前回から新シリーズとして「健食と化粧品の販促表現研究講座」をスタートさせています。第1回目のご感想はいかがだったでしょうか。
今回も、実際の健康食品と化粧品それぞれの広告事例を一つずつピックアップ、添削前と添削後の広告文面をご紹介していきたいと思っています。理論を生かし、実務につなげる良いステップですので、ぜひ学習を進めて頂きたいと思います。皆様の販促表現の一助になれば幸いです。
【健康食品 篇】~ミネラルウォーターDM広告です。
■ 修正前
飲むと体内サイクル活発化!「生活の○○水」
― からだの60~70%は水です。水を変えると体が変わる!?―
「昔と違って、ブヨブヨが戻りにくい…」などの悩みが女性に多いのはご承知の通り。
そこでお薦めなのが、日本では珍しい中硬水の「生活の○○水」。
ダイエットにうれしい働きを持つ新製品です。
体内サイクルがグンッ!飲むとダイエット!
さあ、この文章表現はどうでしょうか? 添削していただきたいと思います。
自然な表現に思われますが、直したほうが良い点が5箇所ほどあります。
■ 修正後
飲むと体内サイクル(1)活性化!「生活の○○水」
― からだの60~70%は水です。水を変えると体(2)も違う!?―
「昔と違って、ブヨブヨが(3)…」などの悩みが女性に多いのはご承知の通り。
そこでお薦めなのが、日本では珍しい中硬水の「生活の○○水」。
ダイエット(4)にもうれしい新製品です。
体内サイクルがグンッ!(5)らくらくダイエット!
いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、添削がかかった所になります。
では、簡単に説明していきましょう。
(1)「活発化」→「活性化」として下さい。変化の度合いが活発化だと強いので、活性化のほうが無難です。
(2)「が変わる」→「も違う」にしましょう。身体の変化を述べる事は効能効果をいうことにつながります。
(3)「戻りにくい」→削除します。「ブヨブヨが戻りにくい」、それに効果があるのが「生活○○水」という理屈になり、NGです。
(4)「に嬉しい働きを持つ」→「にも嬉しい」として下さい。「働きを持つ」とすると、ダイエットのメカニズムを表現しているようにとられるため避けるべきです。単に「やせる」「ダイエット」という事はOKです。
(5)「飲むと」→「らくらく」として下さい。「飲むと」を入れると因果関係が明白で、体質改善やメカニズムが想起されますので、避けた方がいいでしょう。
注:「体内サイクル」も最近NGとする例が出てきていますので、安全に行く場合は削除してください
【化粧品 篇】~エイジングケアクリームの広告の一部です。
■ 修正前
ハリ、毛穴、キメ…
若々しさの秘訣「潤いネット」を徹底補修!
加齢や紫外線、また、空気の乾燥によってダメージを受け続けている肌の中は、弾力や水分を保つ「潤いネット」がぶちぶちと切れている状態。 ハリ感は失われ、下がり気味の頬に毛穴は広がり、キメも乱れていかにも老け顔に。また、水分を保つ事ができない肌にいくら保湿化粧品を塗っても、すぐ乾燥…。 そこで、まずは「潤いネット」を徹底強化!「潤いネット」が強化されると、内側から押し上げるようなハリ感がこみ上げてきます。
クリームは、肌に直接関わる化粧品で、使える効能の範囲も「肌のキメを整える」「肌をひきしめる」「肌にうるおいを与える」「肌あれを防ぐ」等広がります。 商品特性と効果的な表現をうまくマッチさせてください。
■ 修正後
ハリ、毛穴、キメ…
若々しさの秘訣「潤いネット」を徹底(1)ケア!
加齢や紫外線、また、空気の乾燥によってダメージを受け続けている肌の中は、(2)ハリや水分を保つ「潤いネット」がぶちぶちと切れている状態。 ハリ感は失われ、下がり気味の頬に毛穴は広がり、キメも乱れていかにも老け顔に。また、水分を保つ事ができない肌にいくら保湿化粧品を塗っても、すぐ乾燥…。 そこで、まずは「潤いネット」を徹底(3)ケア!「潤いネット」(4)をしっかりケアして、内側から押し上げるようなハリ感(5)を実感してください。
いかがでしょうか。下線の部分が修正点で、添削がかかった所になります。
では、簡単に説明していきましょう。
(1)「補修」→「ケア」として下さい。「補修」という表現は、悪い状態から良い状態に変わることを意味しており、NGとなります。前後が現状維持の関係であれば許されます(ex.状態を保つ 等)。
(2)「弾力」→「ハリ」と変えます。「弾力を保つ」は、化粧品の効能の範囲を逸脱する効能表現となりNGです。
(3)「強化」→「ケア」とします。理由は①と同様です。
(4)「が強化されると」→「をしっかりケアして」とします。理由は①と同じです。
(5)「がこみあげてきます」→「を実感してください」に直してください。「ハリ感がこみあげる」という表現は、化粧品の効能の範囲を逸脱する効能表現となりNGです。
以上、事例を2つ説明して参りました。
皆さんが実務で使われるのは、生きた文章であり、その表現を考えるには基本的な表現知識(言い換えの手法や因果関係の切断 等)と多くの経験が必要です。審査の厳しい中で許された新聞広告の表現や信用あるセミナーやメルマガ等で学習した表現、その引出しをいかに多くもっているかが決め手になります。「学習の眼」を持つ意識を忘れずに、今後もがんばって頂きたいと思います。