大量生産大量消費時代が終わり、ものづくり企業は大きな岐路に立たされている。低コストの生産は海外へシフトし、国内メーカーは技術力が置いてけぼり状態。そうした中、求められるのは付加価値のあるオンリーワン製品だ。だが、採算を考えると簡単に方向転換できるものではない。ノウハウもない…。まさにこうした苦境・障壁を乗り越え、自社製品の開発、そしてヒット商品も輩出し、V字回復。メーカーとしても躍進を続けるのが、ディスプレイ什器の設計・施工やプラスチック製品の企画・生産を行うミツワ(株)だ。
断面に鉄の玉が3つ装着されたたまご型のキュートなカタチのアイテム。これを顔の上で転がすと、鉄のひんやり感と滑らかなローリングが心地よく肌を刺激する。非常に手軽にできる肌ケア。みるみる顔が赤らんでくるほど効果はあるようで、プチエステを受けた気分になる。
この商品、その名を「
ユビタマゴ
」という。同社の自社製品第一号だ。ネーミング、手軽さ、使用感など、全てが絶妙で、“デビュー作”とは思えない完成度。もっとも、こうした商品でもヒットするとは限らないのが、メーカーの難しさ。ところが、ユビタマゴは、いきなり大ヒット。しかも、これまでにテレビショッピングに96回登場し、足かけ8年売れ続ける異例のロングセラーとなっている。
最初から順風満帆。ここだけをみれば、そうかもしれない。だが、実状を明かせば、経営危機との瀬戸際で生まれた逆転ホームランというのがしっくりくる。というのも、ユビタマゴはそもそも、“お蔵入り”していた製品なのだ。開発のきっかけは、ある整体師の発案を同社がデザイン会社経由で受託したこと。試作を重ね、満足のいく製品が完成したが、依頼者から量産の発注は、待てど暮らせど届かない…。
執念ともいえる製品化。そこにはさまざまな思惑が交錯していたが、最大の要因は三輪社長自身が「いける」と直感したことだ。同社にとっても大きな資金が必要となり、小さくないリスクはあった。だが、2000年代はじめの不況で受注生産のほとんどは、中国・台湾に流れ、同社に限らず製造業は苦境にあえいでいた。こうした背景も三輪社長の決断を促したことは否定できない。まさに、崖っぷちでの研ぎ澄まされた決断が、ユビタマゴを生み、そしてヒット商品へと導いたといっていいだろう。
ユビタマゴのヒットで、メーカーとしての手ごたえをつかんだ同社は、その後、モンデリング、背・BONEなど、アイディア溢れるホームケア用美容アイテムを
HOGUシリーズ
として定期的に発売。「ほぐす」をテーマとした美容アイテムを商品の軸としたメーカーとしての実績を積み上げていく。着実にメーカーとしての色を強めながら、同社はこれまで以上にものづくり企業としてのあるべき姿を追求する。
「大量生産大量消費の時代が終わり、これからは少量でオリジナリティが求められる。格安の大量生産は中国や台湾へ流れたが、品質にこだわった少量対応もできる国産品を提供できることは、弊社の強み。今後は、メーカーとして培ったノウハウを活かしたOEMも積極展開し、
ユビタマゴやその他の製品のOEM供給
にも対応していきたい」と三輪社長は、次なる戦略として、BtoBへの本格展開をハッキリと見据える。
苦境を乗り越え、原点である受注生産に美容アイテム開発・販売で培ったノウハウをプラスアルファして進化を遂げた同社。そこには、いわれるがままの受け身のスタンスはなく、マーケティング視点もしっかりと加味した、人が欲しがる商品づくりのノウハウが凝縮されている。それはまさに、日本のモノづくりの技術力におもてなしの精神が詰まった新しくも成熟した、国内製造業が目指すべき進化形といっていいだろう。
すでにいくつかの企業からも打診があるというOEM展開。同社では、今後、スポーツ量販店やフィットネス施設、整骨院など、集客力・販売力のある店舗・施設を軸に幅広い展開を図り、ほぐしを解消するモノづくり企業として、培ったノウハウを惜しみなくフィードバックしながら、柔軟に需要に対応していく構えだ。
