新シリーズとして「健食と化粧品の販促表現研究講座」をスタート、今回が3回目となります。実践的な事例でのbefore-afterはお役に立っているでしょうか?
今回も、実際の健康食品と化粧品それぞれの広告事例を一つずつピックアップ、添削前と添削後の広告文面をご紹介していきたいと思っています。理論を生かし、実務につなげる良いステップですので、ぜひ学習を進めて頂きたいと思います。皆様の販促表現の一助になれば幸いです。
【健康食品 篇】~青汁の広告で、体験談の一部です。
■ 添削 前
毎日「〇〇青汁」をおいしく飲んでいます。
もう1年くらいになると思いますが、飲み始めたとき洗顔したら手触りが何か違う!
「しっとり、ツルツル!」と自己満足していたら、エステに行った時にエステティシ ャンの人に「何かしてます?プルンプルンですよ」って言われました。
さあ、この文章表現はどうでしょうか? 添削していただきたいと思います。 すっと読めてしまう文面ですが、直したほうが良い点が3箇所ほどあります。
■ 添削 後
毎日「〇〇青汁」をおいしく飲んでいます。
もう1年くらいになると思いますが、飲み始めたとき(1)鏡を見て何か違う!
「(2)メイクのノリがいい!」と自己満足していたら、エステに行った時にエステ
ティシャンの人に「何かしてます?(3)調子がいいですよ」って言われました。
いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、添削がかかった所になります。
では、簡単に説明していきましょう。
(1)「洗顔したら手触りが」→「鏡を見て」として下さい。飲んで洗顔したら手触りが変わった、と言うことになり明らかに肌の事を指し、その変化をうたっておりNGとなります。“鏡を見て…違う”ということであれば体の変化を具体的に言っているわけではないのでOKです。
(2)「しっとり、ツルツル」→「メイクのノリがいい」にしましょう。前の文面とあわせ、“しっとり、ツルツルになった”と読み取れますので肌の変化をイメージさせるものになります。ここでは、あいまいなメイクのノリがいいという表現にしています。
(3)「プルンプルン」→「調子がいい」。これも(2)と同じで“肌がプルンプルンになった”ととられる恐れがあり、避けた方が無難です。ここは「調子がいい」というあいまいな表現に変えています。
【化粧品 篇】~コエンザイムQ10配合の美容液の広告の一部です。
■ 添削 前
CoQ10配合! 贅沢な特濃美容液で、ハリ不足対策を。
コエンザイムQ10はエネルギーの生産に関わる大切な物質。これが減るという事は、ATPの生産も減ってしまうということ。 当然、細胞の力が無くなり、身体全体の体力低下・代謝低下ということに!これが、老化現象に大きく関わっているのではないか、と注目を集めています。
(肌/皮膚の)ハリを防ぐ・保つ等の効能は化粧品の効能の範囲にあったしょうか。また、それ以外にも化粧品の効能の範囲を超える表現はないでしょうか。
■ 添削 後
CoQ10配合! 贅沢な特濃美容液で、ハリ(1)サポート対策を。
コエンザイムQ10はエネルギーの生産に関わる大切な物質。これが減るという事は、ATPの生産も減ってしまうということ。 当然、(2)さまざまなトラブルが起こっています。健康・美容面と注目を集めています。
いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、添削がかかった所になります。 では、簡単に説明していきましょう。
(1)「ハリ不足対策」→「ハリサポート対策」として下さい。「ハリを与える」は化粧品の効能として許されています。しかし、「不足対策」という表現は、肌内面の改善とも取れるので微妙です。
(2)「細胞の~ではないか」→「さまざまなトラブルが起こっています。健康美容面」と変えます。成分の減少が弊害(体力低下・代謝低下等)をもたらすことを説明し、その後その成分の配合をアピールすれば体の変化につながり、それは化粧品の効能の範囲外となります。よってNGですので、効能をイメージさせず、健康・美容面に関係がある事を言うにとどめています。
以上、事例を2つ説明して参りました。
皆さんが実務で使われるのは、生きた文章であり、その表現を考えるには基本的な表現知識(言い換えの手法や因果関係の切断 等)と多くの経験が必要です。審査の厳しい中で許された新聞広告の表現や信用あるセミナーやメルマガ等で学習した表現、その引出しをいかに多くもっているかが決め手になります。「学習の眼」を持つ意識を忘れずに、今後もがんばって頂きたいと思います。