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薬事法をひもとく

【第12回】その他、健食ビジネスの関連法令について(6)

(1)食品衛生法について

■ 健康食品の販促において、気をつけなければならない法律は薬事法だけではありません。

■ 今回は健食関連にかかわる法令のひとつである「食品衛生法」について見ていきましょう。

1.食品衛生法とは

食品衛生法は、昭和22年に制定された法律で、食品の安全性確保と飲食での衛生上の危害発生を防止する事で国民の健康を保護する事を目的としています。健康食品はあくまで食品の一分類であるため、その製造から表示まで食品衛生法の規定を遵守しなければならないのは当然の事です。 何度も改正が行われましたが、新しい所では2003年5月に改正が行われ、その中で食品等事業者の責務が以下のように明確化されています。「食品を供給する事業者は、自らの責任において製造、販売する食品等の安全性を確保するため、知識及び技術の修得、原材料の安全性の確保、自主検査の実施等の措置を講ずるよう努めなければならない。」また、仕入元の名称など必要な情報の記録・保存、危害発生時の行政への記録の提供、食品の廃棄等の措置を的確・迅速に講ずるよう努めなければならない事も明確化されています。

ここで、食品衛生法違反に問われた健康食品等の事例をいくつか紹介いたしましょう。

【 中国ダイエット食品の事例 】

東京都は、2003年8月29日、渋谷区恵比寿の輸入業者が仕入れた中国原産の健康食品「鳳凰軽身痩(ほうおうけいしんそう/タピオカ入りココナツミルク)」から、便秘防止にも使われる甘味料「D-ソルビトール」が大量に検出されたと発表した。全国各地から「飲んで下痢をした」との声が寄せられ、食品衛生法違反に当たると判断、渋谷区は製品回収を命令した。通常10~20gで便秘防止の効果もある「D-ソルビトール」が、1缶当たり28.6g含まれていた。

【 栄養補助食品の事例 】

大阪府は2002年7月31日、健康食品製造会社「ファイン」(本社:大阪市)が製造する栄養補助食品「ビューティアミノ酸」に使用が認められていない食品添加物「システィン」が含まれていたとして、食品衛生法違反で同社工場に対し同製品の回収と1日間の業務停止を命じた。

【 ゴディバの事例 】

ゴディバジャパン(東京都渋谷区)は、2004年1月10日、ベルギーから輸入しているチョコレート「トリュフシャンパーニュ カシス」に食品衛生法で使用が認められていない着色料「アゾルビン」が使われていたとして販売を中止し、自主回収を始めたと発表した。「アゾルビン」は欧州では安全性が認められて使用されている。

ここからは、健康食品にもかかわる食品衛生法の規制について主要なものをご紹介していきましょう。

■ 営業の許可について

食品に関する営業を行う場合には、食品衛生法及び食品製造等取締条例(東京都条例)に基づく許可等が必要な場合があります。

ex.健食製造の際の許可業種 「食用油脂製造業」~小麦胚芽油等
「添加物製造業」 ビタミンC等

■ 輸入時の手続きについて

販売又は営業上使用する食品、添加物等を輸入する場合には、その都度厚労大臣に届け出なければなりません。

■ 食品添加物について

食品添加物は、原則として指定されたもの以外使用できません。使用できても量や対象食品等が限定される場合もあります。 指定添加物等のリストや添加物の使用基準リストは財団法人日本食品科学研究振興財団のHPに掲載されていますのでご参照下さい。 事例でも有ったとおり、着色料や甘味料等は、例えば海外でOKなものが日本ではNGという場合も多く有ります。輸入品は特に十分な検証が必要となってきます。

■ 食品の表示について

健康食品においても、当然ながら一般の食品と同じように表示を行わなければなりません。 表示も含めて、食品衛生法とJAS法との違いについて混乱している方も多いようです。ここで簡単に整理しておきましょう。

  食品衛生法 JAS法
表示の目的 飲食による衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図る 品質に関する適正表示を行わせる事によって一般消費者の選択に資する
表示対象食品 容器包装に入れられた加工食品、食肉・鶏卵など(販売の用に供するもの) 全ての飲食料品
表示すべき事項 共通:「名称」「使用した添加物」「賞味期限」「保存方法」「製造者(名称及び所在地)」「遺伝子組換え食品の表示」
「製造所固有記号」
「アレルギー物質(特定原材料)を含む食品の表示」
「原材料名」
「原産国名」
「内容量」「有機食品等の表示」
指導・監視 報告の要求・臨検・検査・収去(食品衛生監視員による) モニタリング・指導(任意調査)、報告聴取、立入検査
違反の場合 営業停止、営業許可の取消 罰則 指示→改善命令→罰則

■ 食品のアレルギー表示制度

原因となるアレルギー物質を食べないことが、食物アレルギー治療のための基本です。しかし加工食品では、その物質が含まれているかどうか、表示だけでは必ずしもわかりません。そこで平成13年4月から、食物アレルギー患者の方が食べても大丈夫な食品を選ぶ手がかりとして、特にアレルギーを起こしやすい食品や重篤な症状を引き起こしやすい食品について表示をすることが 義務付けられています。 ex. 「特定原材料」~特にアレルギーを起こしやすいとされる食品の内、発症数、重篤度から考えて表示する必要が高いものとして表示が義務付けられた5品目 →卵、乳、小麦、そば、落花生

今回は、ごく簡単にご紹介いたしましたので、皆様それぞれが細部をご確認いただきたいと思います。

健康食品といえ、分類は一般食品ですので基本をおろそかにしたら元も子もありません。特に「表示」については基本中の基本です。アレルギー表示や添加物表示についても正しい情報を消費者に伝え、信頼を得ていくことも大きな、ある意味での“販促”になるのでではないでしょうか。

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