抗ストレス関連の原料市場が、着実に拡大を続けている。研究データの蓄積に加え、一般食品、飲料などへの採用で認知度が向上。潜在ニーズが掘り起こされ、市場が熟成した。ストレス社会といわれて久しいが、オフィスでのストレス起因の疾病は後を絶たず、潜在的なものも含めたメンタルケアに対するニーズは年々高まっている。増加する需要とともに多様化する抗ストレス素材市場の最新動向をレポートする。
トレードピアはキウイフルーツエキス末のザクティナーゼ®を扱う。ニュージーランド産の熟したキウイフルーツから自然のままの素材として生産されたエキス末で、同社では顆粒、カプセル、チュアブルタブレットなど、多様な製品アプリケーションを用意する。すでに大手メーカーなどから引き合いがあり、製品化が決定しているものもある。
セティは、今春より柑橘系フルーツ抽出エキスのシネトロール®を本格展開。脂肪燃焼効果(中性脂肪)が発見されておりヘルシーで効果の期待できるダイエット系素材として注目を集める。また、同社はぶどう、グレープフルーツなどの11種のフルーツ、トマト、にんじんなど11種の野菜からのフルーツ・野菜抽出エキスオキシネア®も取り扱う。同素材は、特殊な抽出法により、ORAC値5000μmolTE/g以上の高い抗酸化力を誇り、WHOが提唱する1日の要摂取、野菜&フルーツをわずか0.8gで摂取できるのが特徴。マリーンバイオはアセロラパウダーを扱う。天然のビタミンCを17%以上含有する熱帯アメリカ原産の天然アセロラを使用する。
キノスは、南米原産のカムカムを輸入販売。同素材は天然ビタミンCを豊富に含有することで知られるが、同社は佐賀大学医学部と共同研究も進めるなどし、それ以外の抗酸化成分の存在の可能性も確認している。
アビオスは、南米アマゾンに自生するアサイーを販売。同社は徹底して無農薬、無添加にこだわり、世界一の抗酸化力を持つとされる同素材の専門サプライヤーとして、品質重視のハイクオリティ品を供給する。フリーズドライパウダー、アサイー濃縮エキス、コスメティックオイルなど、豊富なラインナップで多様な用途に対応する。3年前からアサイーを扱うテルヴィスは、有用な油分を豊富に含有するパルプで南米原産ものを供給する。
企業名 | 動 向 |
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トレードピア | NZ産キウイそのままのエキス末。多様なアプリ用意する |
セティ | 脂肪燃焼効果発見の柑橘系フルーツエキス・シネトロール®、各11種の野菜・フルーツ抽出エキス・オキシネア® |
マリーンバイオ | 天然ビタミンC17%以上含有の熱帯米原産の天然アセロラ |
キノス | 南米原産のカムカムをじっくりと展開 |
アビオス | 無農薬、無添加の品質最優先の高品位品 |
テルヴィス | 南米原産の天然物をパルプで供給 |
ザクティナーゼ®は、製造元であるニュージーランドのバイタルフーズ社が便秘発症マウスに同成分を投与する実験を実施。1日720mgの投与で腸内運動性が20パーセント超に増大したことなどを確認している。
また、NPO法人代替医療科学研究センター 試験実験施設 医療法人ホスピイー蒲田クリニックは、高齢者における便通促進とQOL増進効果について軽度から中等度の便秘で悩む60歳以上の高齢者42人を対象にザクティナーゼ®を4週間1日3回2カプセル、計6カプセル/日(720mg)摂取させ、排便状態と腹部の自覚的所見、全身的なQOLを調査。いずれにおいても一定の効果を確認している。
カムカムはキノス社が佐賀大学医学部と共同研究し、喫煙者を対象とした臨床試験の結果、動脈硬化と酸化ストレスの予防効果を確認している。アサイーも4月より静岡大学が世界一の抗酸化力といわれるその秘密解明に研究を開始した。シネトロール®はvivo前の予備試験でプラセボ比600%、ガラナのカフェイン12%品に比べ200%の脂肪燃焼効果が明らかになっている。
アセロラに代表されるように長年安定的に推移を続ける商材だが、昨年末あたりから各サプライヤーとも「引き合いが増えている」と口を揃える。要因としては「昨今の食品問題による消費者の化学合成品離れ」に加え「天然モノ回帰」「中国産回避」などが考えられる。
事実、南米・欧米やニュージーランド原産モノがその中心であることや、従来用途に加え「酸化防止剤などでの需要増」を挙げるサプライヤーもおり、消費者の安全意識の高まりに市場ニーズが着実に天然モノ志向へシフトしていることがうかがえる。
加えて、エビデンスの充実も大きな要素といえる。ザクティナーゼ®は、腸内運動性の改善効果、カムカムは佐賀大学との共同研究で動脈硬化などの予防硬化などを確認し、トクホも視野に入れる。シネトロール®は臨床試験による脂肪燃焼効果が報告されている。元来の安心・安全なヘルシーイメージ加え、エビデンスの蓄積も進み、フルーツ系の天然素材市場は、今後ますますの伸張が期待される。
弊社は3年ほど前からアサイーを扱っていますが、当時に比べ、南米などの天然フルーツ系のニーズは着実に増加していると感じております。
弊社はエキス状のものではなくパルプ状粉末に特化しております。といいますのもアサイーの良質なオイルの部分がしっかりと残るからです。含有量では一価脂肪酸がオリーブオイルに対し268倍、多価脂肪酸がオリーブオイルに対し559倍といわれています。そのパワーが最も生かされるのがパルプだと考えております。
健康食品素材というよりもクッキーやジュースなどの食品に特化していますね。食べたときにもう一回食べたくなる味で食品に適しているのと、健食業界全体としてもいわゆるサプリメント、というより食品へ付加価値をつける傾向になりつつある気がします。
豊富なオイル分が特徴ですので、食品へのさらなる普及、そして油は油で抽出し、化粧品分野へも裾野を広げたいとは考えております。
日本カムカム普及協会によると同素材の輸入量は年々増加(図1)。
その内訳は8割が日本となっている。2年ほど前にはテレビで取り上げるなどし、急増した同素材。その後落ち着いたものの昨年辺りから引き合いが増えてきているという。
日本カムカム普及協会では「今後はビタミンCだけではない、という点を研究で明らかにし、定番素材にしたい」と話した。
厚生労働省は「健康日本21」などを通じ、1日に必要な野菜・果物の推奨量を定めている。それによると野菜350g、果物200g/日となっている。
これを抗酸化力の新しい指標として米国農務省と国立老化研究所の研究者らにより開発されたORAC値に換算すると野菜2,625 ORAC Units、果物2,060 ORAC Units、合計4,685 ORAC Unitsとなる。
イチゴだと13個、バナナで5本、ぶどうで3房 がその摂取目安量。