前回解説したように、健康食品では効能効果を標榜することはできません。「いかに表現を工夫していくか」ということが重要だといえるでしょう。今回はダイエット健食の広告を事例として、その具体的手法を解説していきます。
広告事例
ある健康食品販売会社のA社が扱っている健康食品「B茶」の広告として次のような広告を出したとします。
<広告事例(修正前)>
たまった脂肪をメラメラ燃焼、ぐんぐんスリムに!!!
「寝ている間も痩せる「燃焼力」が欲しい!」という人にお勧めのB茶は、話題の細胞内のエネルギーを効率良く働かせるコエンザイムQ10を配合。さらに、漢方など厳選成分の絶妙な相乗作用で、ただ痩せるだけでなく若々しい肌のサポートもします。
この事例はあきらかに薬事法違反です。このまま広告を掲載し、A社社長が薬事法違反で逮捕されたとしても文句はいえません。では、どの表現がいけなかったのでしょうか?以下、該当箇所を解説していきます。
修正箇所解説
×NG
【修正箇所(文章)】
(1)「たまった脂肪をメラメラ燃焼、ぐんぐんスリムに!!!」
(2)「寝ている間も痩せる「燃焼力」が欲しい!」
(3)「細胞内のエネルギーを効率よく働かせるコエンザイムQ10」
【解説】
「ダイエット」という言葉自体はOKなのですが、商品(成分)が体(体内)でどう作用するかを具体的に述べることはできません。よって、これらの文章は全 面的に修正する必要があります。代替案としては(1)を「たまった脂肪はなんとかならないの?」にし、(2)については削除。(3)については「エネル ギー系ダイエット素材として今話題のコエンザイムQ10を配合」とすればよいでしょう。
なお、(1)の代替案「たまった脂肪はなんとかならないの?」ですが「なんとかなる」といっているわけではないのでOKです。
×NG
【修正箇所(単語)】
(4)「漢方」
(5)「相乗作用」
(6)「若々しい肌のサポート」
【解説】
(4)「漢方」という表現はその名称により医薬品的効果が暗示されるのでNGです。「和漢植物」などの表現にすればよいでしょう。
(5)「相乗効果」という表現ですが、商品に含まれる成分Aが成分Bに作用してどうなるとは述べられません。また「作用」は健食においてNGワードです。よって「Wパワー」のような表現にするとよいでしょう。
(6)「若々しい肌のサポート」ですが、特定部位「肌」は出せないので、この場合は「若々しさをサポート」とするとよいでしょう。
修正後の広告>
以上の問題点を踏まえて修正後の広告を作成すると次のようになります。
<広告事例(修正後)>
たまった脂肪はなんとかならないの?
B茶はエネルギー系ダイエット素材として今話題のコエンザイムQ10を配合。さらに和漢植物など厳選成分の絶妙なWパワーで、ただ痩せるだけでなく、若々しさをサポートします。
まとめ
今以上、今回はダイエット広告の事例をもちいて薬事法に抵触しない表現について解説しました。次回もダイエット広告事例を用いて表現の解説を行います。機会 があれば是非一度、改めて自社の広告表現を見直してみてください。