中国産原料にまとわりつく負の要素を跳ね返す経営戦略
原料サプライヤー事業で業績を伸ばす株式会社中原
中国人社長・劉連城氏のもと、2001年3月の設立から業績を伸ばし続ける健康食品原料サプライヤーの株式会社中原。丸10年目に突入した今春には業務拡大のため、オフィスを移転した。景気悪化に加え、安全性の問題で逆風を受けた“中国産”を扱いながら、なぜ同社は前進を続けられるのか。 埼玉県さいたま市の新事務所で、その秘訣を探った。
信頼を勝ち取る4つのポイント
2010年2月下旬、同社はオフィスを移転した。業務拡大を目的に移った新フロアは、これまでの倍以上のスペース。下階には、倉庫スペースも備える。広々とした開放的なスペースは絨毯ばりで、内装にはウッド調の素材がポイントで使用され、暖かみがある。社長自らがデザインしたその内装からは、より働きやすい環境で今後のさらなる飛躍を目指す、というメッセージが込められているようでもある。
1.相手と同じスタンスに立つ謙虚さ
主に中国産原料を輸入・卸販売する同社は、昨今の中国産製品の安全性への不信騒動で、もちろんその余波を受けた。だが、業績は前年を下回ることなく、着実に伸長を続ける。要因の第一は、劉社長が日本で築いた信頼にほかならない。学生として来日して以来、すでに母国・中国在住期間より日本在住が長い劉社長。堪能な日本語と柔和なキャラクターに加え、日中の業界事情を熟知した説得力のある語り口は、いつの間にか相手との壁を取り払う。前へ出ることを嫌い、人と接するときは常に相手と同じスタンス。そうした姿勢もあってか、㈱中原の取引先件数は年々増加している。
2.理にかなった現地スタッフの制御
第二には商品力の高さがある。昨今の安全性問題で中国産=低品質・危険のネガティブイメージが強くなったが、同社では、そうしたことは無関係に徹底して品質にこだわる。中国産が問題とされる事例の多くは、現地製造スタッフと監視体制のズレ。日本企業が中国産を扱う場合、現地へ日本人スタッフを派遣し、監視体制をとる場合が多いが、これだと細かいニュアンスが伝わりきらず、マニュアル上は万全でも結果的に不備が出やすくなる。その点同社の場合、劉社長自身が中国人であることで民族性を熟知。その上で、充分にコミュニケーションをとった現地スタッフを定期的に監視させることで、かゆいところにも手の届く、理にかなった制御が可能となる。
3.二重三重の品質チェック
中国での万全の品質管理に加え、さらに日本搬送後にも品質管理を行う。位置付けとしては、“中国産製品”の日本での再チェック。中国産のクオリティは昨今、かなり向上してきているが、ここで不備が見つかれば、もちろん排除。これほどまでに品質管理を徹底する理由はいたってシンプル。“健康になるためのものが安全でなければ意味がない”、という一点に尽きる。
4.二重三重の品質チェック
確固たるコンセプトに則り、高品質でリーズナブルな製品を安定的に供給することに加え、マーケティング力の高さも同社の強みだ。“いま市場でなにが求められ、今後なにが求められるのか”について劉社長を筆頭に社員全員が常にアンテナを張り、迅速かつ的確に対応する。劉社長の日本でのキャリアの長さは、そうした部分でも大いに役に立っている。同社の主要な取り扱い製品には、業界で大きな市場を築くメジャー素材が多く名を連ねる。売り安さを考えての判断だが、それだけではない。
例えばグルコサミンの場合、市場でニーズの高い打粒への加工のしやすさを考慮し、日本で最終造粒加工し直したグルコサミン顆粒を取り扱う。ヒアルロン酸においては分子量の違う2種類を用意。ローヤルゼリーについては、生、FD末に加え、製法特許を取得した可溶化透明化するドリンクに適した水溶性タイプなど用途に応じた多様な種類を取り扱う。単に認知度の高さにぶら下がるのでなく、末端でのニーズもハッキリと視野に入れた形状のラインナップで、同社ではクライアントのニーズに半歩先んじて応える。
ヒアルロン酸 |
美肌、関節系商材への注目度が高まり出荷量拡大中 |
ローヤルゼリー |
認知度の高さ、一般食品への転用など汎用性広げられる幅広いアイテムを 保有 |
グルコサミン | 打錠性高めた顆粒タイプと純品の2アイテム展開。 市場での関節系関連の提案数増加に伴い大きく伸長 |
サメ軟骨抽出物 | ムコ多糖タンパク含有量の違いで4アイテム展開。関節系関連だけでなく、 美容面でも注目され大きく伸長 |
確固たるコンセプトに基づくぶれない経営
