東京の中心部に、日本コスメの中国進出窓口が誕生したーー。インバウンド需要に沸く日本。特に中国人観光客の日本製コスメの爆買いの勢いは衰えそうにない。そこに着目し、越境ECで、国産コスメの中国進出をサポートする拠点として、中国人バイヤー向けのショールームがオープン。同施設を開設し、日中コスメの懸け橋役を担う
JVインターナショナルを
立ち上げた、平氏にその狙いや展望を聞いた。
100坪の広いスペースに、ズラリと並ぶ化粧品・コスメ。その数は軽く5,000アイテムを超える。首都・東京から5キロ圏内の至便の地に誕生したこの壮観な美容アイテムのショールーム。そのターゲットは、中国人バイヤーだ。爆買いの中国人観光客ではない。
なぜ、この場所にショールームがつくられたのか…。そこには、頭打ちの国内化粧品ビジネスを飛躍させる、大きな希望が詰まっている。どういうことか。ここに展示される製品は、中国人に売れそうなアイテムもあるが、売れるかどうか未知数の製品も数多い。それは、いわゆる爆買いで、訪日中国人が買い漁る製品群の様な販路には乗っていないものだからだ。
どうすれば、知名度はなくとも実力のある製品が購買力の強い中国人に買ってもらえるのか…。中国人へ向けた空前の商機が訪れる中で、大いに期待されているのが、越境ECと呼ばれるネット通販だ。
越境ECは、その名の通り、国境を越え、ネットで日本製品を中国で販売できる方法。いわゆるネット通販と違うのは、中国政府が劣悪製品の流通を規制するため、通常ルートより、税制面など様々な優遇措置がある点だ。
輸出における手続きなど、煩雑な部分はあるが、これまで中国進出を目指した日本の製品メーカーにとっては、障壁がかなり低く、イメージに近い形で、製品を中国市場に流通できるため、注目度が急上昇している。こうした流れの中で、アンプリーが、同社の海外ネットワークを通じ、化粧品分野では中国最大級のオンラインサイト「JUMEI」とのパイプを構築。そこでの販売へとつなぐ、日本窓口として誕生したのが、冒頭のショールームというワケだ。
「化粧品事業を展開していく中で、中国は日本が今後高齢化していくことを考えても大きな魅力があるマーケット。昨年末に海外のある企業からお話をいただき、私どもがJUMEIで販売する日本の製品を集めることになった。我々としては、これで儲けるという考えはなく、むしろ日本の総力を結集して、中国市場に展開できればと考えています。ここはその窓口になります」と同社平氏は、経緯を説明する。
大量の日本製品が展示されるショールームは、中国人バイヤーを受け入れるのが目的だが、それはそのまま中国市場へ通じる入り口、というワケだ。ここで中国人バイヤーのメガネにかない、中国国内EC上で販売されることになれば、一気に“爆買い”される可能性も出てくる。日本では訪日客の目に届かなかったが、中国のEC上でブレイクすることは十分に考えられる。なぜなら、中国人は訪日で直接、「ジャパンクオリティ」を体感しているからだ。
もちろん、日本製なら何でも売れるわけではない。すでに知名度のある有名ブランドの製品が有利な状況もある。だからこそ、同社では、日本の潜在力を示す意味でも、多くの製品をショールームに展示することを成功への指標の一つとしている。展示するのに費用はかからないため、中国進出を目指す企業にとっては、リスクは最小限。それだけに、同社でもメーカーの積極的なショールーム活用に期待を寄せる。
同社にとって、同施設を介した中国進出サポートは、自国の化粧品メーカーの踏ん張りを真に期待してのものでしかない。むしろ、同社が、企業として狙うのは、中国人向けのオリジナル製品のODM受注だ。
中国人に売るにはどうすればいいのか、というある程度のノウハウはある。そこに、長年培ったOEMの実績で、さまざまな色付けをしていく。例えば、中国人が好む日本の量販店との訪日客向けのコラボ製品や中国ネット通販上で販売するオリジナル製品の開発などだ。こうした展開にあたり、同社にとって強力な武器となるのが、「姉ageha」というメディアを保有していることだ。
媒体を活用し、製品キャンペーンや連動企画などを実施。オリジナル製品にさらなる付加価値を付けることができる。単なるOEM企業では踏み込みづらいマーケティング要素を伴う展開ができることは、トレンドへの感度も重要な化粧品開発において、大きな強みだ。中国の化粧品専門ECショップとのパイプだけでなく、メディアも持っていることで、最初の接点が中国進出でも、中長期的に見れば、幅広い戦略的なパートナーとしてつながっていける。まさに次世代型OEM企業としての進化したカタチの一端が、このショールームともいえるのだ。
国境を越え、商品取引が行われるEC。個人輸入も含まれる。一般貿易に比べ、税率が低い。日本で買われた製品は、越境ECサイトの運営者が「保税区」に倉庫を設置し、そこから注文に応じ、中国内の消費者へ流通する。まさに、日本の製品が、越境ECサイトを通じ、中国国内で手軽に購入できる状況が実現する。現地法人設立などのリスクがなく、中国進出出来るメリットは計り知れない。
【 株式会社アンプリー 】
≪事業内容≫
■化粧品、フレグランス等の受託製造及び研究開発
☆受託製造のコンシェルジュとしてお客様のオリジナリティを活かす商品作りをご提案しています。
オリジナル化粧品はもちろん、オリジナルのフレグランス、業務用化粧品、特殊原料を使ったドクターズコスメまで幅広く取り扱っております。容器、パッケージ、原料等についてもお気軽にお問合せ下さい。
≪所在地≫
〒104-0061
東京都中央区銀座4-8-12
コチワビル5F
TEL:03-3567-8666
FAX:03-3567-6668
「ショールームは、日本における越境ECの中国進出の拠点となる。立地的には首都圏および、我々の流通拠点にも近く、ベストに近い。昨年末に海外ネットワークの中で、中国化粧品通販のJUMEIとの提携の話があがり、我々の横のつながりを活用し、日本の製品集めに貢献できると判断した。今後、他の中国ECへも広がっていく可能性はあると考えている。日本で売れている製品はある程度分かっているが、そうではない製品も十分にパフォーマンスがある。それを引き出し、中国市場で爆買いされる製品がココから出てくればいいと思っている。そのためにも、製品はできるだけ多く展示したい。オールジャパンの総力を結集し、中国市場を開拓できればと思っている。また、我々のリソースを活用したODMの受注にも期待している。長年培ったOEMのノウハウに加え、メディアも保有しているので、オリジナル製品の開発からプロモーションまで、サポートできると考えている」。
株式会社 アンプリー
[本社・工場]
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