植物由来原料の注目度を一気に高めたのは大豆ミートだ。 先端の加工技術で、本物とそん色のない食感や風味に近づけることが可能であることが広く知られ、植物由来原料による動物由来たんぱくへの代替可能性を強く印象付けた。 昨今は魚の代替となるPBFも浸透し始めている。世界での市場規模は５0億ドル以上ともいわれ、今後さらに数倍の成長が予測され、日本でも一層の拡大が見込まれている。
持続可能な社会を目指す動きが世界潮流となる中、より地球にやさしいことがあらゆる場面で求められつつある。食品においては、Co2排出削減の観点に加え、健康意識の高まりも追い風となり、動物由来から植物由来原料へのシフトが加速。関連市場が急拡大している。OEMのスペシャリストとして、国内の健康補助食品の受託製造をけん引するアピは、培った技術を応用し、新たにPBF市場へ参入。独自技術で加工した「オーツ麦」等を各種展開する。OEMにも対応し、PBFを検討する企業の総合的なバックアップ体制も整備して、新市場のすそ野拡大を下支えする構えだ。
植物由来の食品を指す言葉としてPBF(プラントベースフード)が国内でも浸透し始めたのは2020年ごろ。健康意識の高まりをベースに持続可能な社会が世界トレンドとなり、地球にやさしいことがスタンダードに。そこへじわじわと広がっていた植物由来食品へのシフトが連動する形で、大きなうねりとなった。
欧米ではビーガンやベジタリアンが一定数おり、すでに大きな市場を形成。国内ではまだ規模は小さいものの、フレキシタリアンは増加傾向にあり、大手カフェチェーンで植物由来のミルクが採用されるなど、不可逆な潮流として着実にその裾野は広がりつつある。
アピは2020年よりPBF原料の展開をスタート。オーツ麦を原料とした粉末のEX-OAT、液体のOAT糖化液を開発し、市場参入を果たした。
オーツ麦はシリアルの原料として知られ、タンパク質、繊維質が豊富で、健康イメージもある。世界的にも健康フーズとして知られており、PBF原料としての高いポテンシャルがある。
同社はこのオーツ麦を特殊粉末加工技術で粉末原料化。OAT糖化液は、この粉末「EX-OAT」を酵素反応で糖化させ、液化したものだ。 3～4倍希釈でオーツミルクとなる。糖化液は、オーツの素材感を残した風味から、すっきりした甘さの糖化液まで酵素反応条件やろ過条件を変更することで味や口当たりの調整を変えることも可能だ。 代替ミルクとしての完成度も高い。
「RICE糖化液」は国産うるち米を特殊加工した粉末をさらに酵素糖化させた液状品。コメは日本人の味覚にマッチしており、ミルクの代替品としてなじみやすい製品といえる。
クセの少ないナチュラルな甘みと香りで、そのままでも十分堪能できる。
昨今はアイスやヨーグルトに、牛乳の代替品として活用する事例が増えているという。国産の安心感と食品として日本人に自然に受け入れられる点などが、健康意識の高まりとシンクロしながら需要を後押ししている。
特殊粉末加工技術を活用することで、さまざまな原料をPBF対応素材へ加工する。
特殊素材加工技術は、水と熱、圧力、せん断の物理的な力によって植物素材を加工する技術で、栄養成分を損なうことなくそのままパウダー化できる。
素材に含まれる澱粉のα化と加水分解、タンパク質の構造変化を伴うことで、加工前に見られなかったユニークな加工特性を素材に付与することが可能。
酵素処理と併用することで素材をより低分子に分解することも可能だ。
すでに穀物、豆類などで数多くの加工実績があるが、最近では未利用食品資源の有効利用などSDGsの観点からの加工の引き合いも増えてきているという。
同社はこの技術でPBF対応原料を製造するだけでなく、OEMにも対応。PBF市場へ新規参入を目指す企業のバックアップも行う。
例えば、従来はサプリメント向けに利用されてきた素材も、同技術により一般食品や飲料へ応用できる場合もあり、新たな市場開拓が見込める。
第4、第5の植物性ミルクの開発も可能だ。
