
豊富な栄養素を含み健康食材として広く知られる海藻。その中でも「スーパー」なものとして、昨今注目度が急上昇しているのが「アカモク」だ。食用としての認知度は低かったが、いまやスーパーフードとして大手和食チェーンでメニューに加えられるなど、急速に広がりをみせる。有効成分の含有量が他の海藻に比べ際立って多いことが分かったためで、粉末タイプが開発されるなど新たな展開もあり、今後様々な場面で活用されることになりそうだ。

アカモクは海藻の一種で老成すると赤褐色になる。そのことからアカモクと名付けられた。栄養塩に富む浅海を好み、生命力が強く、長さは4~7メートルに成長する。北海道から鹿児島までの沿岸に広く分布するが、食習慣があるのは、秋田県や新潟県などの一部地域のみだった。
昆布やモズク、ヒジキなどが食用として知られるのに比べると無名のアカモク。稚魚育成の場としての役割や水質浄化に役立つなど、食用以外の面で利用されることが多かったことなどが、食用としての活用が少なかった一因と考えられる。だが、研究によりその機能性の高さが明らかになると状況が一変する。
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アカモクの研究を続ける広島工業大学の村上香氏(右欄参照)のリポートでは食物繊維の量は、最も多いとされるテングサに次ぐ量を誇る。ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄や亜鉛などのミネラル成分も他の海藻類に比べ際立って高く、海藻としてのポテンシャルはまさにスーパーにふさわしい。なかでも注目は、フコイダンの含有量。わかめやもずくなどにも含まれることが知られるが、アカモクはそれらの数倍の量を含有する。
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フコイダンは、硫酸化多糖の一種で褐草類の粘質物に多く含まれる水溶性の食物繊維。コレステロール低減作用、血圧上昇抑制作用、抗酸化作用、肝機能向上など、様々な機能性が報告されている。この機能性成分を豊富に含むアカモクは、まさにスーパーな食べ物であることが、科学的にも解明され、一気に海藻類の中でも注目株に急浮上した。
高いポテンシャルを秘めるアカモクの可能性を大きく広げるアクションも動き始めている。エビデンスに基づく機能性食品素材の研究・開発を進めるタングルウッド社(鳥取県境港市)の藤岡一仁氏は、主に化粧品用途でのフコイダン研究を20年以上続ける。同氏がそのポテンシャルに着目し、地元漁業組合と連携するなどでアカモクを確保。熱に強く、湯通しや乾燥でも変化が少ないなどの特性を生かし、粉末化製品を開発した。
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開発にあたり、同氏はアカモクの研究を続ける村上氏に協力を要請。最も機能性成分が増加する時期を特定し、アカモクが育ちやすい環境にある瀬戸内海産にこだわり、加工技術を駆使して、パウダー化を実現した。その意味で、アカモクの粉末化は、アカモクを熟知する人間とフコイダンを追求し続ける人間の“合作”といえ、アカモクのポテンシャルを最大限に引き出した傑作といえる。


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
主要成分;水分,灰分,タンパク質,脂質,炭水化物および食物繊維
含量測定は五訂増補日本食品標準成分表分析マニュアルに従った


生で食べてもぬめりと歯ごたえが絶妙の美味だが、パウダー化により、食用として可能性は無限に広がる。麺類やふりかけ、ソーセージやキャンディー。健康食材としてサプリメントや青汁など、その用途は限りなく広がる。褐藻なので、風味がよく味を邪魔することなく、むしろ向上させるため、工夫次第でレシピはいくらでも作成できるだろう。
すでにサプリメントやふりかけが試験的に作製されており、本格的な拡販へ向け、土台は整いつつある。パウダーは200メッシュと80メッシュの2タイプ、他に約2mm程度のアカモクチップも用意。用途に応じ使い分けることで素材の特性を生かした製品づくりが可能になる。

