日本ではじめてのビタミン専門店をオープンし初代店長を務め、その後もバー形式のビタミンショップを企画・運営するなど数々の事業に携わる。 また、大手化学会社の食品部において、健康食品ブランドの企画開発に寄与。以後、ハーブ専門店チェーン大手「ボタニカルズ」を経営する(株)コネクトの広報責任者を務める。 さらに、各種公共団体や商業施設その他における、ハーブ関連セミナーやスクールの企画・運営に参画する。現在、嘉悦大学EXセンター講師を務めるかたわら、本格的なハーブ専門スクール「ハーブサイエンスアカデミー」を設立し、学長として自ら指導にあたる。現在ハーブの普及を目指し、多岐にわたる積極的な活動を行っている。英国王立園芸協会会員。
ビタミンなどがいくつかの小さなブームがあってコンビニエンスストアに定着するまでに至りましたが、私はハーブも同じだと考えています。私がハーブ専門店を展開する(株)コネクトに入社した5年前、ハーブティを知っている人はそれほど多くありませんでした。最初のブームの契機は3~4年前です。ローズヒップティがTVで取り上げられて、急激に伸び、在庫を心配することもありました。おそらく他社も同様だったのではないでしょうか。その後、花粉症や風邪に良いものとして、エキナセアやリコリスが注目を集めました。
第二の契機は、2年前です。そんな時、フィーバーフューがTV番組「スパスパ人間学!」で偏頭痛に良いと取り上げられ、店舗からフィーバーフューがなくなってしまい、取材も殺到しました。それから、ハーブを知らなかった人も店舗に訪れるようになりました。
昨年には『日本経済新聞』の取材を受け、代替医療の話もからめて、花粉症に良いハーブティはいかがですか、という内容の記事が掲載されました。そうしたところ、全国から年配の方や男性までもが店頭に訪れるようになり、一気に客層が広がりました。きちんと裏付けされたデータがないとなかなか納得しない男性層にも支持されるようになったのです。
ハーブは昔は一部の人だけのものでしたが、この2~3年に一般の人の生活の中に定着してきました。市場は拡大しています。大手洋酒メーカーがハーブのお酒を販売するなど、色々な業界の企業も参入したり、関心を持っています。大手企業が自社製品にハーブを取り入れれば、CMにもお金をかけますし、ハーブの地位と認知も上がります。
代替医療の世界でも、医師がハーブに注目しています。治療の現場で使用する医師も増えてきました。米国ではすでに臨床データがありますが、国内でも医師がエビデンスの取得に取り組んでいます。単なる女性の趣味や伝承医学から一歩進んだものになってきたのです。関係学会では、今年~来年にかけてさまざまなエビデンスが発表されるのではないでしょうか。そうなれば、多くの方が安心してハーブを使用できるようになります。当学院で学んでいる生徒には、健食メーカーに勤務する人もいるのですが、ハーブを勉強して商品企画に生かしたいと言っています。エビデンスがあればより積極的に使いたいというニーズは多いのです。
今、注目されているのはアンチエイジングとデトックスに良いハーブです。アンチエイジングに良いハーブは抗酸化作用があるということですから、たくさんあります。代表的なものは“若返りのハーブ”と呼ばれるローズマリーでしょうか。デトックスに最もよく使われるのはダンディライオンですが、ほかにも優れたものがあります。今、LOHASが世間で脚光を浴びていますが、悪いものを体の外に出して自然で体に良いものを摂るというのは、LOHASの1つの流れだと思います。
アンチエイジングやデトックスという言葉はハーブ業界では常識ですが、例えば中高年の男性にはデトックスという言葉すら知らない人も多いのです。まだまだ市場は拡大するはずです。アンチエイジングやデトックスは、ブームというよりも基本的なことなので、ここ2~3年は大きなテーマになるでしょう。医療の分野でも急速に伸びていくはずです。
私がこの学校を開校したのは、1つ目に一般の方にハーブの楽しさ、良さを広げたいということ、2つ目が企業にきちんとした専門知識を持つ人を送り出したいからです。だから、講座も趣味として楽しむ人向けと、プロ養成講座の両方を作りました。プロ養成講座では、ハーブの知識は勿論のこと、接客マナーやカウンセリング方法についても教えます。ショップに立つ人は、きちんとカウンセリングができて、その人に合ったハーブが提案できないとダメだからです。講義内容は、園芸から料理、解剖生理学まで幅広く行っています。
これからのハーブ業界には、企画力やプレゼン力が要求されると思います。色々な分野で活躍できる人が育っていけばいいなと考えています。資格取得はスタートに過ぎません。私は資質を備えた人には、私のハーブ・アロマ業界以外にも及ぶネットワークを使って、ビジネスのにチャンスを提供できるのではないかと考えています。当学院の生徒出身で、講師や、大手食品メーカーの商品企画、コンサルタントをしている人もいますよ。生徒には、ぜひハーブ業界で成功してほしいと思っています。