に脚光が当たるのも不思議はなかった。ブームは途切れることなく、2018年末にはカフェチェーンで冬季限定のコラボドリンクも登場。「飲む点滴」の異名通り、栄養満点で美味な日本古来の “健康飲料”のブームしばらく続きそうだ。
タンパク質でありながらカラダに吸収されない成分。一般にタンパク質は、消化酵素で分解され、アミノ酸やペプチドの状態で腸管から吸収され、栄養素となる。レジスタントプロテインは、消化酵素が作用しにくいため、アミノ酸やペプチドにはならず、体外に排泄される。抗肥満対策の難消化性成分として、健康の維持に役立ち、主に機能性原料として健康食品に利用されている。
ヤヱガキ醗酵技研株式会社
≪事業内容≫
食品用天然系色素、醗酵調味料、
バイオ関連原料、機能性食品等の
製造販売
≪所在地≫
〒679-4298
兵庫県姫路市林田町六九谷681
TEL:079-268-8070
https://www.yaegaki.co.jp/bio/
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