腸内フローラへの注目度が高まる昨今、ビフィズス菌へ新たなスポットライトがあたりつつある。半世紀以上にわたる豊富な研究実績に加え、乳幼児から超高齢者まで違うタイプの菌が存在する多様性。 最近の研究では認知機能の改善が期待できる結果が報告されるなど、その奥深いポテンシャルは研究者を刺激し続ける。 全世代をカバーする安心安全な機能性素材――揺るぎないポジションを確立する古くて新しい素材がいま、「人生100年時代」をキーワードに、熱い視線を集めている。
健康をサポートするさまざまな機能性素材が存在する中で、ビフィズス菌に関する興味深い研究結果が2018年1月に科学雑誌『Scientific Reports』誌に掲載された。 乳幼児から超高齢者まで高い頻度で検出される腸内細菌は、3菌種しかおらず、そのうちの一つがビフィズス菌ロンガム種だったのだ。 さらに同じビフィズス菌ロンガム種でも乳幼児と高齢者の腸内では優勢になる菌の遺伝学的性質が異なり、また、母子間に限らず、家族間でビフィズス菌ロンガム種が伝播しているという。
研究は、森永乳業が、アイルランドのコーク大学内にあるAPCマイクロバイオーム研究所と共同で実施。 健康な日本人被験者453人(0歳~104歳、男性185人、女性268人)を対象に、その腸内フローラを解析。 全世代に幅広く生息する菌種を検索した。その結果、上記3つの事実が明らかになった。
少子高齢化が進み、いまや人生100年時代といわれる。 単なる長生きでなく、健康寿命の重要性が叫ばれて久しいが、長い人生を豊かに生きるには健康であり続けることが最も望ましい。 そのためには、適度な運動に加え、バランスのとれた食事が重要となる。とはいえ、可処分時間の取りづらい現代ではそれも簡単でない。 そこでサプリメントや健康食品で足りない部分を補完することも有効となってくる。
こうした認識の中で、この結果が示すインパクトは決して小さくない。 ビフィズス菌は、体に有用な物質を作り出し、有害菌の増殖を抑制する有用菌の代表格だ。通常、我々の腸の中に生息する。 特に乳児においては腸内菌叢の大部分がビフィズス菌で占められており、おなかの中から赤ちゃんの健康を守っていることが様々な研究により明らかになっている。 また、大人の腸管内においても最優勢グループのひとつであり、重要な役割を担う腸内細菌といえる。
ビフィズス菌ロンガム種である森永乳業のビフィズス菌BB536は、トクホ取得の「ビヒダス プレーンヨーグルト」などの商品のほか、サプリメントにも使用される菌末素材としての流通実績がある。 2009年にはアメリカ食品医薬品局から GRAS(Generally Recognized As Safe、「一般的に安全と認められたもの」)認定を受け、食品としての安全性はアメリカにおいても認められている。 グローバルにも対応する機能性素材として、確固たるポジションを築くビフィズス菌は、腸内フローラ市場が拡大する中でも、際立つ存在感を放っている。
すでに完成形のようでありながら、無限の可能性を秘め、研究者の好奇心を刺激して止まないビフィズス菌。 そのポテンシャルは次々と明らかになっているが、全容の解明はいつになるのか分からない…。 ハッキリしているのは、その有用性が全世代にまたがり、ヒトの健康と密接にかかわる重要素材である、ということだけだ――。
「最近の研究では、「ビフィズス菌A1」という菌体が軽度の認知障害が疑われる人の認知機能を改善する可能性も報告されている。 これまでにマウス試験で認知機能改善作用や脳内の過剰な免疫反応や炎症を抑える作用が確認されているが、ヒトでもその可能性が示唆された。
本研究は、軽度認知障害と判定された高齢者27人について、前後比較試験で行われた。 その結果、摂取前と比較して、摂取16週後と、24週後のいずれにおいても有意な認知機能スコアの改善が認められた。 さらなる検証は必要だが、ビフィズス菌が高齢層における健康サポート素材として有用である可能性を示す、興味深い知見といえるだろう。」
乳酸菌は糖を分解し、乳酸を作り出す菌。ビフィズス菌は、糖を分解し、乳酸以外にも酢酸を作る菌。
現在市販されているビフィズス菌製品には、動物のビフィズス菌が使われているものも数多い。 しかし、一般食品に利用する場合には、ロンガム菌などの人に生息するビフィズス菌を、飼料に利用するのであれば、アニマリス菌などの動物に生息するビフィズス菌が適していると考えられる。
【森永乳業株式会社】
牛乳、乳製品、アイスクリーム、飲料その他の食品等の製造、販売を行う。 機能性素材も展開し、研究開発部門では乳の優れた力を探り、最大限に活用することをメインテーマに、おいしさ、栄養、健康、安全・安心の面から追求し、製品作りを続けている。
昨今は、健康食品ジャンルにおいて、「腸内フローラ」、「ビフィズス菌」、「乳酸菌」がパワーワードになってきています。 腸内をケアすることが、あらゆる健康不調に有効であることが期待される中で、多くの一般食品へ配合されることで認知が広がっていることなどが、その要因と考えられます。 そうした中で生菌であるビフィズス菌は3つの点でこれからの時代に求められる機能性素材として注目できると思います。 ひとつはアカデミックな側面。2つ目は人生100年時代にフィットするストーリー。そして3つ目は「ワクワクする」ということです。 ビフィズス菌は、長い研究実績の中で多くの論文発表があり、機能性のエビデンスが充実しています。
高齢社会が進み、人生100年時代が叫ばれる昨今、ビフィズス菌は赤ちゃんから高齢者まで異なる菌が存在することが分かっており、全世代をカバーできる。 機能性素材としての「ストーリー」があります。そして、半世紀以上の実績の中でこれから明らかになる部分も多く、研究対象としてのワクワク感があります。 マーケティングの観点からみても、ヒットに必要な要素を兼ね備えるビフィズス菌は、高齢社会における加齢と共生するというこれからの潮流にフィットし、グッドエイジングをサポートする無二の機能性素材として、注目度が増していくと考えています。