同社では現在、揖斐川工場、本巣工場に特殊素材加工ライン（加水分解ライン）を設置。試作品から大ロットまで柔軟に対応する。
パウダータイプでは小麦粉の代替品としてクッキーやパン、カレーやパスタなどに適しており、徐々に活用例が増えている。
オーツミルク、ライスミルクは牛乳の代替品としてアイスクリームやヨーグルト、チーズやプリン、マーガリンなどに活用され、食品に付加価値をつける新規原料として需要を伸ばしている。
動物由来原料の代替品としてみた場合、植物性由来原料はどうしてもコクやうまみの部分で劣る。そうした課題に対し、同社は補完素材を開発することで対応している。
同じく植物性素材のみで調整した植物性ミルクパウダー(略称PMP)だ。
植物性ミルクパウダーPMPは、同社で特殊加工した米粉を基材に使用し、植物油脂、賦形剤などとともにスプレードライした粉末で、オーツ麦、うるち米の糖化液と合わせて用いることで、メイン素材の風味は損なわずに、相乗してボディ感を創出する。
植物性ミルクに用いる場合、目安の配合量は5％程度。最終的な用途に応じて使用量は調整可能。
PBF原料とのパッケージ販売もしており、同社ではより手軽にPBFに参入できる業務用としての展開も視野に入れる。
日本では古くから豆乳が知られるが、一大ブームとなったのは2000年前後。 その後、技術向上などでより飲みやすくなり、健康意識の高まりも後押しし、大きな市場を形成した。 その後、大手メーカー主導でアーモンドミルクが人気を博し、第二の植物性ミルクとして定着している。 牛乳の代替としての植物性ミルクの潜在需要は大きく、この先第３、第４の植物性ミルクが続々と登場する強固な素地がある。
畜産業における温室効果ガスの排出量は全体の14％とする国連の報告がある。 このことから分かるように、動物性のタンパク源確保は植物性のそれに比べ、地球環境への負荷が大きい。 「持続可能」のキーワードに沿うなら、畜産業よりも農業にシフトするのは必然といえ、こうした大きな潮流もPBF市場拡大の背景にある。
【アピ株式会社】
- ≪事業内容≫
- ●健康補助食品、医薬品の研究開発、受託製造販売
- ●蜂産品原料、加工食品原料、健康訴求原料の研究開発、製造販売
- ●養蜂資材、ポリネーション用の蜜蜂の製造販売
- ≪所在地≫
- 〒500-8558
- 岐阜県岐阜市加納桜田町1-1
- TEL：058-271-3838
- https://api-odm.com/
我々はこれまでにOEMのスペシャリストとして、クライアント様の多様なニーズに応える総合力を培い、高めてきました。いまや世界のトレンドとなっているPBFにおいても、単に食品の植物由来へのシフトという側面だけでなく、そこに「おいしさ」という付加価値もしっかりと追求。「豊かな健康生活を創造する」という経営理念に基づく、より踏み込んだサポートができるよう、全力でバックアップしていく所存です。
今回ご紹介した特殊加工粉末技術と糖化工程を組み合わせることで、加工適性に優れたプラントベースフード向けの原料を提供することが可能であり、オーツミルクや代替乳原料として「オーツ糖化液」や「RICE糖化液」の発売もしています。
同じ技術を使用することで、それらに続く新たな植物性ミルクの創出にも貢献できます。皆様の持つ素材を原料に、オリジナリティーの高い独自の植物性ミルクの開発・受託製造も可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。
弊社としては、特殊加工技術や糖化液製造技術を広く活用していただくことにより、嗜好性の高いプラントベースフードの開発に、原料加工および原料供給の面から貢献し、敷いては日本および海外の消費者の多様な食生活の向上に貢献することを目指しています。
アピ株式会社
- 〒500-8558 岐阜県岐阜市加納桜田町1-1
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