志賀商事(本社東京都江戸川区、志賀弘社長)は、「つまずき転倒防止用スリッパ『イルカ』」を3月から中国生産を行うことで掛け率を落とし、問屋など卸しに対応していく。これまでは、HPなどを利用し、直販のみで販売していた。昨年2月から12月までで売れた数は約2500足。
『イルカ』は、東京都老人総合研究所(板橋区)が「高齢者は病気になって治療を受けるより、つまずいて転倒して骨折、寝たきりになる人が多い」と発表したことをうけ開発したもの。なぜ高齢者が転倒してしまうかというと、健常者が歩く際、通常5㎝以上足が上がっているのに対し、すり足状態になっているため。特に緑内障や白内障にかかると、細かい突起物がよく見えなくなってしまう。
そこで、同社では、最初からつま先が5㎝以上、カカト部分が3㎝程度反り返っているスリッパを開発した。当初は靴を開発しようと考えたが、都のデータで100人中70人が室内でつまずいていることから、スリッパの開発に至った。さらに、脱げにくいようにカカトに止めるゴムの安全帯を付けたのも特徴。商品は柄によって夏用、冬用がある。価格は税込み2940円。
同社によれば、「今年2月にあんしん財団の会報誌で紹介されたところ、限定300足が1週間で完売した大変人気のある商品。NHKの番組などでも紹介されたことから、大手通販会社からも引き合いがあったが、掛け率の問題で卸すことができなかった。今回、中国生産を開始することで、卸しにも幅広く対応することが可能になった」(志賀弘社長)としている。
室内の利用の他、車椅子に乗る人が利用したり、車の運転時に利用する人もいるという。