企業特集 変わることのない 社名にこめた経営理念 顧客まんぞく追求の先にあるもの 提案型化粧品OEM企業 株式会社シーエスラボ
顧客至上主義の風潮が強まっている。消費者の知識の向上や景気の低迷もあり、市場ではもはや、中途半端な付加価値は意味をなさなくなりつつある。そうした中、社名から“顧客満足”を意識し、その向上に努め、業績を伸ばしている化粧品OEM企業がある。(株)シーエスラボ(東京都豊島区)だ。「突出した技術はない」とする同社だが、愚直なまでの顧客満足の追及は、業務そのものと見事にシンクロしている。
社名は“顧客満足の追求”
社名は、英語表記では【CSLab】。そのネーミングにはカスタマーサティスファクション【Customer Satisfaction=顧客満足】、つまり「顧客満足」の意味が込められている。では、化粧品OEM企業として求められる「顧客満足」とは、どういうことなのか。クライアントの要望に忠実に対応すること、より安く受注する、より早く納品する…。いずれも間違いではないだろうが、正答でもない。
同社が考える「顧客満足」とはなにか。それは林社長の次の言葉にヒントが隠されていそうである。「私が理想とする営業は、研究者が営業すること。迅速かつ的確にクライアントの要望に応えられることが、いい製品作りにおいてもとても大切ですから」。少なくとも同社では、クライアントの要望に応えるのはもちろん、潜在的な希望もできる限り引き出し、さらによりプラスになることならば、積極提案していく。そうした顧客サイドに立った提案型スタイルを追求することで、できる得る限りの顧客満足の実現に努めている。
理想の営業スタイルに近づける組織編成を採用
もっとも、“研究者営業”は理想であって現実的ではない。そこで同社では、仕組よって、理想に近い営業スタイルを実現している。そのシステムとはシームレスな部署編成だ。同社では、「営業部門」、「研究部門」、「素材部門」、と一般的な企業同様、研究開発部と営業部で役割が明確に分かれている。ここまでは一般的だが、実は部署としては同じ括りにしているのである。従って、オフィスにおいては各部門間に事実上、垣根はなく、営業と研究陣が常に円滑にコミュニケーションをとれる状況になっている。
こうした環境に前線の営業部隊の1人は「どうしても専門知識では研究陣に及ばない面があるが、同じ部署に研究陣が控えているので、その場では分からなくても持ち帰ってすぐに対応でき、積極的な提案が出来ますね」とその“効果”のほどを証言する。ともすれば、反目しあうことさえある営業と開発の関係だが、同社ではシステムによって社長の目指す“理想”に近い形で両者がうまく融合している。理想である“研究者営業”の路線を選択せず、あえて“分業スタイル”を採用したのは、各部門が専門性を磨き上げることが、結果的には顧客への提案力の強化につながり、そしてその満足へとつながる、との判断もある。
見えないところにまで及ぶ顧客満足度の追求
クライアントのレベルに関わらず、ヒアリング段階から求められた要求に最大限に応える同社は、もちろん製造段階においても満足度追求の労を惜しまない。最高の製品作りに最新の機器・設備を導入をしていることはいうまでもないが、同社ではそれらを扱う人間の手にまでこだわっている。随時開催しているという工場見学の際、「働く人の手がキレイ」といわれることがしばしばあるという。それはまさに同社の徹底した衛生管理の賜物といえる。さらに同社工場の作業着にはポケットがない。これも万が一、ポケットの中に輪ゴムやクリップなどが入っていたら、という場合に備えての配慮だ。目に見えない部分だからこそ、あえてしっかりケアする。うわべだけでない顧客満足を追求する同社ならではのキメの細かい施策といえる。
完成品には有用性データも
これだけをみても充分にクライアントの満足する顔が想像できるが、追及は製品の完成後にも及ぶ。同社では、工場に最新鋭の肌画像解析システムを導入し、完成した製品の有用性試験を実施。完成品にデータをつける態勢を整えている。それは、出来上がった製品が既存品と比べ、どの程度のレベルなのかを調べることで、クライアントの要望が、実際の市場でどの程度の競争力があるのか、本当に要望したスペックでいいのか、を明確にする意図がある。多くの化粧品OEM企業が、要望を忠実に形にするまでが業務と考える中で、同社では顧客が製品を流通する段階にまで配慮する。
