コスメ研究家アシスタントのちにビューティライターとして独立。マガジンハウス「Hanako」文芸春秋「クレア」など女性誌で活動後、旧中央公論社、現角川書店「マリ・クレール」の美容担当編集者に。1998年、美容専門のプロダクション(有)J・ビューローを設立し、ビューティエディター、ライターとして女性誌への執筆活動のほか、美容ページのコメンテーターとして活躍。 2003年には、美容業界初となる化粧品お試しサロン「club C.」をオープン。現在は、各女性誌、インターネットなどで連載を執筆するほか、イベント、TVなど多方面で、美容コメンテーターとしても活躍。
「私にあっている化粧品は何?」「化粧品はたくさんありすぎて、どれを選んでいいのかわからない」……。美容ジャーナリストという仕事の中で、多くの女性からこういった声を聞きました。販売目的ではなく、化粧品を気軽に試せて、自分にあったものを探せる場所というのが無い、ならば作ってしまおうとスタートしたのが化粧品お試しサロン「club C.」です。
現在の会員数は1600人近く。関東近郊の方で、一番多い年代は25歳から38歳のゾーンですが、なかには70歳代の方もいらっしゃって、幅広い方々に利用してもらっています。当初は、“コスメフリーク”といえるほど知識の深い人が多かったのですが、最近は、「この化粧品はどう使えばいいの?」「今もっている化粧品と、どのように組み合わせたらいいの?」といった質問をされる人も増えています。
そのような様々なレベルの方々が集まって、情報交換をしています。非常にクチコミ能力が高いのが会員の特徴です。最近、コスメを選ぶ際に重視されるのは、年齢ではなく、個々人の肌質や好みの使用感、香り、そして予算などです。大体、化粧品に月2万8千円ぐらいというのが会員の平均予算ですが、ここで使ってみたもので気に入ったものならば、高くても手に入れる人が多いようです。また、コスメだけでなく、ファッションやレストランなど、いろいろな情報交換が行われるのも特徴かも知れません。
サロンに置いている化粧品は、店販しているブランドだけでなく、通販や訪販ブランドなど、常時100以上が揃っています。私やスタッフが審査をして、お勧めに値すると思うもの以外にも、メーカー側から置いて欲しいとのリクエストがあったものや、新しいブランドを発売したが知名度がないといったものに棚を貸しています。もちろん、すべてOKというのではなく、棚を貸す際にも、私とスタッフで製品のことや開発経緯などを含めて検討した上で決定しています。最近、発売される化粧品は増えているのですが、コンセプトがなく、ただ出しましたという感じのものもあります。その製品に対して、どのぐらいの意気込みがあって、どういう人たちをターゲットにしているのか、これからの展開をきちんと考えているのかというのが、審査の基準になっています。やはり、サロンに置いて試してもらうからには、いい加減なものを選ぶわけにはいかないからです。
「club C.」にはスポンサーはいません。そのため、2100円の年会費や1時間525円のお試し時の施設使用料以外に、前述したメーカーにサロンレポートを購入していただき、運営しています。毎月の消費者の動向も記述したサロンレポートは、棚代含め基本料金で5万円/月の6ヵ月契約です。この他にも、サンプリングやアンケートの実施、セミナー開催などのオプションメニューもあり、ご相談に応じて対応しています。感度の高いお客様の意見をすいあげて、良い商品を開発して下さるメーカーさんとお仕事できると、こちらとしてもやり甲斐を感じます。
このサロンは、会員だけでなく、私にとっても大きな意味を持つものでした。美容ジャーナリストの仕事は、膨大な数の読者を相手にしているマスメディアです。そのため、少人数を相手にする仕事に、当初は戸惑いを覚えました。しかし、マスメディアと違い、ライフスタイルなどその人に背景を把握した上で、生の声を聞けるのは、確かに意味のあることです。これからも会員数が増え、化粧品だけにとどまらず、地域性やファッション、ライフスタイルをも含めた展開を期待しているところです。