原料特集 有力データ揃うメタボ対応の注目の新規素材マンゴージンジャー 英語名:mango 学名:Curcma 情報提供:丸善製薬株式会社
特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)がスタートし、2年以上が経過した。対象者の男性の2人に1人、女性でも5人に1人といわれる“予備群”の一方で、その受診率は、掲げた目標に遠く及ばない結果となっている。とはいえ、対象者の意識は着実に高まり、間接的な効果は見え始めている。店頭には、市場増大を見込み、多くの関連商材が並ぶ。そうした中、ヒトデータでもメタボに対応した有力データが揃うマンゴージンジャーがいま、新規素材として注目されている。
マンゴージンジャーとは
マンゴージンジャーはショウガ科の香辛野菜。学名をCurcma amada、英名をMANGO GINGERという。インド・ケーララ州、タミルナド州、アンドラプラデュ州、ベンガル地方などで栽培される。根茎部分は太く円筒状で、生マンゴーのような芳香とショウガの風味を持つことがその名の由来とされる。インドでは、根茎をピクルス(漬物)や香辛野菜として利用する。
安全性、効果・効能
食用利用されていることからも安全性に問題はないが、丸善製薬が取り扱う「マンゴージンジャー乾燥エキスF」でも各種試験をクリア、その安全性が認められている。生理活性については、ラットにおけるトリトンWR-1339誘導性高脂血病および血漿リパーゼ活性に対する効果、高コレステロールウサギのコレステロール値に対する効果などの文献がある。
マンゴージンジャー抽出物の成分
マンゴージンジャーの抽出物はテルペン類を含んでいる。 マンゴージンジャーの抽出物には、ショウガ科の他属植物で報告されているモノテルペンやジテルペン、セスキテルペンと類似した構造のテルペン類などが含まれている。
マンゴージンジャー抽出物の脂肪蓄積抑制および脂肪分解促進作用
消費されないエネルギー、つまり中性脂肪は、食事による過剰エネルギー摂取や運動不足により、脂肪細胞内に蓄積される。マンゴージンジャー抽出物を脂肪細胞が中性脂肪を細胞内に蓄積する過程で処理することにより、脂肪の蓄積を抑制することが確認されている。 また、脂肪細胞に蓄積された中性脂肪は、そのままではエネルギー源としては利用されず、脂肪酸とグリセリンに分解されてはじめて消費される。 マンゴージンジャー抽出物は、脂肪細胞に蓄えられた脂肪を、エネルギー源として消費できる脂肪酸とグリセリンに分解する作用が確認された。
これら作用のメカニズムとしてcAMPホスホジエステラーゼ阻害作用が挙げられる。脂肪細胞の過剰な中性脂肪を分解するには脂肪の代謝促進に関与しているサイクリックAMPを分解する酵素、サイクリックAMPホスホジエステラーゼの作用を抑制するのが有効であることが知られているが、マンゴージンジャー抽出物にはこの作用があることが確認されている。
マンゴージンジャーのダイエット効果
丸善製薬では、ヒト試験で低カロリー食およびマンゴージンジャー乾燥エキスF摂取によるダイエット効果のプラセボ対照一重盲検試験を実施している。 同試験では、日々の摂取カロリーが過剰であるため、体重が適正値以上である被験者に対し、昼食を低カロリー食に代替することにより体重の減少が起きることを確認した。あわせて、低カロリー食とマンゴージンジャー乾燥エキスF配合HC併用時と低カロリー食とプラセボ併用時のダイエット効果を体構造測定、身体各部計測、血液検査、CT画像解析、摂取カロリー計算、運動量調査によって得られた結果を指標として比較した。
1日の総摂取カロリーの平均を算出し(栄養計算は基本的に自動計算とした)、昼食を200kcal~400kcalの間で代替することによって 1日の総摂取カロリーが 性別・年代に応じた推定エネルギー必要量(kcal)の 10%減 となるように調整した。(低カロリー食、補助顆粒 粉末を用いて代替方法を個々に設定)
その結果、マンゴージンジャーエキスを食事制限中に摂取することで、内臓脂肪面積が低下。さらにそれに伴い、ウエストやヒップのサイトがより大きく低下させる効果が認められた(下の図表参照)。
また、同社が実施したラットによる実験では、体重上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用(in vivo)、脂肪分解促進作用、脂肪蓄積抑制作用(in vitro)、も確認されている。
マンゴージンジャー乾燥エキスFの保存安定性
総括
ヒト試験における低カロリー食との相乗効果や、食品素材としての使い勝手のよさからマンゴージンジャーはダイエット食などへの利用が期待される。さらにラットによる実験で確認された脂肪蓄積抑制作用や血糖値上昇作用などから、マンゴージンジャーはメタボリックシンドローム対策素材としても高い潜在能力を持つ機能性素材といえる。今後、メタボ健診がより浸透するにつれ、そのニーズ増大が見込まれるだけに、マンゴージンジャーは対応素材として有望な機能性素材のひとつとして、期待できそうである。
トピックス
メタボ健診状況
メタボ健診スタートから2年目となった平成20年度の受診率は38.3%。受診者の約14%にあたる約288万人がメタボリック症候群と診断され、予備群は約247万人だった。保健指導が必要とされたのは約394万人だったが、受診したのは約31万人、7.8%にとどまった。病気でない段階での指導とあって、受診率低下は当初から懸念されていたが、厳しい結果となっている。
国民健康調査
2010年12月に平成21年度の「国民健康栄養調査」の結果が発表された。それによると体重管理を心掛けている人は男性67.8%、女性75.6%と高い意識であることが分かった。一方でメタボリックシンドロームの予防・改善のための食事や運動の実践状況は男性27.5パーセント、女性24.2%にとどまっている。病気ではない段階での対策の徹底の難しさが反映された結果といえそうだ。
関連リンク
メタボ対策に有効な機能性食品素材
2008年にメタボリックシンドロームの検診が開始されて以来、人々のメタボリックシンドロームに対する意識は高まってきていますが、このメタボリックシンドロームの予防にはインスリン抵抗性の改善、および過剰に蓄積された内臓脂肪の減少などが重要と考えられています。in vitro試験において、マンゴージンジャーエタノール抽出物にはヒト由来内臓脂肪細胞からの脂肪分解を促進する作用、脂肪蓄積を予防する作用が確認されました。
このことからマンゴージンジャーエタノールエキスはメタボリックシンドローム予防素材として期待できると考え、そのメカニズムを追究していくことにしました。すると、マンゴージンジャーエタノールエキスはPPARsに対しリガンドであること、UCP産生に有効であること等、脂質代謝に関する様々なメカニズムが明らかとなり、さらにこれら作用はマンゴージンジャーエタノールエキスに含まれるモノテルペン、ジテルペンが関与していることが解りました。
メタボリックシンドロームの予防やダイエットには食生活の改善、運動が不可欠ですが、食事のお供にこのような機能性食品素材を摂取することは有効であると考えられます。
奈良女子大学生活環境学部食物栄養学科 菊﨑 泰枝教授
大阪市立大学卒業、博士(生活科学)、現在は香辛料をはじめ食用植物の機能成分の化学構造と機能に関する研究を行っている
- 丸善製薬株式会社 http://www.maruzenpcy.co.jp/
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