「受注」、「製造」、そして「受け渡し」。いずれの過程でも最大限にクライアントの満足を追及する姿勢は、自ずとリピートやクチコミにつながり、業績に反映。経済状況は厳しいが、同社は右肩上がりの成長を続ける。林社長は「特にこれといった強みがないので、誠心誠意やるしかないんです」と謙遜するが、末端製品として同社が独自提案できる体制も着実に構築されつつある。日本に数台しかない高速攪拌機の導入や、素材部門の設立など、昨年あたりから独自素材・新技術の研究開発にも力を入れており、今後は、もうワンステージ上の顧客満足の実現を視野に入れる。社員のほとんどが30代という若い同社。人材の伸びシロの多さに比例し、徹底した顧客満足度の追求でさらなる躍進を目指す。
会社概要
- 株式会社シーエスラボ
- 〒171-0033
東京都豊島区高田 3-32-3不二ビル4F
TEL:03-5928-5941 FAX:03-3984-5686
事業内容
基礎化粧品、頭髪用化粧品、医薬部外品の一般商品並びに業務用商品の商品開発、企画及び受託製造、 各種健康食品並びにペット用品の製造及び販売各種、健康食品並びにペット用品の製造及び販売 上記に関わるコンサルティング及び輸出入業
チャレンジスピリッツ
顧客満足の追求を徹底する同社は、設備投資も積極的に行っている。肌状態を客観的に評価するロボスキンアナライザー、肌画像解析システムの二次元皮膚表面解析装置臭いの質と強さを数値化する機械「臭い識別装置」など、ちょっとした研究機関並みの設備を工場に備える。その他、世界初の3次元制御のレーザーマーカーなど、顧客満足につながるものなら直接の製品作り以外の部分でも惜しみなく導入を図っている。
技術開発を強化し、将来的には独自提案も
弊社シーエスラボは、CS LABORATORYの略で【Customer Satisfaction=顧客満足】+【Laboratory=研究所】で「全てのお客様への満足を追及し、普及し続けることを目指してゆく」という理念の下、設立しました。社員のほとんどが30代という若い会社で、突出した技術があるわけでもありませんが、常に現状を認識し、さらなる上のレベルを目指し続け、明快でシンプルで、そして笑顔と勇気をもって日々業務に取り組んでおります。そうした中で、お客さまの商談から製品作りへと入っていく私どもの仕事において、私は研究者が営業するのが理想と考えています。それは、素材から製品作りにおける過程において熟知する研究者が、クライアントの要望にその場で即座に対応できる資質を供えていると考えるからです。ニーズを的確に捉え、いかに早く、タイミングを逃さず、製品を市場に送り出せるかといったスピード感が、この仕事ではトータルで考えますととても重要だからです。少しでもそうした理想に近づけるために弊社では、研究部門と営業部門を同じ部署で一括りにしています。完全ではありませんが、うまく機能していると思います。それから、製品を作った後に、有用性のデータをとることにもこだわっています。通常は、メーカーが販売するにあたり、行うことですが、弊社では、作り手としてのひとつの責任として、既存品との違いを明確にし、その上でお客様にご満足いただければ、と考えています。結果的に、クライアントからさらなる要望が出ることもありうるでしょうが、できる得る限り納得いただける様ご対応いたします。現状ではまだ完全ではありませんが、将来的には、全製品に有用性データをつけるようにしたいとも考えています。さらに現在は、国内に数台しかないナノ化を実現する高速攪拌機のカスタマイズスタビライザーの導入による独自の製剤技術の開発、またナノユニットデバイスの応用による新規素材加工技術の開発に取り組んでおります。ゆくゆくは、独自技術・独自素材の応用により、ライアント、さらには市場へ向け、高い付加価値のある製品を送り出すべく、その準備を進めています。
株式会社シーエスラボ 林雅俊社長に聞く
代表取締役社長 林雅俊 氏
株式会社シーエスラボ
イメージに近いものを生み出す実現力。製品からパッケージに至 るまでの徹底した品質管理体制。 化粧品のOEMのご相談から製造まで、 対応できる。