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CRO紹介 -ベルシステム24-

コンピュータ解析とマーケティングの実績を武器に成長。
健康食品などの試験受託はSMOを中心に展開

CRMソリューション業界の雄、ベルシステム24。コンタクトセンター等のCRMソリューション事業で培ったノウハウを持ってCRO事業にも参入し、右肩上がりで成長を続けている。食品や化粧品の臨床試験はグループ会社のSMOが中心となり実施し、データ解析の部分をベルシステム24が請負い、高コストパフォーマンスを実現している。日本CRO協会の理事でもある同社の渡辺敏彦・執行役員医薬関連サービス事業本部医薬推進事業部事業部長に、同社のCRO部門の特徴や今後の展開などを聞いた。

――ベルシステム24さんと言えば、テレマーケティング会社という印象が強いですが、CRO参入の経緯からお話いただけますか。

渡辺 ベルシステム24はもともとテレマーケティングを中心にCRMソリューション事業を展開してきた会社ですが、実は古くから医薬品開発との関わりを持っています。いわゆる臨床試験で質の確保を図るうえで重要である症例登録センター業務を1986年に本格的に始めました。

――症例登録センターというのは何ですか?

渡辺 臨床試験というのは製薬会社が医療機関に依頼しますが、依頼された病院では、医師が説明と同意を行ったうえで、患者さんに被験者として臨床試験に参加いただきます。その際に、適切になおかつ安全に臨床試験を実施するためにプロトコール(治験実施計画書)に示された選択基準とか除外基準に従い被験者の組み込みを行います。しかし、単純にこのような組み込み方をすると、不適切な患者さんが30%近く組み込まれてしまうといったことが現実にあります。そこで、第三者機関が被験者として適切かどうか確認する仕組みが必要となり、医師が同意を得た患者さんの情報を電話で伝え、被験者としての適格性を第三者機関が確認したうえで登録するという仕組みを現在、症例登録センターと呼んでいます。

もともと海外では行われていた業務ですが、この方法を知った大学の先生のアドバイスで、ある製薬メーカー様から当社に依頼戴いたのが症例登録センターのルーツであり、当社はこの仕事を専門的に行った草分け的存在です。

――CRO業務を始めたのはいつですか。

渡辺  CROが普及してきたのは1990年代ですが、当社も95年から本格的にデータ解析を始め96年からはデータマネジメントの仕事も開始致しました。その頃からCROの売上高は右肩上がりに伸びています。その後、モニタリングや薬事、メディカルライティング等の機能も追加し、現在は医薬品開発をすべて受託することの出来るCROとして現在に至っています。

――御社の特徴は何ですか?

渡辺 当社はもともと電話を利用したマーケティングの会社ですから、情報を扱うことが得意です。ですから、我々の事業本部もこの長所を生かし、情報系CROとしてやってまいりました。

臨床試験は、ある疾患の患者さんが何らかの医学的処置――医薬品開発の場合には治験薬の投与ということになりますが――により、どのように変化をしたかの情報を得ます。その個々の患者さんの情報を通して、最終的には、その疾患の患者母集団に対して医学的な処置が有効であったかどうかを検証していくことが目的になります。

そのためには、医療という非常にウエットでアナログな情報を、集計解析出来るようなドライでデジタルな情報に標準化することが重要です。なおかつ、間違いが混入したら大変なことになりますので、非常に厳重なチェックプロセスを経て情報を取得いたします。このような情報面に着目して臨床試験の情報を的確に取るということを意識して行ってきたのが当社です。臨床試験のデータマネジメントにコンピュータによるチェック、いわゆるロジカルチェックを確立してきたのは当社であるという自負があります。今はこのようなコンピュータ化は一般的になってきましたが、その品質と安定性でクライアントから高い評価をいただいています。

現在は規模も大きくなり、さらに臨床試験のすべてのプロセスを通じて、適切な情報をとっていきたいという考え方のもとに、2003年からはモニタリングも本格的に開始致しました。モニタリングとは、治験依頼者の任命を受けた製薬メーカーやCROのモニターが、治験の進行状況をモニタリングし、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、GCP及び適用される規制要件に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動です。このビジネスも順調に伸びています。現在は臨床試験の計画から最終的な申請サポートまですべてのサービスを提供することが可能です。

