人の歯のエナメル質の97%、骨の約70%を占めるカルシウム成分アパタイト。
生体にとって重要なこの成分にクエン酸と海洋深層水ミネラルをバランスよく組み合わせることで、生体親和性を高めた機能性原料が「イオン化アパタイトTM」だ。独自の抗酸化原料などで豊富な実績がある炭プラスラボが開発した。
ユニークなサプリメントの開発用、歯磨き剤やマウスウォッシュ等の化粧品原料用にと幅広い用途が期待できる同原料の実力を、実験データを軸に検証する。
アパタイト(正式名:ハイドロキシアパタイト 化学式:Ca10(PO4)6(OH)2)は、ヒトの歯のエナメル質の97%、骨の約70%を占めるカルシウム成分。 そうしたことから、口腔内ケアに有効な成分として、歯磨き粉などにも利用されている。
他にも、骨形成に重要な役割を担うことから、シニアの骨ケアの補完素材としての活用も期待される。
活動的なシニアライフを過ごす上で骨密度は重要な要素といわれる。骨は加齢とともにスカスカになり、もろくなっていく。 いわゆる骨粗しょう症は、日本において患者数が1,590万人(2022年現在)といわれており、中高年層において社会問題となっている。
単なる骨の老化に留まらず、骨密度の低下は認知症発症との相関関係があることも発表されており、骨粗しょう症の予防・改善の重要性が見直されている。
そこで、その補完素材として歯や骨形成に重要な役割を担うアパタイトも有力とされるが、課題がある。外部から補給する場合、アパタイトの含有割合が多ければ身につきやすいわけではないということだ。
量よりも重要なのは、生体への親和性の高さといわれている。そのこと自体は解明されつつあるが、どうすれば生体親和性を高められるのか。その方法がわかっていなかった。
この難題に、炭プラスラボ社は、「アパタイト」、「クエン酸」、「海洋深層水ミネラル」を独自バランスで配合することで、アプローチ。これまでに数多くの独自原料を開発してきたノウハウを駆使することで、アパタイトの生体親和性を高めることに成功した。
それが、「イオン化アパタイトTM」だ(特許出願済:出願番号2018-207778)。
一般に流通しているアパタイトのほとんどは鉱物(消石灰)由来。だが、「イオン化アパタイトTM」は、北海道産ホタテ貝殻由来のアパタイトを使用する。 ホタテ貝殻は海のミネラル分を含んだアパタイトで形成されており、鉱物由来に比べて、より生体親和性に優れる。
加えてイオン化アパタイトTM中の海洋深層水ミネラルが、ホタテ貝殻アパタイトの生体親和性を強化。 両原料の相乗効果もあり、「イオン化アパタイトTM」は、いわゆるアパタイトが抱えていた「どうすれば身に付きやすくなるのか」という課題をクリアしている。
イオン化アパタイトTMが、普通のアパタイトに比べ、生体親和性が高いことはイオン発生量が多い事で証明される。
たとえば、歯のエナメル質を修復するには、アパタイトのカルシウムがカルシウムイオンに、リン酸はリン酸イオンにそれぞれイオン化していなければならない。
イオン化アパタイトTMでは、リン、カルシウムのイオン発生量がホタテ貝殻由来のハイドロキシアパタイト単体との比較で、300倍前後の差があり、圧倒的な違いがある。
またイオン化アパタイトTMに含まれるクエン酸が口腔内において唾液の分泌も促すため、唾液中に含まれるカルシウムイオンとリン酸イオンも歯のエナメル質修復の材料になる。
このように普通のアパタイトに比べ、イオン発生量を多くしたことで生体親和性を高めた「イオン化アパタイトTM」は、骨形成に関しても歯の修復時と同様に、カルシウムイオン、リン酸イオンが骨形成にむかうことで、骨粗鬆症の予防・改善につながるのだ。
イオン化アパタイトTMは、歯に色素沈着したワインやコーヒー等の色素を吸着して除去する作用がある。
ワインとコーヒーを使用した吸着試験では、試薬ハイドロキシアパタイトよりもホタテ貝殻アパタイトを使用しているイオン化アパタイトTMの方が、より吸着する結果だった。
また、綿棒にイオン化アパタイトTMだけを付けて歯の表面を1分ほど擦り、色素を除去する実験(50歳の女性)をした結果、かなりの量の色素を吸着し歯の白さを取り戻すことができた。
歯が白くなるのは、アパタイトで研磨しているからではない。歯を傷つけることなく、歯の表面の汚れをアパタイトが吸着して取り除いた結果だ。
更にイオン化アパタイトTMは、代表的な虫歯菌や歯周病菌を吸着除去することもできる。
イオン化アパタイトTMはほかにもシニア層向けに有効と思われるいくつかの実験結果が発表されている。
サプリメント素材の生体内効果の実証には、全ゲノムが解明されたモデル生物として寿命が3~4週間と短い「線虫」を用いた生物試験が多くの研究機関で用いられる(ノーベル化学賞などでも活用)。
イオン化アパタイトTMを使用した線虫寿命延命試験では、10倍希釈液にて最も高い+16.67%の寿命延伸効果があった。
これは生体親和性の高いアパタイト補給による健康作用が、サーチュイン(長寿遺伝子)を活性化している可能性を示唆した結果といえる。
免疫細胞にイオン化アパタイトTMとKT-11乳酸菌(クリスパスタ菌)を加えた実験では、免疫細胞が産み出す免疫活性インターロイキン12(IL-12)が大幅に増える結果となった。
IL-12は免疫賦活や抗アレルギー作用を導くサイトカイン(情報伝達物質)。
この結果により、イオン化アパタイトTMとKT-11乳酸菌(クリスパタス菌)との相乗効果で、免疫賦活作用と抗アレルギー作用があることが示唆された。
同素材は、サプリメント原料としてもちろん、歯磨き剤やマウスウォッシュ等の化粧品原料としても使用できる。 すでにオーガニック系のメーカーからも採用した歯磨き粉が販売されるなど、引き合いもあるという。
鉱石としても知られるアパタイトは、鮮やかな青が美しい天然石。宝石としても取り引きされているが、硬度が低く、加工が難しいため、1カラット以上は希少で、取引数は少ない。
美容・健康・ダイエットといっても、極端に食事を抑えたり、体に負担のかかるような成分を摂取することは、一時的には目的達成につながっても、長い目で見れば、体を痛めていることでしかありません。
中庸というのは過不足なく調和がとれていることです。全てにおいて、私はこの調和をベースに物事をとらえるようにしています。 水素とのコラボやイオン化は、原料のバランスを整え、体に作用するときには負担なく、それでいて素材そもそもの機能性を十分に発揮できることを追求することで蓄積された我々の独自ノウハウです。
アパタイトは、骨と歯の強化に優れた素材であることはわかってます。この2つの機能性を十分にいかせる素材を開発できないものか。そこが研究の端緒でした。
そうすれば、まさにシニアの抱える課題に対応する素材になり得る。そこで、天然のミネラルを活用することで、アパタイトの生体親和性の課題をクリアして生まれたのがイオン化アパタイトTMです。
人間の寿命はどんどん伸びています。しかし一方で、必ずしも健康と長寿がバランスよく両立しているとはいいがたいと感じています。エイジングケア対応素材として「還元NMN」を開発していますが、この素材との相性がいいことも分かっています。
半世紀以上、美と健康をサポートすることに全力を注いできた研究者として、「健康長寿」という、人類の永遠ともいえる課題に少しでも貢献できれば、これほどうれしいことはありません。