新シリーズとして「健食と化粧品の販促表現研究講座」をスタート、今回が6回目となります。実践的な事例でのbefore-afterはお役に立っているでしょうか?
今回も、実際の健康食品と化粧品それぞれの広告事例を一つずつピックアップ、添削前と添削後の広告文面をご紹介していきたいと思っています。理論を生かし、実務につなげる良いステップですので、ぜひ学習を進めて頂きたいと思います。皆様の販促表現の一助になれば幸いです。
【健康食品 篇】~ダイエットサプリの広告の一部です。
■ 添削 前
肌の老化を予防するビタミンE、糖質の代謝をサポートして太りにくい体を作るビタミンB群、貧血を防いで健康な肌色にしてくれる鉄分、骨粗しょう症の予防に効力のあるカルシウムを豊富に含むなど、ダイエットの大きな味方です。
さあ、この文章表現はどうでしょうか? 添削していただきたいと思います。すっと読めてしまう文面ですが、直したほうが良い点が4箇所ほどあります。
■ 添削 後
(1)若々しさの素ビタミンE、(2)糖を分解するビタミンB群、(3)ふらつきやすい女性におすすめの鉄分、(4)成長には欠かせない必須成分カルシウムを豊富に含むなど、ダイエットの大きな味方です。
いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、 添削された箇所になります。
(1) 「肌の老化を予防する」 → 特定部位、改善ともに健食ではNG表現です。
(2) 「糖質の代謝をサポートして太りにくい体を作る」 → 体内変化は間接効果であっても謳えません。
(3) 「貧血を防いで健康な肌色にしてくれる」→ 予防表現は医薬品のみに許される表現です。
(4) 「骨粗しょう症の予防に効力のある」→ 具体的病名も、予防表現も健食の領域を逸脱しています。
【化粧品 篇】~ 化粧下地の広告の一部です
■ 添削 前
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆を使うようになってから、毛穴も消え、透明感が出て肌年齢がグンと若くなったのです。シミ、くすみまでカバーできてびっくりです。
■ 添削 後
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆を使うようになってから、毛穴も(1)隠れ、透明感が(2)与えられ(3)見た目年齢がグンと若くなったのです。シミ、くすみまでカバーできてびっくりです。
いかがでしょうか。下線の部分が修正点で 添削された箇所になります。
(1) 消え」 → 毛穴が消えて無くなるような改善は言えません。但し、上からカバーして毛穴が見えないというロジックはOKです。
(2) 「出て」 → “出る”のは内側から外側へのことなので、肌内面の事を言っていることになりNGです。
(3)「肌」 → 肌の年齢が若返っては化粧品の効能範囲を逸脱します。
以上、事例を2つ説明して参りました。
皆さんが実務で使われるのは、生きた文章であり、その表現を考えるには基本的な表現知識(言い換えの手法や因果関係の切断 等)と多くの経験が必要です。審査の厳しい中で許された新聞広告の表現や信用あるセミナーやメルマガ等で学習した表現、その引出しをいかに多くもっているかが決め手になります。「学習の眼」を持つ意識を忘れずに、今後もがんばって頂きたいと思います。