TOPページ > 薬事法研究室 > 基礎編【薬事法をひもとく第17回】

薬事法をひもとく

【第17回】健食と化粧品の販促表現研究講座
「事例で学ぶ販促研究」その5

新シリーズとして「健食と化粧品の販促表現研究講座」をスタート、今回が5回目となります。実践的な事例でのbefore-afterはお役に立っているでしょうか?

今回も、実際の健康食品と化粧品それぞれの広告事例を一つずつピックアップ、添削前と添削後の広告文面をご紹介していきたいと思っています。理論を生かし、実務につなげる良いステップですので、ぜひ学習を進めて頂きたいと思います。皆様の販促表現の一助になれば幸いです。

【健康食品 篇】グルコサミンサプリ(栄養機能食品(栄養成分カルシウム・ビタミンD))の広告の一部です。
栄養機能表示
カルシウム→骨や歯の形成に必要な栄養素
ビタミンD→腸管のカルシウムの吸収を促進し骨の形成を助ける栄養素

■ 添削 前

“階段の昇り降りがツライ”“よくつまずく”“趣味の旅行も楽しめない”。年齢を重ねるごとに「ふしぶし」に関する悩みを抱える人が多いようですが、放置しておくと危険信号!健康なふしぶしに必要不可欠な軟骨成分が体内で作られにくくなり減り続けてしまいます。そこで試して頂きたい「健康●●」はグルコサミン、コンドロイチンの他に骨や歯を丈夫にするカルシウム、カルシウムの働きを助けるマグネシウム、腸管での吸収をよくするビタミンDまで徹底配合!どうせ飲むなら「骨や歯」の健康に役立つ「健康●●」がお得です!

さあ、この文章表現はどうでしょうか? 添削していただきたいと思います。すっと読めてしまう文面ですが、直したほうが良い点が6箇所ほどあります。

■ 添削 後

(1)階段・スポーツ・趣味。スムーズな日常生活送っていますか?年齢を重ねるごとに「(2)ふしぶし・健康」に関する悩みを抱える人が多いようですが、放置しておくと危険信号!(3)健康で丈夫な体に必要不可欠な軟骨成分が体内で作られにくくなり減り続けてしまいます。そこでお試し頂きたい栄養機能食品「健康●●」はグルコサミン、コンドロイチンの他に骨や歯(4)の形成に役立つカルシウム、カルシウムの働きを(5)サポートするマグネシウム、腸管での吸収をよくするビタミンDまで徹底配合!どうせ飲むなら「骨や歯」の健康(6)のことまで考えた「健康●●」がお得です!

いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、添削がかかった所になります。

では、簡単に説明していきましょう。

(1) 「“階段の昇り降りがツライ”“よくつまずく”“趣味の旅行も楽しめない”。」 

 → 足・関節のことを言っていることが明らかなので「階段・スポーツ・趣味。スムーズな日常生活送っていますか?」として下さい。

(2)「ふしぶし」→「ふしぶし・健康」として下さい。特定部位はNGです。「ふしぶし」=「関節」と認識されないようにします。

(3)「健康なふしぶし」→ 「健康で丈夫な体」として下さい。特定部位はNGです。

(4) 「を丈夫にする」→「の形成に役立つ」に変えます。栄養機能表示を超えていると判断される可能性があります。

(5) 「助ける」→他の栄養成分の働きを高めるような間接効果もNGです。「サポートする」に変えます。多様な解釈が出来るようにします。

(6) 「に役立つ」→ 「のことまで考えた」として下さい。カルシウムの栄養機能表示は「骨や歯の形成に役立つ」であり、健康に役立つではありません。栄養機能表示を超えていると判断される可能性があります。

【化粧品 篇】~クリームの広告の一部です。

■ 添削 前

「確実にしっとり柔らかく!」

衛藤芽衣(仮称) 様(24歳)

 まだ一週間なので、全ての変化は感じられませんが、肌に触れた感じは確実に変わりました。あと、なんとなくですが肌が少し明るくなったように思います。一週間でもこれだけ結果が出たのですから、続けることでもっと色々なことに良さそうです!


■ 添削 後

「確実にしっとり柔らかな(1)感触!」

衛藤芽衣(仮称) 様(24歳)

 まだ一週間なので、全ての変化は感じられませんが、肌に触れた感じは確実に(2)いいです。あと、なんとなくですが肌が少し明るくなったように思います。一週間でもこれだけ(3)実感できたのですから、続けることでもっと色々なことに良さそうです!

いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、添削がかかった所になります。
では、簡単に説明していきましょう。

(1)「柔らかく」→「柔らかな感触」として下さい。化粧品の効能で許されているのは「柔軟性を保つ」です。硬い→柔らかくは言えないので「感触」とぼかしています。

(2)「変わりました」→「いいです」とします。ここの使い方は微妙ですが「肌が変わる」のような改善は化粧品では言えないのでぼかしています。

(3)「結果が出た」→「実感できた」と変えます。表現として強いのでこれも「実感」とぼかしています

以上、事例を2つ説明して参りました。

皆さんが実務で使われるのは、生きた文章であり、その表現を考えるには基本的な表現知識(言い換えの手法や因果関係の切断 等)と多くの経験が必要です。審査の厳しい中で許された新聞広告の表現や信用あるセミナーやメルマガ等で学習した表現、その引出しをいかに多くもっているかが決め手になります。「学習の眼」を持つ意識を忘れずに、今後もがんばって頂きたいと思います。

TOPページ > 薬事法研究室 > 基礎編【薬事法をひもとく第17回】