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米国人のがん死亡リスクは90年代前半から減少傾向にあるが、がん罹患率は変化がないことが、「Cancer」誌10月15日号に掲載される。がんに関する新しい年次報告書によって分かった。同報告書によると、がん死亡率は男女ともに減少傾向で、男性は1993~2003年で年間1.6%減、女性は 1992~2003年で年間0.8%減と、男性の減少率の方が高かった。北米がん登録協議会のコーラー会長は「男性のがん死亡率減少は喫煙の減少によるもの」と指摘。総体的ながん罹患率については、男女ともに1992~2003年の間、大きな変化は見られなかった。女性の乳がんは1980年代から増加していたが、2001~2003年は横ばいになった。女性の罹患率が減少したのは、結腸・直腸がん、子宮がん(1998~2003)、卵巣がん(1985~2003)、口腔がん(1980~2003)など。一方、増加したのは甲状腺がんで、1981~1993の罹患率は年間2.2%だったのが、 2000~2003年には9.1%に増加した。肺がんも微増傾向を示している(1991~2003)。男性の罹患率が減少したのは、結腸・直腸がん(1998~2003)、胃がん、口腔がん。一方、増加したのは、前立腺がん(1995~2003)、骨髄腫、白血病、肝臓がん、腎臓がん、食道がんなどである。この報告書を受けて、米国がん協会のセフリン博士は「がんの傾向の変化に注意を払い、その原因を突き止めることが重要である」と指摘した。
米国立衛生研究所(NIH)や複数の研究機関の最新共同研究で、幼年期に体重超過している場合には、思春期になっても体重超過、肥満傾向にあることが明らかになった。詳細は「Pediatrics」誌9月号に掲載された。同研究は、全米1000人以上の2~12歳児の身長および体重のデータを定期的に集め BMI値を算出、分析した結果、幼年期の体重超過が後の体重超過リスクを増加させる、ということを強く示す複数のエビデンスが認められた。同研究がこれまでの研究と異なるのは、2~12歳の間に複数のインターバルで頻繁にデータ収集が実施され、現在、肥満が問題になっている1991年生まれが対象になっていること。2~4歳半の間に一度でも体重超過と診断された子どもは、12歳時における体重超過率がそうでない子どもの5倍、小学生時代に1度でも体重超過と診断された子どもは、12歳時の体重超過率が25倍、2回診断された子どもは159倍、3回診断された子どもは、374倍にも上った。
5日、FDA(食品医薬品局)の要請により、フロリダのアドバンテージ・ニュートラシューティカル社のサプリメント製品55,000米ドル(約630万円)分が、不当表示として押収された。押収されたのはEllagimaxカプセル、Coral Maxカプセル、Coral Max without Ironカプセル、Advanced Arthritis Supportカプセル。これらの製品はサプリメントとして販売されているが、医薬品に該当する表示をしており、食品医薬品化粧品法違反とみなされたため。FDAは以前、同社に警告していたが、十分な処置が取られていなかった。
中国国家統計局発表の全国人口調査によれば、中国の65歳以上の高齢者が初めて1億人を突破したことが明らかになった。2005年末の総人口は13億 756万人で、うち高齢者は1億45万人、総人口に占める率は約7.7%に達した。2020年までの14年間に、高齢者人口は毎年3.28%のスピードで増加することが予測されており、社会保障システムの改善が急務となっている。
8月19日、北京で開催された「第1回中国青少年体質健康論壇」によると、最近20年間、中国の青少年の健康状態が悪化し、運動能力も下がり続けていることが分かった。中国では、1985年から4回、全国青少年体質健康調査を実施したが、最近の報告では、学生の肥満が過去5年間で急増しており、都市部の男子学生の4分の1が肥満。近視の比率は、中学が約60%、高校生が76%、大学生が83%となっている。例えば、北京では学生の身長、体重、バストなどは伸びているものの、肺活量、走力、筋力などは下がり続けている。専門家による、現在、中国青少年の体質の特徴は「硬い、弱い、鈍い」。硬いは「関節が硬い」、弱いは「筋肉が弱い」、鈍いは「バランスの調和がよくない」ことを指す。
今秋、全米42中学校の1年生を対象に、糖尿病に関する大規模な調査研究が開始される。同研究は国立衛生研究所(NIH)が後援し、ヒューストンのベイラー医科大学など8大学の研究者が、学校のフードサービス、体育授業を変えることなどによって、II型糖尿病リスク要因が軽減するかどうかを研究する。具体的な研究プログラムは、①食堂の自動販売機から健康的な食品を選択(低脂肪食品、野菜、果物、無糖など)②運動量を増やし、運動する習慣をつける③長期にわたって健康的行動を促進するためのキャンペーン――を実施。そして2年半後にブドウ糖、インシュリン、脂質の血中濃度などの糖尿病危険因子や、健康レベル、血圧、体重、ウエストまわりを検査する。同研究の結果は2009年に発表される予定。米国では、若者のⅡ型糖尿病に関する正式データはないが、全米の多数のクリニックで、その増加が報告されている。シンシナティ、ロサンジェルスなどの都市の調査によると、Ⅱ型糖尿病は1994年以降、劇的に増加しており、深刻な社会問題となっている。