(株)ニコダームリサーチが今春より国内独占販売を開始したSkinEthic社製の三次元再構成ヒト表皮モデル『エピスキン EPISKIN(TM)』が、皮膚刺激性試験代替法として注目を集めている。驚くほど高いその皮膚再現性はもちろん、法的な側面からも世界潮流にマッチしており、今後のニーズ増大が見込まれている。
成人ヒト表皮細胞をプラスチックインターセル中のコラーゲンシート上で培養し、作製されるエピスキン。浸漬培養工程の後、気液界面で培養することにより、正常な角化過程を経て、ヒト皮膚と同等の角層を持つ再生表皮が形成されるその完成度は、驚くほど高い。スモール(0.38cm²)とラージ(1.07cm²)の2種類があり、それぞれ化粧品原料、化粧品そのものの一次刺激性試験の動物実験代替法に使用することができる。
エピスキンが注目を集める背景には、そのすぐれた皮膚再現性があることはいうまでもないが、忘れてはならないのは試験で使用するツールとしてのその高い機能性だ。大きなポイントはその強度。皮膚そっくりの薄いシート状だが、簡単には破れず、多様な試験に対応する。従来は、主に細胞を使うなどしてシャーレや試験管等で皮膚関連の実験は行われていたが、サンプル製品が溶解しづらい場合、データを取りづらいなどの欠点があった。“人工皮膚”であるエピスキンでは、そもそもサンプルを上に乗せるだけでよく、さらに強度もしっかりしており、動物実験代替法として、理想に近い実験環境を実現する。
株式会社ニコダームリサーチ
美容・化粧品 > 試験・分析(CRO)
〒541-0052
大阪府大阪市中央区安土町1-6-14
代表者名:関根正悟
設立年月:2003年4月
■化粧品・化粧品原料などの有用性・安全性評価
■3次元培養皮膚モデルの販売
■各種試験のコンサルティング
1992年設立。ヒト培養表皮モデルに関する組織工学技術に関し、世界トップクラスの技術を持ち、三次元ヒト再生組織の開発、製造において世界のリーディングカンパニーとして活動する。設立以来、化粧品・医薬品・化学品企業などとの連携により、研究開発におうて有用かつ、信頼性と高い再現性を有する評価試験法も開発する。独自の細胞培養技術は、ヒト再構成組織モデルの大量生産を可能にした。
世界的に動物実験代替法採用の動きが加速している。その背景には、動物実験が抱える問題点がある。生きた動物を毒性試験などに使用することに対する倫理的問題はもちろん、科学的、経済的にも欠点が指摘されている。分かりやすい例では、人間と動物の種差によるデータの不確実性がある。コスト面では完全なデータベースの作成には多額の費用がかかり、さらに長期の実験が必要となる点などが挙げられる。昨今では、動物実験代替法も進化しており、正確なデータが得られるだけでなく、コスト面での負担も少なくなりつつある。そうした点に加え、世論も着実にアンチ動物実験へと傾いている。
高い皮膚再現性と機能性を併せ持つエピスキン。その誕生には、3次元の培養技術が貢献している。これまでにもいくつかの類似製品が登場しているが、そうしたものと比べてもエピスキンの品質は非常にすぐれている。3次元培養という繊細で高度な技術から作り出されるものの、実験ツールとして課題となるロットぶれがなく、高いロット間再現性が確認されているのが、その証。そうしたことなどから、安全性試験では、皮膚腐食性試験、皮膚刺激性試験などにおいて、in vivoの各試験と良好な相関を示し、安全性以外にも有用性の試験へも応用されている。こうした実績を積み重ね、エピスキンスモールを使った代替法は、2007年に欧州代替法バリデーションセンター(ECVAM)の科学諮問委員会(ESAC)において、世界で初めて皮膚一次刺激性試験の代替法として認証されている。ECVAMは、欧州で1994年に設立された評価機関で、動物実験を極力少なくする、あるいはなくすことを目的として、これに代わる試験法の開発やその方法の妥当性を評価している。
動物実験代替法については、国内ではまだまだ関心が低い。だが、欧州では2007年より化学物質規制法REACHがEU域内で実施されている。同法は、使用される全ての化学物質の人類や環境に対する影響を調査し、登録申請することを義務付けた法律。これにより、EU域内で使用される化学物質や新規原料は全て、企業負担による調査により、その安全性が担保され、かつ、より安全性の高い代替物質の利用が出来ないことや使用が避けられない物質であることを証明できなければその使用を承認されない。さらに、この調査に際しては、動物実験代替の実験法が存在する場合は、そちらを使用せねばならない、という規定もあるため、動物実験代替法に対する要求が加速することは間違いない。
REACHにも対応し、いち早くECVAMで行政試験法として受け入れられた“EPISKIN法”は、国際機関のOECD(経済協力開発機構)のドラフトガイドラインにもなっている。早ければ、2009年中にも正式なガイドラインになるといわれる。そうなれば、世界的に動物実験の代替となる実験法に対するニーズが本格化するのは必至。公的機関の承認を受け、かつ、動物試験代替法として全てをクリアしているエピスキンへの需要はいや応なく増大する。そうした法的な背景を絡めた世界潮流もあり、エピスキンにはいま、化粧品等の安全性評価試験として、日本国内でも熱いまなざしが注がれている。
株式会社ニコダームリサーチ
技術営業部主任 栗原浩司さん
私どもは、化粧品・医薬品の製剤および原料の安全性評価や有用性評価の技術コンサルティングを通じ、各メーカーがすぐれた商品を安心して消費者に提供できるようサポートしています。昨今は、ナチュラル志向を背景に機能性化粧品のニーズが高まるとともに、その安全性、有用性がますます重要視されています。加えて、世界的な動きでみれば、特に欧州を中心にアンチ動物実験の動きが加速し、その代替法の構築が急務となっています。私どもが提案します、SkinEthic社製の三次元再構成ヒト表皮モデル『エピスキン EPISKIN(TM)』を使った試験法は、欧州でいち早く行政試験法として受け入れられ、国際機関のOECDのドラフトガイドライドラインにもなっています。早ければ2009年中にも正式なガイドラインになるといわれています。“人工皮膚”といってなんの遜色もないクオリティのエピスキンは、安全性試験においては、皮膚腐食性試験、皮膚刺激性試験などで、in vivoの各試験と良好な相関を示し、安全性以外にも有用性の試験へも応用されています。従来の試験法では難しかった試験が可能になるなど、実験の幅が広がるという点でも使用するメリットは多いと思います。私どもでは、化粧品の試験に加え、殺虫剤など、ヒト試験では困難な場合の前段階の試験として、エピスキンを使用することも提案しています。また、欧州からの輸入後の応答性においても何の問題もないことも実証済みです。私どもは、世界潮流にマッチしたこのエピスキンを国内独占販売する立場として、その提供だけでなく、同モデルを用いた受託試験、さらに同モデルを用いた各種試験のトレーニングにも対応いたします。