コンスタントにヒットを生み出す同社のアイディアマンは社長だ。常にアンテナを張り巡らせ、ほぐしにつながるアイテムの開発に脳みそを集中する。名案が浮かべば社員を個別に呼び出し、ヒアリング。その反応をチェックして、製品化の参考材料とする。同社の製品は、そうやって生みだされていく。
ユビタマゴのヒットを皮切りに誕生したセルフケアグッズをシリーズ化した製品群。職場や自宅でエステ気分を味わえる美容アイテムを組み立て・検査・梱包・出荷まで国内工場で行なう完全メイドインジャパンの高品質が強み。同ブランド専用のサイト(https://www.hogu.tokyo/)も自社運営で、PRから通販までも行う。
球が360度回転する事によって「点接触」で肌にふれているため肌を痛めずに筋肉のコリにアプローチする事ができる。
美顔ローラー ユビタマゴ物語
ユビタマゴ3 特徴
一見すると大きめのゴム製リング。これをふくらはぎにはめて上下に転がすと足のむくみが改善されるという美容アイテム。ポイントは特許登録済みのらせんの輪。転がすたびに突起したらせん部が反転し、ほどよく患部を圧迫。最小限のチカラで足もみを実行できる。
モンデリング【螺旋(らせん)の秘密】
特殊樹脂を使った伸縮率の高いほぐしツールで同社の最新製品。中央に付いたハノ字リング型部分が背中の中心をほどよく刺激し、マッサージチェアにほぐされたような感覚になる。両手で引っ張ってのばすことでストレッチにもなり、自宅でもオフィスでも手軽に体をほぐすことができる。
背・BONEのヒミツ
ロングセラーとなっているユビタマゴはさまざまなコラボ製品も誕生している。サンリオのキャラクター、ぐでたまとのコラボ商品「ぐでたま×ユビタマゴ」は2017年12月に発売。かわいいデザインでさらに持ち運びしやすくなり、オフィスや旅行先でも気軽に顔コリをほぐせる。OEMメーカーながらこうしたネットワークがあることも同社の強みの一つといえる。
【ミツワ株式会社】
≪事業内容≫
- プラスチック成型
- アクリル什器の設計、施工
- 自社商品の開発、販売
≪所在地≫
〒121-0831
東京都足立区舎人1-16-12
TEL : 03-3899-1477
FAX : 03-3855-1616
http://www.mitsuwa.net
当社は昭和42年にプラスチック成型部品の製造会社として創業。今年50周年を迎えました。ご存知のように製造業は不況のあおりで苦境に見舞われ、受注生産のほとんどは中国、台湾へ流れ行く状況。そうした中で1997年に事業転換を図りました。プラスチックの成形に加え、アクリル什器の設計、施工、そして自社商品の開発・販売にも乗り出しました。自社製品の開発は、什器の設計を手掛けたことが役に立ち、比較的スムーズに取り組めました。とはいえ、販路開拓などのノウハウは全くありませんから大変苦労しました。それでもユビタマゴは、地元の理美容院で扱っていただいたことが発火点となり売れ始め、テレビ通販へとつながりました。その後も定期的に自社商品をだし、メーカーとしての地盤は固まりましたが、受注生産は今後も止めるつもりはありません。我々の原点ですし、下請けでクライアントの意見を飲み込みながら生産することはモノづくりのトレーニングとして欠かせないからです。その意味で自社製品の開発は実践の場と捉えています。この両輪で製造業を営む企業としてのクオリティの追求を続けていきます。
品質にこだわった少量生産に対応する純国産を強みに、今後は美容アイテムの開発・販売で培ったノウハウを活かし、OEMにも乗り出したいと考えています。既存品のOEMはもちろん、企画から共に考える形でも受け付けたいと思っていますので、相談からでも気軽にお声掛けください。
ミツワ株式会社
〒121-0831 東京都足立区舎人1-16-12
TEL : 03-3899-1477 / FAX : 03-3855-1616
http://www.mitsuwa.net