国内の変形性膝関節症患者数は現在、約700万人。潜在患者に至っては2400万人に上るともいわれる。そうした中でセルフメディケーションの意識は高まり、関節対応のサプリメント需要は着実に拡大、停滞気味の健食市場にあって関連の原料市場は伸びを続けている。代表的なグルコサミンをはじめ、コンドロイチン、MSMなどの供給量は年々増加傾向にある。さらにレモンバーベナやオラリスなど〝第四の座〟を狙い多様な新規素材も続々と出始めている。健食素材の定番として、ますます活性化する関節対応素材の最前線をリポートする。
代表的なグルコサミンは、供給量が国内で推定550トンといわれ、伸張を続けている。末端レベルでの認知も定着、研究も進む。最近では美肌訴求での提案も増えており、高齢社会のアンチエイジング万能素材へと成長しつつある。コンドロイチンは、軟骨への栄養補給を阻害する酵素をとめるなどの作用があり、末端市場では相乗効果が期待されるグルコサミンとの併用が多い。医薬品用途でも定着しており、安全性やエビデンス面でも信頼性が高い。
MSMは、抗炎症作用や抗アレルギー作用があり、また軟骨やコラーゲンの生成に必要な物質で、米国では200億円ともいわれる市場を形成。国内でも体感性の良さなどでじわじわと認知度を上げ、いまでは代表的な2素材に続くポジションを確立した。
これら〝関節対応3トップ〟に続くのがキャッツクローやデビルズクローなどとなる。だが、突き抜けるものはなく群雄割拠の状態だ。そうした中、オリーブ葉抽出物のオラリス、ハーブとして親しまれているレモンバーベナなど植物由来の新規素材が市場の有望性を見据え、次々と供給され始めている。その多くはグルコサミンなどのとの併用により効果を高める点で訴求しており、今後、代表的3素材に牽引されながら、市場はさらに活性化していくとみられる。付随して末端レベルでの多様化も加速しそうだ。
軟骨を包む滑膜細胞が産出するヒアルロン酸量に、グルコサミンがどのように影響するかを調べた。滑膜細胞を培養し、グルコサミンを添加したところ、グルコサミン濃度依存的に滑膜細胞外液中のヒアルロン酸量が増加する事が分かった。
また、同様に滑膜細胞内においても濃度依存的にヒアルロン酸量が増加する事が分かった。このことより、グルコサミンを摂取する事で、変形性関節症患者の滑液中で減少しがちなヒアルロン酸の産生を促進する可能性があることが分かっていまる。
グルコサミン塩酸塩では甲陽ケミカル、焼津水産化学工業、プロテインケミカルが大きなシェアを形成。甲陽ケミカルを筆頭に3社で8割近い取り扱い量を占める。焼津水産は、N-アセチルグルコサミン(NAG)で関節に加え、美容訴求でも積極展開を図る。また、協和発酵は、国内初の植物由来の発酵グルコサミンで差別化を図り、寡占市場に切り込む。コンドロイチンではマルハがシェアの過半数を独占。医薬品用途まで幅広く市場を抑える。MSMは、米バーグストロームニュートリション社(蒸留法にて精製)のものを扱うCICフロンティアが半数近いシェアを形成。「第3の座」をリードする。MSMではマリーンバイオも米製のものを供給する。キユーピーは、ヒザ軟骨構成成分でもあるヒアルロン酸を扱う。
新規素材では、ビーエイチエヌが2007年11月にレモンバーベナを上市。痛みを軽減することに主眼を置き、トップ3との訴求棲み分けで市場に斬り込む。エーザイ・フードケミカルはオリーブ葉抽出のオラリスを展開する。新規素材が続々と登場する一方で、グルコサミンやコンドロイチンは、素材としての〝知名度〟を生かしつつ、美肌での訴求も目立ち始め、幅広い層への需要を喚起する展開をみせる
企業名 | 動 向 |
---|---|
甲陽ケミカル | JIHFS認定健食GMP工場精製の高品位品で市場牽引 |
焼津水産科学工業 | NAGでも積極展開し、拡大図る |
プロテインケミカル | 〝3トップ〟の一角として安定供給続ける |
マリーンバイオ | 米GMP工場製造の高品質MSM |
BHN(ビーエイチエヌ) | 痛み軽減主眼にした植物由来の関節対応注目の新素材 |
エーザイフード・ケミカル | オリーブ葉抽出のオラリスを関節対応素材との好相性で提案 |