産地では“アカモク特需”が起こるほど売り上げが伸び、いまやワカメや昆布などを押しのける人気。そうした中、いち早く加工品が誕生したことで、この勢いが加速することは必至だ。食品メーカーにとっても、おいしくて体にいいアカモクパウダーはバツグンの使い勝手で、既存でも新商品でも付加価値をつけるにはこれ以上ない素材といえる。衰えを知らないアカモクブームが、パウダーの登場でどこまで拡大するか、 その成り行きが注目だ。
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
アカモクパウダーを原料にしたサプリメントも発売されている。アカモクの恵は、アカモク粉末を打錠にしたもので、効率的にアカモクのスーパーなチカラを吸収できる。乳酸菌と植物発酵物も配合しており、健康食品としてのバランスも考えられている。

アカモクの恵
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
一部地域で食習慣のあったアカモクだが、海藻の中では目立たない存在だった。ところが、テレビ番組で特集が組まれ、そのパワーが知られると一転、注目度が上昇。食用としてはもちろん、加工品も人気となり、一躍、海藻類の人気上位に浮上した。

広島工業大学
生命学部 食品生命科学科
准教授 ・博士(農学)
■専門分野
生物化学、食品・バイオ分野
■担当科目
基礎生化学、生化学、代謝学、生化学実験、食品学実験ほか
■研究テーマ
1.食品の栄養成分について
2.食品の機能性について
3.ヒト赤血球の過酸化・抗酸化機構について
■その他(所属学会・団体など)
日本農芸化学会、日本栄養・食糧学会、日本家政学会、日本水産学会、日本水産増殖学会


【タングルウッド株式会社】
≪事業内容≫
食品、サプリメント、化粧品、各種原料、各種製品、並びにOEM提案。その他各種物品の卸、輸出入及び小売り。流通・小売・商品開発コンサルタント
≪所在地≫
〒731-5134
広島県広島市佐伯区海老山町9-25
TEL : 082-943-5345
FAX : 082-943-5346
http://www.tanglewood.co.jp/



私は20年来フコイダンの研究に命を懸けてきました。そうした中で、アカモクからフコイダンを抽出するにあたり、まず広島工業大学の村上先生にお声がけしました。その生態を熟知する人がいれば、心強いからです。その結果、行き着いたのがフコイダンの抽出よりもアカモクを食用とすることが、さまざまな観点で有効だということです。フコイダンが豊富に含まれていることなどで注目され、スーパーフードとしてメディアでも取り上げられ、一躍、人気が出ましたが、私はそのアカモクのパウダー化を考えました。そして地元漁業の協力を得て、最も有効成分が多い時期に収穫したものをパウダー化しました。アカモクの加工品はまだほとんどない状況ですが、今後を見据え、瀬戸内海での養殖も検討しています。これまで化粧品用途では多くのフコイダンを供給してきましたが、このアカモクパウダーでは食用として多くのメーカーに使ってもらいたいと思っています。多様な食品に活用できますから、まずはアカモクパワーを体感してもらう意味でも試してもらえればと思います。

1947年 広島県大竹市阿多田島で生まれる。
生家は釣り具も扱う雑貨店を営み、漁業も行っていた影響から1967年広島市にて釣具店を開業。釣餌問屋、中四国に店舗を展開する。
1994年 海外等への釣行をきっかけにトンガ王国のモズク、フコイダンという素材に出会う。海から生まれたフコイダンが人々の悩みを解決するものだと大きな可能性を感じ、また、美しい海を有するトンガ王国、素朴な人柄の島の人たちの力になりたいとフコイダン事業を立ち上げる。
2009年 タングルウッド株式会社設立 AHフコイダン85(サプリメント原料)発売。リムベール (化粧品原料)発売。
2011年 広島工業大学 生命学部 食品生命科学科 村上香 准教授・博士(農学)と「海藻アカモクの機能性と食品利用」をテーマに研究開発する。2017年 瀬戸内海産 アカモクパウダー販売。
- タングルウッド株式会社
- 〒731-5134
- 広島県広島市佐伯区海老山町9-25
- TEL : 082-943-5345 FAX : 082-943-5346
- http://www.tanglewood.co.jp/