アイケア市場が活発に推移している。パソコンの普及などにより目を酷使するシーンが増大していることに加え、環境変化による紫外線量の増加や食生活の変化。さらに高齢化など様々な要因が絡み合い、そのニーズは拡大している。マーケットの膨張にシンクロし、ブルーベリーやルテインといった代表的素材に加え、エビデンスのある新規素材も登場している。
2大アイケア素材に続き、アスタキサンチンやクロセチンなど、新規のアイケア素材が登場する中、注目を集めているのが、ツルレンゲだ。ツルレンゲは、主に中国、内モンゴルに自生するマメ科の多年生植物。その種子をシャエンシといい、煎じて服用すると、目の保養作用などがあるといわれる。
ツルレンゲの種子から得たエキスにはフラボノイドであるラムノシトリン配糖体およびミリセチン配糖体などが含まれることが分かっている。ツルレンゲの目に対する保護作用については、科学的な検討が行われていなかったが、丸善製薬では独自の研究によりツルレンゲのアイケア効果を確認、商品化に成功した。
新規アイケア素材の中で、丸善製薬の「ツルレンゲ乾燥エキスF」が注目を集める要因とされるのが、アイケア素材としての絶妙のポジショニングだ。
例えば、ブルーベリーとの比較においては、視力低下や視野の欠損などを想定し、圧力負荷によって視神経の細胞ダメージを誘発した網膜虚血モデルによる実験で、「ツルレンゲ乾燥エキスF」の経口投与において、視神経細胞数の減少が有意に抑えられることが分かっている(表1、図a)。
【試験方法】
ラットを麻酔後、固定し、130mmHg前後の圧力がかかるように生理食塩液の左前眼房内に刺入し、45分間虚血状態にする。虚血後7日目に眼球を摘出し組織学的検討を行った。全例、左眼を処置眼、右眼をControlに。
ルテインに関しては、その溶解液にツルレンゲエキスを添加した場合、ルテインの光劣化防止効果などが確認されている(表2)。
【試験方法】
ルテインを0.08mg/mLになるように溶解した液にツルレンゲエキスを添加し、15,000lxの蛍光灯下、37度のグロースチャンバー内に保管し、ルテインの残存率を吸光度を用いて測定。
2大素材との親和性や優位性を備えながら、単独の素材としても有効なデータがあるのもツルレンゲの強みとなっている。注目すべきは、ヒトボランティアによる眼精疲労の改善効果試験において、「ツルレンゲ乾燥エキスF」の経口摂取により、負荷による視力悪化の抑制、視神経の機能向上、眼精疲労に伴う自覚症状の改善などが認められている点だ。
【試験方法】
VDT作業に従事し、眼の疲れやすい成人女性(11名)を対象に、ツルレンゲ乾燥エキスF(400mg)を1日1回、4週間連続摂取していただき、眼科検査およびVASアンケートを負荷作業の前後で実施(医師の管理下)。
検査日:摂取前、単回摂取時、2週間摂取時、4週間摂取時
また、ヒト正常皮膚繊維芽細胞(NB1RGB)にUV-Bを照射後、披験試料を添加し、24時間培養した実験では、「ツルレンゲ乾燥エキスF」を添加したものが濃度依存的にUV-Bによるダメージを回復させる効果があることが確認されている。
代表的なアイケア素材のそれぞれの作用点を補完しつつ、単体でも機能するツルレンゲ。今後、ますますニーズ増大が予想されるアイケア市場にあって、多様な活用法が考えられ、末端製品においてもその展開が大いに注目される。