もっとも、現在のラインナップは今後のさらなる飛躍へのステップに過ぎない。劉社長の頭には、母国・中国漢方系の優れた“商材リスト”がある。「現在は薬事法のこともあり、消費者に分かりやすいものをメインに扱っているが、本当はもっと健康維持に貢献できるより自然のパワーを活かした製品を売っていきたいし、今後そうするつもり」と先を見据える。さらに、機能性原料を雑貨系の製品に応用する新たな事業も頭に描く。
「人に頼らず、何でも自分で考える。日本へ来てからそういう習慣が体に染み付きましたね」。同社の堅実な成長の秘訣は、劉社長のこの言葉に凝縮されているといえるかもしれない。他人の意見や周囲の環境に左右されることがないから、人件費や手間隙の削減、といった安易な低価格化は選択しない。なにがクライアント、消費者にとってベターか、が全て。もちろん、会社としての方向性も景況感には左右されない。目指すのはあくまでも社名の由来でもある故郷・中国河南省の広大な平原、中原(ちゅうげん)のようなどしっと構えるビッグな企業。ぶれない経営で、同社は、しっかりと上を見ながら、着実にその歩を目標へ向け、前へと進める。
会社概要
- 株式会社 中原
- 〒336-0022
埼玉県さいたま市南区白幡3-12-16
中原ビル4階
TEL:048-710-8877 Fax:048-710-8878
ホームページURL:
http://www.nakahara2001.co.jp/
事業内容
- 1.健康食品原料の輸入・卸販売
- ローヤルゼリー、ヒアルロン酸、グルコサミン、サメ軟骨抽出物、大豆イソフラボン、石蓮花、
銀杏葉、老陳酢など様々な健康食品原料の輸入卸販売
※全国ローヤルゼリー公正取引協議会 会員 - 2.健康食品新素材・原料の研究開発
- 関連大学や専門技術者と共同開発、研究、新素材の研究、開発
- 3.健康食品、健康関連グッズの企画、開発
- ダイエット関連、美容健康関連、お悩み対策など
- 4.健康関連事業の企画
- 天津甘栗をはじめ、蜂蜜なつめ、ヘアヘルパー、聞き楽(超小型耳穴式集音器)など
取り扱い商品(一部)
- 健康食品原料
- ローヤルゼリーFD末.、生ローヤルゼリー、水溶性ローヤルゼリー、ヒアルロン酸、グルコサミン、サメ軟骨抽出物、石蓮花エキス末、銀杏葉エキス末、田七人参エキス末、大豆イソフラボン、プラセンタエキス末、大麦若葉、真珠粉末、山西老陳酢濃縮末、ビタミンC、等 その他 OEM原料の開発
ローヤルゼリー原料 画像
健康食品は病気を治すものではなく、病気を予防し、寿命を延ばしてくれるものだと考えています。内側から人間を美しくしてくれるものでもあります。経済の発展に伴い、食べて健康になる、食べて美しくなる、そして食べて楽しくなる、という考えは着実に消費者に定着しつつあります。日本には薬事法があり、消費者に本当のよさをしっかりと伝えるのは難しい状況にあります。そうしたこともあり、いまは消費者にとってより分かりやすい、ローヤルゼリー、グルコサミン、ヒアルロン酸、といった日本市場で認知度の高い素材をメインに扱っています。来期には植物性のグルコサミンを取り扱う予定です。弊社製品は中国産ですので、価格面で安定性がありますが、我々はその前に安全性について細心の注意を払っています。だから自信を持っています。中国では工場を厳選するほか、現地での監視体制も徹底しています。国内へ持ち込んだ後も、チェックは欠かしません。それは、最初に述べたように健康食品は寿命を延ばすものであり、原料はそのもととなるものだからです。現在は、その良さを広く分かっていただきたきたいので、メジャーな商材が取り扱いの中心ですが、漢方系のものには人々の健康に貢献できるものが本当にたくさんあります。何十種もの漢方を煎じることで、それぞれの力が引き出されるのですが、食事でいえばスープのような形が理想的です。そうした理論をうまく持ち込んだ漢方系素材を将来的には日本でも展開できればと考えています。原料の機能性を雑貨系のものへ応用した新事業の立ち上げも計画しています。いまはまだ力を蓄える時期ですが、今後、しっかりと企業として認知していただき、会社として大きな企業へ飛躍できるよう、消費者に対しては健康生活へ貢献できるよう、日々努力を重ねていきたいと思っています。
株式会社 中原
〒336-0022
埼玉県さいたま市南区白幡3-12-16
中原ビル4階
TEL : 048-710-8877
FAX : 048-710-8878
http://www.nakahara2001.co.jp/