――臨床試験以外のサービスを行っていますか。

渡辺 本来マーケティングの会社ですから、食品、健康食品などの場合、開発の後の販売促進などマーケティングのサービスを行えます。具体的には、マーケティング調査が行えるほか、通販受注センター、お客様相談窓口を作ることもできます。販売促進のための電話発信業務なども可能ですね。いわゆるCRMの展開がすべて可能です。コールセンターに管理栄養士、看護師、薬剤師を配置することもできます。臨床試験の計画から、最終的に製品の発売後のサービスまでワンストップで行うことが可能なのです。ここが他のCROとの最大の違いです。

――雑誌も発行していますよね。

渡辺 20代女性をターゲットにした美容情報誌「bea’s up(ビーズアップ)」、28歳からのビューティーチャージマガジン「Urb(アーブ)」などを発行しています。なぜ当社がこうした雑誌の事業を行っているかというと、雑誌という媒体を通してお客様の様々な情報を集めて、それをクライアント側にフィードバックしていく、いわゆるマーケティングのツールとして活用するためです。健康食品や化粧品でも、このようなツールを使ってマーケティングや拡販することが可能です。男性向けの「マンスリー・エム」といった雑誌もあります。

――臨床試験の実績はいかがですか。

渡辺 臨床試験に携わるプロトコールの数はモニタリングを中心とした他のCROさんとは桁違いです。実績でいうと年間で200本以上の試験を何らかのサービスで受託しており、昨年度(~2006年2月)はおそらく220本を超えていると思います。このように、あらゆる領域を非常に幅広く色々な領域の仕事を受けているのが強みです。実績としてはまだまだ医薬品の臨床試験が中心ですが、最近ですと、健康食品の臨床試験を7件、化粧品の臨床試験を2件実施しています。解析だけを受けているものも併せるともっと多いと思います。

――料金の目安はありますか。

渡辺 基本的に見積もりベースですが、食品メーカーさんから最低限何を見たいのかということをはっきり明示していただければ、パフォーマンスの良い金額を提示させて戴くつもりです。

――CROに顧問の先生はいらっしゃいますか。

渡辺 医学系では愛媛大学名誉教授の小川暢也先生にお願いしております。小川先生は臨床試験の世界では草分け的存在の先生です。薬学専門家では愛媛大学名誉教授の福田保先生、統計の専門家としては元阪大教授後藤昌司先生がいらっしゃいます。

――グループ企業としてSMO(治験施設支援機関:医療施設に対して治験業務を支援する機関)を2社持っていますね。

渡辺 北海道を中心に業務を行う「Bell24・CellProduct」、関西以西で業務を行う「Bell24・3dots」があります。トクホなどの食品、化粧品関係の臨床試験はSMOが中心に行っています。その中で、解析・データマネージメントになるとCRO側が本業ですので、CRO部門で行っています。それぞれ得意な領域を担当し、質の高いサービスを提供すると共に、コストパフォーマンスの追求からこのような連携を図っています。

――SMOが2社ある理由は何ですか。

渡辺 SMOは医療施設にサービスを提供するわけですから、当然、地域密着型のサービスになります。今後の戦略として地域ごとにSMOを増やしていく予定です。

――食品メーカーからの依頼をSMOが受けている理由は何ですか?

渡辺 食品の試験は食品を摂取してもらいどういう影響があるか確かめる負荷試験では、臨床試験でいうとフェーズⅠ試験と同じ形態をとります。全国の病院で大規模に行うというよりも、特定の病院で比較的少数の健康なモニターさんに摂取してもらうというやり方ですよね。これは、CROが行うよりもSMOが行った方が圧倒的に効率良く実施出来ます。また昨年10月に食品と化粧品のモニター登録機関「MINERA(ミネラ)」を立ち上げました。会員数は現在300人ですが、来月からBell24・3dotsのホームページに立ち上げに伴い「MINERA」もwebでの募集が開始しますので一気にモニターが増えることが期待されており、大規模な試験にも対応できる体制が整います。

――今後の展開でお考えのことはありますか。

渡辺 CROではITをベースにした臨床試験の効率化をさらに加速させ、EDC(Electronic Data Capturing:コンピュータを使って医療施設からの治験情報を集める仕組み)を強化していきます。これらの技術は、当然、今後の食品試験にも応用され、効率的でパフォーマンスの高い試験実施を追求してまいります。

――ありがとうございました。

 

 

 

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