1973年㈱生活の木の前身、(有)陶光入社。陶磁器開発営業に携わる。ハーブへの業態転換にあたり、以後一貫してハーブをビジネスとして捉え、開発・普及に取組む。ハーブ・アロマテラピービジネス、用途開発、町おこし・村おこし等、アドバイスを求められること多数。コンサルティング実績としては、住都公団開発企画参画、大手化粧品メーカー商品開発参画、JR東日本リゾート開発参画、大手乗馬クラブ・大手レジャー産業・大手時計メーカー・大手家電メーカー開発参画、町おこし(石見町、沼隈町、犬飼町、田沢湖町、小長井町、芦別市、由仁町、名護市など)参画、全国12ヶ所のハンドメイドギルドの化粧品工場認可取得、指導。全国ハーブサミットハーブ連絡協議会委員。日本アロマテラピー協会発起人・理事・現環境委員会委員長。社団法人 日本ホビー協会理事。地域中小企業支援センター専門家。中小企業金融公庫成長新事業育成審査員。森林セラピー研究会幹事。JETRO専門家。MIC専務理事。JAPA専務理事。講演、セミナーも行う。
アロマテラピーの市場規模は、対前年比13%増の795億円(2005年度)といわれています。ハーブの正確な市場規模は誰も把握していませんが、ドラッグストアで売られているシャンプーやスーパーで売られているドリンクにも配合されている現状を考えれば、1000億円を超えるのは確かでしょう。
ハーブ市場の創世期は、生活の木が初めてハーブを日本に輸入した28年前に遡ります。米国でヒッピーが「ポットポーリー」といって販売していたものを米国の文献で調べたところ、壺の中で熟成させたハーブの香りを楽しむというものだったのです。それから色々と調べるうちにドイツではお茶として飲まれていることが分かり、様々な用途を考えたのですが、まずは好きな香りを混ぜて作れるポプリを売りました。しかし、全く売れませんでした。
ハーブ人気に火をつけたのは、講談社の少女漫画雑誌『なかよし』の漫画の中にポプリが登場し、さらにその漫画家の先生が生活の木を訪れ、『なかよし』誌面で生活の木でポプリが売られていると紹介してくれたことです。全国から問い合せが殺到しました。そこで『なかよし』がラベンダーの小袋を付けたポプリの小冊子を全員プレゼントすると告知したところ、40万通の応募が来ました。そうした応募があった少女達で友の会を作り、通販で様々な提案を行いました。そして親たちもハーブを知ることになります。
人気に拍車をかけたのは、ドラマ『北の国から』の放送です。ドラマを見た人が富良野のラベンダーガーデンを訪れるようになりました。現在では年間200万人の人が訪れるそうです。全国に民間のハーブガーデンができて、「ふるさと創成基金」でハーブで町興しをしようという市町村は78にも及びました。第1回目のハーブサミットが河口湖町で開かれ、今年は北見で15回目が開かれます。
さらに15年前くらいにフレグランスジャーナル社がアロマテラピーの翻訳本を出版したことも追い風になりました。アロマテラピーはエステティシャン、鍼灸師、美容師なども関係してきますから、一気に市場が拡大しました。世間にきちんとしたものとして認知してもらうため、96年には久留米大学の横山三男名誉教授を会長に、6社で日本アロマテラピー協会をつくりました。昨年、この協会は環境省の管轄になり社団法人化されました。各種資格制度も整えました。
そんな中、私は7年前に設立されたメディカルハーブ広報センターに一昨年から関わるようになりました。ハーブ市場は次の時代、メディカルユーズの時代を迎えたのです。厚労省は、2000年に21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」を掲げ、健康を増進し、発病を予防する一次予防を強力に推進すべきとしています。また、西洋医療の限界がいわれ、対処療法だけでなく、ホリスティックな医学が必要になってきているのです。
徐々に代替医療は浸透してきましたが、日本には生活医療がありません。これからは、古くから医療に使われているハーブ=薬草がそれぞれの健康を守るために必要になってきます。国民が健康にならないと日本の医療費はもちません。医療保険制度は、軽度の病気は自己負担し、重度の病気は社会・国民保険でカバーするフランス型に移行すべきと厚生省の参事官がセルフメディケーションサミットで言っています。イギリスでは、GPという場所で病気と認められないと保険の効く病院に行けないシステムとなっていて社会問題にもなっています。
こうした時代背景の中でメディカルハーブ広報センターがあるのです。ハーブを療法まで高め、一家に1つハーブの薬箱があればよいようにしたい。
メディカルハーブ広報センターでは、植物学や植物療法学を専門とする先生を顧問にしています。活動内容としては、ドイツの文献や資料でエビデンスを集めたり、会員向けにシンポジウムの開催もしています。ハーバルセラピスト、ハーバルプラクティショナー、看護婦や薬剤師等医療従事者向けのホリスティックハーバルプラクティショナーの資格制度も整備しました。
個人会員は現在100人くらい、法人会員はこれから増え始めるでしょう。法人会員はエビデンスのバックアップができるというメリットがあります。
先進国の風潮ではすでにハーブを医療に使用するようになっています。ハーブを生活医学に取り入れるのはどうしたらいいのか、知識を深めてもらうのがメディカルハーブ広報センターの役割です。同時に、度を過ぎたハーブの使い方をしないよう、ガイドライン作りも進めていきます。