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■ NAD+とは?
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ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、代謝の中心となる補酵素です。すべての生体細胞に存在します。細胞代謝において、NADは酸化還元反応に関与し、ある反応から別の反応へと電子を運びます。
NAD+濃度はミトコンドリアで最も高く、細胞内のNAD+総量の40%から70%を占めます。細胞質内のNAD+は、特定の膜輸送タンパク質によってミトコンドリアに運ばれます。
げっ歯類や人間を含む複数のモデル生物において、組織および細胞のNAD+レベルは加齢とともに徐々に低下します。NAD+レベルの低下は、「認知機能低下」、「がん」、「代謝性疾患」、「サルコペニア」、「虚弱」など、加齢に伴うさまざまな疾患と因果関係があります。これらの加齢に伴う疾患の多くは、NAD+レベルを回復させることで進行を遅らせたり、さらには回復させたりすることができます。
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■ ミトコンドリア復活のメカニズム
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NADとその前駆体(NMN、NR)は、小腸でニコチンアミド(Nam)や他の分子に分解されます。これらが細胞に吸収されてミトコンドリアでNADを再構築するために利用されます。
▼ミトコンドリアにおけるNADの再構築
ニコチンアミド(Nam) + リボシド
↓ +リン酸
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)
↓ +AMP アデノシンーリン酸
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)
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■ NADとNMNの違い
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アデノシンーリン酸は、ATPまたはADPの使用から生じるか、または2つのADP分子を1つのATPと1つのAMPに変換することによって生成されます。
NMNからNADを生成するにはAMPが必要です。したがって、NMNの効果はミトコンドリア内のAMPの利用可能性に依存し、これはミトコンドリアの健康とエネルギー生成能力に関連しています。
小腸でNADが分解された後、Nam、リボシド、リン酸がNMNの再構築に使用され、残りの部分はAMPの構成要素であるアデニン、リボシド、リン酸です。
つまり、NMNとは異なり、NADは既存のAMPを必要とせずにミトコンドリア内で再構築できます。
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■ NADとNMNを組み合わせる考え
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▼デメリット
・AMPの少ない弱っているミトコンドリアではNMNの効果は下がります。
・NADは分子量が大きいため、吸収されにくく、小腸で複数回分解される必要があり、腸に負担をかけます。NMNは分子量が小さいため、吸収されやすく、分解されやすく、腸には負担をかけません。その上、NMNはSlc12a8と言うトランスポーターによって、分解されずに細胞まで届く場合もあります。
▼メリット
・活性するためにAMPが必要ないNADは弱ったミトコンドリアでも効果が出せます。
▼考え
(1)NADによって弱ったミトコンドリアを活性させて、活性したミトコンドリアではAMPが増加します。
(2)吸収しやすいNMNはミトコンドリアの健康を維持・改善します。