キユーピー | 発酵法によるヒアルロン酸「ヒアベスト®(J)」 |
マルハ | 食品用、医薬品原料のコンドロイチン硫酸ナトリウム最大手 |
CICフロンティア | MSMのトップサプライヤーとして“第三の座”リード |
協和発酵 | 国内初の植物由来の発酵グルコサミンで差別化 |
おかげさまで当社のグルコサミンは前年比を上回りました。グルコサミンに関しては原料ベースで国内市場が550トンといわれており、それも前年の500トンを上回っています。
ある研究では変形性関節症の潜在患者数が約2400万人という報告があります。これを国内の原料流通量と照らし、単純に1日摂取目安量の1.5gで計算すると100万人くらいが、いまグルコサミンを摂取していることになります。そうするとまだ約24倍の伸びシロがあることになります。あくまで原料ベースの計算上の話で参考ですが、有望な市場であるとはいえると思います。
日本人はそもそも我慢強い。だから年をとって腰やヒザが痛くなるのは当たり前で我慢するものと思っています。そうではなくてサプリメント等を摂取して痛みを軽減できる、という考えも少しずつ浸透し始めていますが、そういった層への啓蒙活動、さらにアクティブシニアといわれる層へいかに効果的に訴求していくかがポイントになると思います。
健食用途としてももちろん拡大を図りたいですが、その次のステップとして考えるのは、一般食品の方へ進出です。ということは、より味のよいものを提供していきたい。例えば当社は約3年前にグルコサミンの塩酸塩を軽減し、クエン酸を加えてスッキリとクリアな味にした「グルコサワー®」を開発しました。そういったものを増やしながら、健食からさらに幅を拡げていければ、と考えています。あとは、美肌に関するデータ等もありますがエビデンスをさらに重視し、当たり前ですが品質もこれまで以上に徹底していきたいですね。
東京大学医学部22世紀医療センターの疫学調査で、X線上の変形性膝関節症(膝OA)が2400万人のぼると推測されている。同調査は、症状の有無を考慮せず、Kellgren-Lawrence(K/L)法により読影した両膝X線写真でK/LGrade2以上をOAと診断。膝OAの有症率は男性44.6%、女性66%と判明した。データ上は国民の5人に1人がヒザ痛予備軍ということになる。
関節対応の新規素材の中でも注目を集めるのがレモンバーベナだ。南米原産で薬用植物として用いられ「長寿のハーブ」ともいわれる同素材は、名前の通りレモンの風味がし、食品に分類される欧米ではさまざまな食品に利用されている。炭酸飲料やハーブティー、アイスクリームやケーキ、魚の味付けなど多様な用途で使用される。
昨今、健食市場では、より一般食品に近づく傾向があり、そういった面でも機能と〝うまさ〟を併せ持った素材として注目される。すでにレモンバーベナを配合した末端商品も発売されている。
通販を中心に安定した売り上げを続けるグルコサミン含有サプリ。リーピーターが多く、各社とも固定客確保に力が入る。キリンヤクルトネクストステージの「グルコサミン」はユーザーニーズに応え、2007年秋にお徳用の630粒入りを発売した。また、女性をターゲットにした「グルコサミン&コラーゲン」もラインナップし、幅広くニーズを掬い上げる。
甲陽ケミカルは、関節向けとして自社のグルコサミンにオラリスを配合し、シークワーサー風味で飲みやすくした「ジョイントサポートKX」、美肌向けとしてグルコサミンにコラーゲン、レモンバーベナを配合した「プルミン」を提案。激戦のグルコサミン末端市場で新しい提案を打ち出している。
協和発酵は発酵グルコサミン含有の「リメイク発酵グルコサミン」(タブレットタイプ)を通販で販売する。
サプリメントの定番素材としてすっかり定着したグルコサミンは研究が進み、多くのデータが蓄積されている。大学、病院の先生らを主体に関連企業が名を連ねる「グルコサミン研究会」も発足している。同研究会では毎年多くの発表がされ、グルコサミン、関連素材の最新情報が発信される。今年は2月8日の開催。
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