北海道斜里町生まれ。明治大学商学部卒業。光学製品メーカーの(株)タスコジャパン副社長時の1985年に(株)アバンティを設立。オーガニック・コットンの輸入販売やオーガニック・コットン製品の企画製造販売などを行う。1988年に(株)タスコジャパンを退社し、アバンティに専念。1993年、米国テキサス州の現地法人katanHouse Japan Inc.を設立。代表取締役に就任。
1993年に日本テキサスオーガニックコットン協会を繊維業界の9企業の協力を得て設立。理事長に就任。2000年にNPO法人日本オーガニックコットン協会に昇格。副理事長に就任。2005年には国際オーガニック繊維品会議(INTERCOT)で個人の活動が評価され、オーガニックコットン繊維賞(「Retail/Trade」部門)を受賞。
オーガニック・コットンとは、無農薬有機栽培の綿のこと。世界13カ国で栽培されているといわれています。しかし、オーガニック・コットン自体は無農薬有機栽培だからといって、それが使用された製品に化学物質などが全く使われていないというわけではありません。衣料品は、製品化されるまでの工程が最も多いとされ、紡績や織布、染色、縫製と数多くの人の手を経ています。そのため、オーガニック・コットンを使っていても、それらの過程で化学薬品が使用される可能性はあります。
むしろ、100%化学物質フリーでの製品化は不可能に近いのです。なぜなら、先の工程で薬品が使用されることもあるでしょうし、ボタンやファスナー、タグなどに石油由来のものが使われる可能性も十分考えられるからです。草木染であっても、一部では色を定着させるために薬剤を使用する場合があるかもしれないのです。
しかし、たとえ不可能であったとしても、環境や健康へのリスクを最小限に抑える努力をしようというのが、日本オーガニック・コットン協会(JOCA)の主張です。コットンはオーガニックのものを採用することが前提で、それ以外の素材は生分解性のあるものを利用する、でき得る範囲で薬剤の使用を避ける、環境に配慮したプロセスを導入するといったことなどを提案しています。JOCAのスタンスは、現代のライフスタイルでは実現が困難な基準ではなく、妥当な選択肢を設けて、よりよいプロセスを模索してオーガニックコットンを普及することなのです。
これら我々の提示する基準に見合う製品には、認証マークを付与しています。認証マークは、Pure(オーガニック・コットン100%。染色、プリントを認めず)、Pure dyed/printed(オーガニック・コットン100%。環境に低インパクトな一定の条件下での加工による染色やプリントを認める)、Blend(オーガニックコットン60%以上。環境に低インパクトな一定の条件下での加工による染色やプリントを認める)の3種です。昨年の認証マークのタグ発給数は161万1435件で、一昨年の67万6413件の倍以上となりました。認証は製品ロットごとに行います。
現在、オーガニック・コットン製品は流通する綿製品の総数に対し、およそ0.02%と極めて少数です。しかし、確実に一般への認知は進んでおり、JOCAでは10年後に10%にすることを目標としています。オーガニック・コットン製品の認証マークは東京書籍から出版される家庭科教科書に掲載が予定されています。また、あかね書房出版『記号のポケット図鑑』へも掲載予定です。一般への認知がより進むと考えられ、この目標は決して夢ではありません。
他に、JOCAでは隔年、オーガニック・コットンの普及に共鳴した、世界で活躍するアーティストの方々にデザインして頂いたアーティストTシャツを発表、販売を行っています。
また、現在は認証段階で製造現場への立ち入り検査を行っておりませんが、今年9月に国際基準が施行されるのを受け、検査人の派遣を行うことになります。検査人の養成システムの運営なども検討しているところです。