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-薬事法表現道場 -チラシ・パンフの作り方--

【第10回】「効能のようで効能でないもの」

今回は、効能表現のようで効能でないものについてのお話をさせていただきます。

からだとは関係のないラボラトリーの話であればOK

教授:「化学の世界で、他の物質から電子を奪うことを「酸化」と言い、逆に電子を与えることを「還元」と言います。
この作用は、体の中でも起こっており、特に酸化力の強い悪玉活性酸素が、細胞から電子を奪い細胞を酸化させ、更に細胞同士の酸化の連鎖が起こり、その結果DNAが傷つき諸悪の根源となります。
この諸悪の根源である悪玉活性酸素だけを撃退するには、最近の研究で「水素分子」がもっとも有効であることが明らかになり、細胞を酸化させようとする悪玉活性酸素と結びつき、中和させ除去してくれます。
実際に研究室で行ったマウスの実験でもご覧の通り、悪玉活性酸素が消去することも証明されております。
このように水素は、代謝を乱さず穏やかに還元してくれる物質であり、医学研究によって安全性も認められております。

皆さん効能って何だか覚えていますか? 効能とは簡単にいえば体の変化を謳う事です。活性酸素に関する表現は、単純に考えれば体の変化に関する表現なので効能を謳っているという事になり薬事法違反となります。

しかしながら、酸素と水素がくっついて水になるというような話は、それ自体は体とは関係なく、ラボラトリー(実験室)においていわば試験管の中で生じる現象なので、そういうストーリーであれば必ずしも体の変化を謳っているとはいえません。そのような観点から、先ほどの文章を直すと次のようになります。

 

教授:「化学の世界で、他の物質から電子を奪うことを「酸化」と言い、逆に電子を与えることを「還元」と言います。
特に酸化力の強い悪玉酸素が、細胞から電子を奪い細胞を酸化させ、更に細胞同士の酸化の連鎖が起こり、その結果諸悪の根源となります。
この諸悪の根源である悪玉酸素だけを撃退するには、最近の研究で「水素分子」がもっとも有効であることが明らかになり、悪玉酸素と結びつき、中和させ除去してくれます。
実際に研究室で行った実験でもご覧の通り、悪玉酸素が消去することも証明されております。
このように水素は、穏やかに還元してくれる物質であり、医学研究によって安全性も認められております。」

どうでしょうか? 随分と原文を活かす事ができる広告表現が可能な事がお解りいただけたかと思います。

まとめ

以上、今回は趣向をかえてに“効能のようで効能でないもの”ついて解説しました。いかがだったでしょうか?

健康食品の広告において医師・学者等の談話・推薦の掲載は有効な手法ですが、薬事法に抵触しては本末転倒です。医学的、生物学的事象と化学的事象を完全に分離することを決してお忘れなく。

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